一緒に住みたい?#88
施設生活も2カ月くらいになろうとしているころの母のメンタルことを、あらためてまとめてみる。
便秘&下剤騒動が起きる以前の状態よりは認知症が進んでいる印象は相変わらずだった。
自分の年齢がわからない、今が何年かわからない、短期記憶はまったくと言っていいほどダメ、同じ話を何度もして、同じことを何度も訊く。
私が訪問して行って、母が玄関わきの談話コーナーにいる時に、私を見ても私だとすぐに気づかない。人に「娘さんじゃない?」と言われて、やっと「あぁ」と気づくようなことがある。
「(妹が)一緒に住みたいと言って荷物を持って来たのに、職員さんに追い返された」という妄想も、依然として時々出ていた。ひどい時は私に電話をかけて来て、「(妹に)追い返された時のことを訊いてみて」とか、「ここで一緒に住みたいと言ってるから、(妹に)電話して確認してみて」などと言う。どうして自分で訊かないのかわからないが。妹に言うと、妹は母から直接そのことを言われたり訊かれたりしたことがないというから不思議だった。
何度か否定していたら、今度は、本当は母本人は妹と直接そのことを話したことが一度もないのに、妹から聞いた話として「この(施設の)部屋はみさえが私たち(母と妹)のために買ったもので、妹はもちろん、将来はみさえもここに一緒に住むんでしょ」と言ってきた。
「いやいや、私は結婚しててあっちにM夫くんと住んでるからここには住まないし、ここはママが借りてる部屋だよ。毎月、家賃払っているんだよ」と説明した。
それから、どういう話の流れか忘れたけれど、「(自分に)息子がいたら、とっくに息子の家で私も同居していたでしょ(だから、ここに入る必要もなかった)」と言ったことがあった。
認知症が進んでか、本音が見えてるという印象だった。やはり、ここに一人で入居してることがイヤなのか、家族と住みたいのか、そういうことが混ざり合って妄想となって、つじつまの合わないことを真剣に言っているのだ。
私が部屋を買った、という話は、おそらく、エキストラベッドつきの新しいベッドのことを「施設から借りている」と思ってるようだったので、「私が買ったんだよ」と何度か説明していた。だから、そのことと混同したのかもしれない。
さらには時々、施設の部屋には私しか泊まったことがないのに、「今度、妹が来たらここに泊まるから」というようなことを言う。それも不思議だったのだけど、おそらく、それを言う時には、私は結婚して遠方にいるから、ここに住む必要がないということをたまたま認識できていて、だったらここに住んでくれる可能性があるのは一人暮らしの妹だ、という図式から来る妄想、あるいは勘違い(混同)なのかもしれない。そのころ、妹も転職すべく失業していたので、妹の生活が心配だったというのもあるかもしれない(一応、親心?)。
このころは、私たちもまだ、どこまで認知症が進んでいるかの確信もなく、ひょっとして認知症半分で「わざと本音(願望?)を言ってるの?」と思うこともなくはなかった。あまりにもトンチンカンでありながら、こちらにグサッと刺さるようなことばかり真顔で言うから。
私たちには、本当に母の胸の内がわからなかった。でも、そんなことは、結局は最後まで知りようがないのだろうとも思っているけど。
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