第10話 新たな日常
「お、ユウキ。今日一緒に遊んでかねぇか?」
「ごめん無理! 今日、用事があるんだ。じゃあ、また!」
友人の誘いを断り、僕は走って校門を出る。
「ほらほら、また現れたみたいだよ!」
淫獣が急かす。
逆らったらあとが怖い。男として死ぬ。
「早く行こう。今日も怪物を倒しに!」
「わかってるよ。出現場所はどこ?」
あれ以来、僕は魔法少女として、毎日戦っている。
いや、戦わされているというのが正しいだろうか。
「正直遊びに行きたかったんだけど」
「あとで尻穴を滅茶苦茶にされる覚悟があれば、行ってもいいけど」
「すみません」
こういう風に脅迫されて渋々やっている、というかやらされているのだ。
淫獣に教えられた場所に行くと、世界が変貌する。
何度か経験した、背筋がぞくりとする感覚と共に、あたかも落書きのような世界が現れ――そこで暴れる怪物を見つける。
現実離れした光景。けれども、紛れもない現実。
そこに、三人の少女が現れた。
「遅かったじゃない! 探したわよ! それはそうとやっぱり間近で見るちっちゃい男の子は可愛いわ!」
一人は青髪ロングの……ショタコン。僕を見て目を輝かせている。
「そんなのどうでもいいからさっさと戦いを終わらせて二人でラブラブしようよ~」
もう一人は緑髪をポニーテールにした……レズ。僕のことはお構いなしに青髪の玲菜にべったりだ。
「はははははっ! とにかく目の前の怪物をどうにかしようぜ!」
最後の一人は短く切りそろえられたオレンジ色の髪を持つ……露出狂。全裸でこっちに走ってくる。
もはや突っ込みどころしかない変態三人娘にため息を吐きつつ、目の前の怪物を睨んで言った。
「みんな、行くよっ!」
そして――四色の光が爆裂する。
凛と立つ、四人の少女の姿――はすぐに崩れた。
「ユウキきゅん、可愛スギィッ!」
「うわぁ!」
玲奈が突如叫ぶ。僕はそれに驚いてのけぞる。そして、その進路上にいた緑髪の凛に受け止められ――。
「うわなにこの生き物滅茶苦茶可愛い彼女にしたいよし彼女にしようあたしと付き合って!!」
「へぁ!?」
突然告白された勢いについていけず、困惑した僕を優しく撫でたのは、オレンジ髪の陽香。
「毎度毎度思うけど、なんでこの服脱げねーのかな。いま全力で露出したい気分なのに」
「うわぁ……」
変態は魔法少女になっても変態であるという残酷すぎる事実を確認し、口からエクトプラズムを発射しそうになるが、どうにか抑え、深呼吸。
「そういうのはあとにして! いまは怪物を倒そう。話はそれからだよ!」
そして、戦闘が始まった。
『必殺!』
「怪☆光☆線!」
「デストラクション☆ビーム!」
「昇竜! 天☆牙☆烈☆波!」
「クリスタルホワイト☆フラッシュ!」
四つの閃光は怪物の中心を貫通した。そして、爆発する。
「はあ、どうにか終わった……」
「今日のはあんまり強くなかったわよね」
「それでも油断しちゃだめなのはいつも通りなんだけど」
「でも、ユウキのおかげで助かったぜ!」
僕たちは笑いあい――
『じゃあ、終わったし、さっきの続きでも』
「えっ、ちょっ、まっ……らめぇぇぇぇぇ!」
僕は追いかけられた。
……でも、そんな毎日も、悪くはないかも。
何はともあれ。
今日も今日とて。
魔法少女、やらされてます。
**********
あとがき
今回で完結です。
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
きっと、どこぞの野獣と化した先輩も喜んでます。
何はともあれ、無事に完結させられてよかったです。読んでくださったあなたに最大限に感謝します。あと便座カバー。
追伸。人気が出たりしたら続編を書いたりするかも知れないので、今後も応援よろしくお願いします。感想やレビューなど書いてくれると作者が喜びます。
沼米さくらの次回作にご期待ください。
魔法少女やらされてます。 沼米 さくら @GTOVVVF
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