服薬管理ができない!#6

結局は呼ばなかったけれど、あわや救急車騒ぎになるところだった母の自称「重症の便秘」。


ここへ来て、私もたかが高齢者の便秘、誰もがなるものと言ってられなくなってきた。

ちゃんと対処しようと考え、症状を確認してみた。


トイレに行くたびに出たか訊くと少し出たと言うので、まったく出てないわけではない。つまり、出たことを忘れて出ない出ないと言ってることがあるとわかった。

そして、なぜかある一つの日にちにバカの一つ覚えみたいにこだわり、「○日には出たけど、それからずっと出ていない」と繰り返す。たぶん思い込みか勘違いだ。

それと、「硬い便が出ずに出口に引っかかってふさぐので、腸の中に溜まっているものが出ない」と感じていることもわかった。


考えた末、ふつうの内科や胃腸科ではなく、肛門科のある病院へ行ってみた。

そこで肛門カメラを入れて、出口に何もないことを本人も確認して、お腹のレントゲンも撮って、気にするほど便が溜まっていないことも視覚的に確認し合った。

そして、便がひとかたまりになってスルッと出るようにとのことで食物繊維剤と8週間分の下剤が出て、これで一安心。


のはずだったのだが。


私は遠方に住んでいて、母を訪問した時にはほぼ毎回泊まりがけになるので、母のトイレの様子もじっくり観察してみることにした。

トイレの回数、どんなものをどんなふうに食べ、どんな便がどれくらい出たか。それをふまえて、下剤は錠数を調整するように言われていたので、どれくらい飲めばちょうどいいのか。


というわけで、肛門科に行った1週間後、妹ではなく、また私が母を訪問した。

すると、なんと!

一錠ずつ飲めば8週間分だった下剤が、すべて飲み切ってあった!!

それでも本人は効果に満足してなくて、さらに市販の下剤を買ってきて飲んでいたようで、それでも出ないと言い募る。


驚き果てて、また病院に連れて行くと、あれだけの量を処方したあとでもう一度下剤は出せないと言われたのだけど、病院のちゃんとした下剤がもらえないと市販のより刺激の強い好ましくない下剤を自分で買って来てしまうので…と頼み込んで、やっとのことで処方してもらった。


一連のやり取りを聞いていた看護師さんの眉をしかめた渋い表情。

1週間前の薬はどうしたのかと訊くので「飲み切ってしまった」と答えると、漫画みたいに目を見開いて口をあんぐり開けた表情を見せた薬剤師。

これはただならない深刻な事態になってきた、と、私も重い気持ちになっていった。

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