爆発の理由は?#79

前回の投稿、あれを書くことは私にとって、一種の確認作業でもあったと思う。

直後からは封印して「なかったこと」にして、のちに思い出して苦しくなって、何とか克服しようとしてきて、近年やっとその出来事を距離を置いて見られるようになっていると感じていた。ならば今それを書こうとする時、自分がどうなるか。

冷静に書ける自分になっていることを確かめたかった。


それから、外にさらすのはどうかと迷いながらも、記録しておきたい気持ちもあり。

さらには、もちろん、書きながら母や母との関係を見つめ直すという、このエッセイの目的のためでもあり。


書きながら、やはり少し泣いた。

でも、その涙は、今現在の自分自身の痛みや恐怖や苦しさへの涙ではなくて(そういうものはもうない)、その時の子供だった自分自身への客観的な涙だと思えた。共感は伴うけど、フラッシュバックのような実感のよみがえりはなかった。

私は今の大人の私で、当時の子供だった私自身を抱きしめて、よしよし、こわかったね、もう大丈夫だよと寄り添ってあげてる、そんな感じだった。


この涙は、忘れないようにしたい。同じようなことが起きてる子供がいたら、心から気持ちをわかってあげられる自分でいたいし、何よりそういう目に遭う子供がいない世の中になってほしい、そのためにどうすればいいのか考えていきたいとも思っている。


さておき個人の話にもどって、今の冷静な視点で前回の続きから。



あの出来事を書きながら振り返ってみて、今の私は客観的にことだけはできるとわかった。

いいトシの大人になった私は母の心情を想像し、共感はできないまでも理解(分析?)しようと思えばできる。のちに、叔母から事情も聞いた。自分自身がどんな子供だったのかも、いま振り返ってみている。

でも、客観的にどういう感想とか評価を持つのが適切なのか、それを判断するのが難しいことがわかった。


という前提で、のちにわかったことと考えたことを書いてみる。


まず、叔母によると、祖父母は一番末っ子の娘が当時の感覚では行き遅れの独身であることをとても気にかけており、そんな時に実家に「出戻りの小姑」がいたらますます縁遠くなると考えていたという。冷静に見ると婿養子を迎えるつもりでもなければナンセンスな話にも思えるけど、ともかくそういう理由をあげて、出て行くようにと言ったらしい(実はもっと裏の事情があったのかもしれないが)。母も、いつかは出なくては、とは思っていたのだけど、想定外に早く言われてショックだったらしい。


単に、祖父母が親として娘に自立を促そうとしたのか。

もしくは、それなりにはまだ若かったので、女としてのやり直しを示唆したのだろうか。だとしたら、また「こぶ付き」のこぶたちをどうするかというような問題も、父の実家との関係で取り沙汰されたかもしれない。


はたまた、たとえば金銭面などで、居候されて迷惑という事情があったことも考えられる。母は祖父母に生活費を入れていたように記憶してるけど、足りなかったとか?

でも、だったら多めに生活費を入れるようにする方が、出て行って一から生活を築くより話が早い。だから、そういう問題ではなかったのだろう。


どういう理由かはいったん置いておくとして、出て行かなければならなくなったということで、どうして母はあんなに我を失うほどパニックになっていたのだろう? そこが一番わからないところだ。いろいろ推測はできるが、あまりに多くのパターンが想像できてしまって絞れないし、いずれも「だからって、そこまでになる?」と思ってしまう。


でも、そこまでのパニックになっていたというのは事実なので、その前提から考えると、出てどこへ行くか、また大変な引っ越しをしなければならない、少しここで休みたいのに追い出されることになった、など、心の中がうぁ〜っとなっていて、もしかすると鬱的状態にもなっていたかもしれず、そこへ私が無邪気に「広い家がいいなぁ」などと言ったので、爆発したのだろう。

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