正式な引っ越しと不要品処分。#54
母の持ち物の整理。
本当は、すべてを並べてじっくり取捨選択すべきだった。でも、あまりに部屋が狭いので、それは叶わなかった。
押し入れの中なぞ、重いお茶箱が二つ入っていて、とてもじゃないけど一人で取り出すこともできないし、中身を並べてチェックするスペースもない。当日ぶっつけ本番で選り分けるしかなかった。
実は業者さんからも、要るものだけよけておいてくれれば、あとの処分はすべて任せてもらっていいと言われていて、油断していた。これは失敗だった。
当日は9時から業者さんが来て、作業開始。妹がそれより早めに来て、自分が母に預けていた持ち物をいくつか選り分けた。
作業は一日で終わると言われていたので、私は漠然と午前中で施設に持って行くものをまとめて搬出、午後から残った不要品を処分するのだろうと勝手に思っていた。イメージとしては、テレビなどで見たことがある遺品整理の業者さんが、故人の大事な品物をていねいに選り分け、これは形見として残しますか? などとそれらしい品物をいちいち確認してくれるようなやり方だった。
ところが、うちに来た業者さんの手早いこと手早いこと。
しかも、複数人で同時にあちこちで作業するため、すべてに立ち会って逐一確認というわけにいかなかった。引っ越しは、もう10時過ぎには施設への運び出しが終わり、平行して不要品処分も午前中から行われた。施設との電話連絡などでこちらが目を離してる間も作業はめまぐるしく進み、とてもじゃないけどついていけなかった。
声がかかった分だけは、あっちへこっちへと飛び回りながら、要る要らないを判断。でも、声をかけてほしかったところはかからず、気づくとこちら的には「取り分けてあった」品物まで、置き場所がマズかったらしく容赦なく葬られた。もちろん彼らにこちらの趣味趣向などわかるわけもないので、要るものを置いておく場所に避難させるのが少しでも遅れた物はしょうがないと泣くしかなかった。
ぶっつけ本番だった押し入れも、あのスピードの中では中身を見ながらゆっくり選り分けるようなことはできそうもなかったので、お茶箱二つのうち一つはそのまま置いておいてくださいとなってしまった。
そのあと施設に行って、運び込んだものの設置や整理があるのに、もうヘトヘトだった。
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