それ、便秘じゃなくて認知症?#5

便秘と思い込んで、自分で下剤をもらいに行った母。


ある時、私は母の家で、処方された下剤の薬袋を見て不審に思った。

一回に二週間分とか処方されているのに、別々の複数の病院から二日違いくらいの日付で薬が出ているのだ。


母に確認すると、「もらった薬が効かないから、別の病院に行ってみた」とのこと。

この時点でも、まだ「そんな知恵があるんだ!?」と思っていた私。


そんなある日の夕方、私が遠方の自宅にいると、母から電話がかかって来た。

「お腹が痛い」とつらそうだ。

聞けば、もう一カ月便通がないという。


慌てた。もう17時を過ぎていたため、母の地元の救急当番の病院を探したり、相談ダイヤルに電話したり。

相談センターの看護師さんに症状を言うと、「救急車を呼んでもいいくらいですが、タクシーにするかどうするかはご自分で判断してください」とのこと。

腸が破裂するほどではないと思い、すぐにタクシーを手配して、母に出かける支度をしてタクシーを待つように電話で伝え、妹にメールで病院を教え、仕事が終わったら駆けつけて付き添ってくれるように頼んだ。

本人では症状の説明がおぼつかないと思ったので、当番病院にも事前に電話で事情を伝えておいた。


その後、やきもきとただ結果を待つのもつらく、頃合いを見て妹にメールすると電話が来た。

「思った通り、何でもなかったよ」と呆れたように笑っている。


なんで笑うの?

私は半ば腹を立てて、どんなに切迫した感じだったかを妹に訴えた。

すると、「だって、私が病院に着いたら、ママ何て言ったと思う?『私、なんで病院にいるんだっけ?』って言ったんだよ」と来た。それには私も拍子抜けして、なヌっ!?となった。


診察室で妹がこのところの症状を説明したら、医師がお腹を触診して「お腹は全然柔らかいですよ、大丈夫」とのことだったらしい。1カ月分の便などなく、おそらくは認知症から来る思い込みだった。

ただし、病院としては救急で来たからには何もせずというわけにもいかないらしく、念のためと言うことで痛み止めの頓服と、また下剤が増えただけだった。


結局この時は笑い話で済んだので、これにて一件落着となればよかったのだけど、そうはならなかった。

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