入院って、本気ですか?#15

近くに住む民生委員の人から思いがけない情報。

思い込みのせいもあるとはいえ、適切な服薬ができてない状態=一人暮らしが難しくなってきている、という、言われてみれば当たり前の事実も突きつけられた。


大枠はわかる。

でも、いま差し迫って必要な目の前の問題を早く解決しなくては。


もう、本当に相談するところがない。行政サービスで、そのほかの相談先はないか。

「介護相談センター」というのを見つけた。


電話すると、多少年配の女性がものすごく親身に話を聞いてくれた。

最後に、「お腹のマッサージはしてみました?」


今さらのアドバイスだし、ピントもずれてるけど、親身さには少し救われた。

そして、お尻に手を入れて搔き出そうとする例はけっこう多いですよ、という情報(?)も、うちだけじゃないんだと思えた。


でも、やっぱり求めていたこととは違う。

出口は、まだ見えないのではなくて、もしかすると「ない」のでは?


結局、誰かが常についていて、食事から睡眠まで全生活の管理、薬の管理、トイレに行かせない、便のことを気にしないように言い聞かせる、一人で薬局に行かないように見張る…などなど、完全24時間体制が取れればいいのだ。


正直、自分が母の地元にいるなら、たとえば同じ建物内の別の部屋に住むなどすれば話が早いと思った。24時間見張るのは無理にしても、常になだめたり、言い聞かせたり、ある程度は目を届かせることもできる。生活管理も、遠距離の行き来の大変さがなくなる分、気分的にはラクになる。

この時の状況としては、距離が離れているので、こちらから毎日電話するようにはなっていたけど、そのほかに母の方からも、本人的にどうにもこらえ切れなくなるたびに突然電話をかけて来て、「手術で便を出してもらいに行く」とか無茶なことを言ったりすることがあって、電話越しにそれをなだめるなど、こちらの精神的にもこたえていた。

だから、近くにいて状況を目で確認できてる方が、「突然何が起きるか」と遠くでやきもきしてるよりは、私の心臓的にも良いと思われた。


でも、それが今すぐできることじゃないから困っている。


また通院の日。

こちらももうメンタルの先生には何も期待せず、相変わらずです、困ってますと、淡々と言った。すると案の定、母に向かって「娘さんが、言うこと聞いてくれないって困ってるよ。どうだい、入院してみるかい?」と、現実味のないノーテンキなこと言ってる(と私には思えた)。


すると、なんと、母が「入院した方がいいですか? わかりました、じゃあします」と言ったのだ。


え? 本気で言ってるの?

っていうか、そもそもこういう場合に、入院なんてアリなの?


いやいや、どうせ母はすぐに忘れて、あとで、「イヤだ、そんなこと言ってない」って言うに決まってる。


それに、ただ「市販の下剤を飲ませないために」、病院に入れて強制的に「薬局から隔離」するなんて、そんな都合のいい入院なんてどこがさせてくれるの?


そんなふうに、目の前の話の流れを半ば冗談として受け流しつつある私をよそに、医師は内線電話でソーシャルワーカーを呼び出して「入院設備のある精神科のリスト持って来て、渡してあげて」と指示していた。


え? えぇ?? マジでその流れ!?

母の真意も、先生の言ってることも、まったくつかめてない状態だった。

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