どうやら私は、彼に窓から突き落とされて死んだらしい。しかし、私は心が広い幽霊だ。よし、街に繰り出そう。
第6話 病院
ー街中ー
街中をふらふらとし続ける。
・・・うん。やることなしに服をウォッチングしたりしているだけで時間は過ぎていきますなぁ。何も買わずに見るだけの事をウインドウショッピングっていうんだっけかな?
・・・外に出ても調査らしい調査してないじゃん、私。これじゃあただのオシャレに
などと考えながらふらふらしていると。
「あ、
と、聞いたことがある名前を呼ぶ声がした気がした。しかし、無視して歩いているとよりはっきりと、近くで聞こえた気がした。
不意に肩をたたかれ、その名前の主が私であると自覚した。
・・・アレ? 肩をたたかれた? 私は幽霊だったはずじゃ?
とんでもない確率だが、たまたま学校をさぼったいしていた私の友人が、これまたたまたま幽霊が見えたとでもいうのか? などと考えているうちに、その人は続けた。
彼女が言うには、『彼女は私の担当の心理系のお医者さんで、
ー病院ー
とりあえず、気づけば彼女が務めている病院の、彼女の部屋とでもいうような個室に・・・いや、病室に連れていかれた。というか、もはやほぼ
そこで彼女は温かいお茶をコポコポと淹れながら、『最近ハーブティにはまっている』とか、『茶菓子は何がいいか』などといったことを話してきた。
私がお茶を飲んで一息ついたことを確認して、私に質問をしててきた。
「どうして、病院を抜け出したのかな? 」
・・・・・? ・・・ハッ!幽霊は病院になどはいらない! もしかして私は死んでいなかったのか?
取りあえず、返事が遅れて相手を困らせるといけない。ここは真面目に言える範囲で答えておかないと。
幽霊うんぬんとか言ったら、頭のネジがぶっ飛んだかわいそうな子として施設送りになってしまうかもしれない。ああ、もしかしたらお祓いされちゃうかも。
・・・取りあえず返事をしよう。
「何のことですか? 」
・・・・嘘はついていない。実際に病院を抜け出したことなど知らないのである。
「う~ん。じゃあ質問を変えるわね。何で街中をふらふらしていたの? 」
「ちょっとした気分転換ですよ。何もすることがなくって」
・・・このまま言い出せなくなって、『あの時言っておかなかったがゆえに誤解を招き後悔した』なんてことにはなりたくはないので、こちらから言い出そう。
「私じつは、記憶がちょっとはっきりしなくって」
・・・しばし沈黙。
「そう、よっぽどショックだったのね」
そして彼女はしきりに、「そうよね」とか、「どうしようかしら」とか言っている。
もし今までの私の考えを読める人がいたら、『である』とか『だが』なんか使ってこいつはきっと残念な文系少女で、
話し方だけで猫かぶってるって?他の娘の頭の中見たことないからわかんないけど、こんなもんでしょ。だいたい、漫画じゃあるまいし何も考えずにしゃべっている人なんてそうそういないはず。
などと、くだらないことを考えている間にもまだ彼女は悩んでいるようだった。
そして、「本当に大丈夫?あなたの選択は大事にしたいけど・・・。」と言葉に詰まっていたので、「私に何があったのか教えてください。お願いします。」と言って、真実を知ることにした。
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