*これから書こうとしてることについて*#77
これから書こうとしていることは、これまで人に話すのが難しかったことです。
長い間、自分の中では無意識のうちに封印されていて、気づいた時には「なかったこと」になってました。そして、なかったことになってたことに気づいてしまった時、苦しくて苦しくて、どうしたらいいかわからず、どうにかしないと前に進めないと悩み、一人で心の中で闘い続けました。もう、ちょっとやそっとじゃないくらい、いいトシになっていたのに、です。
母とは、その後も新たな問題も加わって、ずっとずっとかなりの確執を抱えてました。だから、「そのこと」が思い出されたのかもしれないし、だからなおさら「そのこと」に苦しめられたのだと思います。
友だちになんてもちろん言えず、私は三人のカウンセラーに(カウンセリングのはしご?)、生まれて初めて「そのこと」を打ち明けました。ビックリするくらい号泣してしまってうまく話せなかったし、どの人にも大筋だけで詳細は言えませんでした。
そして、「話せた」ということで小さな突破口くらいは開けたのかもしれないけど、話したからと言ってすぐに解決するものでもありませんでした。
その後も、心理学の本や自己啓発的なもの(好きじゃないけど)を読んだりしながら長い月日を過ごし、やっと母から離れることを決めた時、叔母に「そのこと」を話しました。母から離れることを相談したら叔母が反対したからで、どうして離れることが必要なのかをわかってもらうためにやむを得ず話した格好です。話しながら私も泣いたけど、叔母も泣いてました。そして、一人暮らしをするための賃貸契約の書類に保証人としてはんこを押してくれたのです。
それから結婚後に、夫に話しました。
もう、詳細までもは話そうとは思わなかったけれど、泣かずに話せました。夫は、静かに聞いて、静かに受け止めてくれるような人で、信頼関係もあるし、心理学方面の専門家でもあるので安心して話せました。適度で的確な反応を返してくれました。
それで、私の中の「そのこと」を、やっと葬ることができたと感じています。
それでも、今でも口で話そうとすると、すんなりとは話せないと思います。でも、書くことならできると思えるようになったのです。
とは言え、だからって、私もさらにいいトシになった今、わざわざこの話をオモテにさらす必要があるのかとも考えました。
昔、母との確執がつらくて、小説を書いて紛らそうと思い立った(そして書かなかった)時には、このことはまだ封印されていた時期で、もし小説を書いたとしても「そのこと」に触れなかっただろうと思います。でも、今の自分は、のちに「そのこと」であんなに苦しんだことを知っている。それに、こうして母のことを書いてきてる以上、避けて通れない、書かずに済ませることはできないと感じるとともに、それを書かなければ私のあの長い葛藤も理解してもらえないのではないかという気もするのです。
なにより、そのことを客観的に書けるようになっている自分を、確認したい気持ちもあります。なるべく冷徹なスタンスで、包み隠さずに書ける自分になったと思いたいのです。
内容を不快に感じる方もいるかもしれません。そういう場合は、スルーしてください。
一方、親との確執に悩みつつ、縛られている方もいるかもしれません。そのような方には、今後もこのエッセイを通じて「親から離れてもいい」んだということを伝えたいと思っています。最近、そういう考え方は当たり前に受け入れられているようですが、かつてはそれほど当たり前じゃなかったし(私も事情を知らない複数人から冷血扱いされた)、今でももしかすると、縛られて悩んでいる方がいるかもしれない。
そういう方に、「自分の人生を生きて」と言いたいです。
結果、最後には「家族として」戻ってこられることもあります。和解することもできます。逆に、無理していると後悔だけが残り、悪い結末につながるケースもあります。
*
物々しい断り書きになってしまいましたが、案外、客観的に見るとそれほどのことではなく、単に私がナイーブ過ぎたのかもしれなくて、書き終わった時に自分がどう感じるか、私にもわかりません。
でも、きっと、ここに書いたら本当に「そのこと」を完全に手放せると信じています。
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