介護認定のワナ(2)#38

病院のすすめで、よかれと思ってわざわざ要介護認定の区分変更をかけた。その結果が、むしろ悪い(軽い)方へ変更されると知って、私は電話で係の人に食い下がった。


病院からは絶対大丈夫、先生もそのように診断書を書いていると言われていた。

なので、診断書も見たうえでの判断ですか? と訊いたら、そうだと言う。ふつうは、認知症が出ると最低要介護1と言われているらしいので、母が認知症であることも説明した。が、今この電話で私に言われても…とのこと。


実は、今回の区分変更にあたって本人(と家族)面談を受ける時、私はわざわざ遠方から車をぶっ飛ばして駆けつけた。そして、面談開始時間の5分前に到着したのだ。なのに、もうとっくに本人と面接官二人きりで話が始まっていて、ほとんど終わりかけなくらいだった。

私が入っていくと、それまでの話がどうだったかも、今どういう話の流れかもわからないままに、「最後にご家族から何かありますか」と訊かれた。一から言いたいことをすべてしゃべり始める雰囲気ではなく、とにかく服薬管理ができずに大変で、このように入院までして…というような話しかできなかった。でも、そのあとは看護師から参考意見を聞くということだったし、医師もがんばって要介護を取れるような診断書を書くと言っていたので、大丈夫だろうと思っていた。

それが甘かったのか。きっと母は一人で面談してる間、いつものように「私は大丈夫」アピール全開だったのだろう。


とにかく、目の前の窮状を何とかしなくてはならない。考えたあげく、私は区分変更をいったん取り下げたいと言った。だって、放っておけば要支援の2だったのだから。すると、この段階まで手続きが進んだものを取り消すことはできない決まりだとにべもない。

しかも、腹が立ったのは、区分が下がることになるがこのまま進めていいかと、地域の担当のケアマネ(うちの場合は例の保健師)に確認の連絡をしたら、そのまま進めてOKの返事だったから進めたという。

どういうことかと思って地域包括支援センターに電話すると、その担当者は異動してもういないと言う。


まったく、やられた! と思った。異動のてんやわんやなのか、大事な時に適当な仕事をされてしまった。

病院のソーシャルワーカーに連絡すると、彼も驚いて怒ってくれた。そして、時間はかかるけど、もう一度変更手続きをし直しましょうということで、お任せした。今度は施設に面談に来ることになるので、参考意見として施設側がうまく言ってくれるだろうとのことだった。


なんだかいろいろ待ってばかりだが、しかたがない。受けられるサービス内容や料金は、次の決定まで保留になるけど、とりあえず入居を決めた施設は要支援でも入居できるということで、そのまま手続きを進めてもらえることになった。


それなのに、一難去ってまた一難。さらにまた足止めを食う事態が発生。

どうしてこうもすんなり行かないのか。やはり、母は本心では施設には行きたくなくて、その思いが無意識にコトの流れに影響してるのかとさえ思ってしまった。

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