やっと行き先決定。#40

要介護認定の区分の決定は、面談員によって、またはその時々の行政側の都合(福祉予算)で、なるべく低い区分に認定しようとする場合があるとか言われた。生活保護の申請などでもよく聞く話だ。

ともかく、今回は周りの詳しい人たちの助言に従って、「要介護」に変更してもらうべく申請し直してもらった。


問題は、退院まで2週間ちょっとというタイミングで、入居手続きを進めてもらっていた施設=サ高住が、謝りながらも断ってきたことだった。空いていて、入居可だから募集を出していたはずなのに、なぜ? しかも、私たちは即決でお願いしたのに。


聞けば、実は「入りたいけど、今すぐは入れない」と、長い間保留にしていた希望者がいたらしい。あまりに入らないので、「ほかに希望者がいて、そちらがすぐに入りたいとなったら、そちらと契約することもある」という条件で保留を認めていたのが、私たちの方と契約しますよと一応断りを入れたら「いや、すぐに入るから(権利を)譲らないでほしい」と言ってきたという。

施設側もガイドさんに平謝りだったらしいけど、私たちにしてみれば、その施設を見てしまったら、ほかの施設に妥協はできない気持ちだった。


結局、ガイドさんが別の施設をピックアップしてくれることに。こちらの希望条件だった「個室にトイレがほしい」というのを取り下げるなどして選択肢を広げてもらったところ、2軒が該当した。


1軒は、食事はつくが、服薬管理などはしてくれない、本当にただの共同住宅くらいのところ。完全に自立した人や軽度の認知症ならよいかもしれないけど、母の場合はどうか。

もう1軒は、施設は古く、食堂も狭く、みんなで集ってくつろげるような広いスペースがなかった。でも、スタッフさんが一生懸命で、生活支援などについてもいろいろ提案してくれるようなところだった。服薬管理も頼める。


もう入院期限の3カ月が迫っていて迷っているヒマはなく、後者を選ぶしかなかった。


退院の2日前に病院で、施設の担当スタッフさんたちと面談があった。こちらの希望や心配してることなどを伝える。

「けっこうプレッシャーですね(笑)」と苦笑しながらも、できる限りの支援体制は取ると言ってくれた。

要は、うちの母は介護認定が低いのに、自分でやれないことが多い=手間がかかる、という何とも中途半端な状態なのだ(割に合わない入居者ということ)。でもそれも、申請し直せば絶対に「要介護」がつくと施設長も言ってくれたので、今後は使える行政サービスも増えて、施設の負担も減るだろうということで、こちらの希望を聞き入れる形で契約してもらえることになった。


2日後には、いよいよ退院となる。

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