介護認定のワナ(1)#37

何度か書いたけど、入院して母の認知症はちょっと進んだように見えた。

施設見学の時も、3軒目に着いて車を降りる時にいきなり財布を取り出して、ガイドさんにお金を払おうとした。私たちが驚いて止めると「だってタクシーでしょ?」と言った。いつの間にか意識が混濁したらしい。久しぶりの外出で、3軒目の時は疲れてきていたのかもしれない。


さておき、私たちが探していたのはサービス付き高齢者住宅、いわゆる「サ高住」だった。

老人ホームや介護施設などの高齢者向けの住宅にもいろいろ種類があって複雑なので、なぜサ高住なのかはここでは触れないことにします。

いずれにしても母の場合は、体は動くけど生活管理ができない、服薬が適切にできない時がある、洗髪など一部は介助が必要、ということで完全自立ではない=生活していくうえで誰かの助けが必要なので、「サービス付き」というふうになった。


一方、施設の種類によっては、入居者が要介護認定のどの区分になっているか(※)で入居の可否が左右される場合がある。要介護以上の人のみ受け入れとか、要介護がつくと入れないとか。詳しくはネットでわかるので割愛します。


ガイドさんによれば、たとえば要介護以上だと介護サービスを受けるのに要支援より多くの公的な補助が出て、施設によってはそれが収入源になってるということもあるらしい。逆に、こういう大人の事情は私もよくわからない。


で、以前に書いたとおり、うちの母は要支援2を取っていた。軽い方から2番目の区分だ。病院側からは、服薬管理ができない点などは絶対に介助が必要ということなので、区分を一段階でもいいから重い方へ変更してもらうべきと言われて、ソーシャルワーカーに手続きをお任せした。その方が、施設の選択肢も増えて、探しやすくなるということだった。


母が完全自立できないのは、主に認知症のせいだ。認知症がある場合は、最低でも要介護1がつくと太鼓判が押されていた。そして、区分変更の手続きがどうなったか、無事に(?)「要介護」がついたか、施設見学の前に家族から役所に問い合わせて確認してほしいと言われたので、電話をかけた。

すると、ちょうど「明日の審議で決まります」というタイミングで、正式決定は明日もう一度電話で聞いてくださいと言われたのだけど、一次の書類審査のようなものの経過をお知らせすることはできると言う。


そこで驚くべきことが判明した。

なんと、要支援2から、より軽い要支援1に下がっていたのだ。おそらく審議でそのまま決定するだろうと言われた。

放っておいたら、7月まで要支援2の資格だった。ふつうは、わざわざ区分変更をかけるということは、状況が悪化してその区分のサービスでは足りなくなってきたということだ。なのに、下がるとはどういうこと!?


長いのでいったん切ります。


(※)要介護認定は軽い方から要支援1、要支援2、要介護1〜5となっている。要支援は、介護までは要らないものの生活に何らかの手助けが必要という段階。

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