クラスメイト達に無視されまくる私。あれ、私のほうが幽霊なんじゃないか?

第4話 下校


ー通学路ー       


 彼の後ろに続き、学校から帰る途中に話し声が聞こえた。


「か×い××にねぇ。女×××1人×××残して、亡く×っ×××って」


「気の毒××~」


「ほ×、あ××に暗そ××顔を・て」


 ・・・。うん、遠くてよくわからない。すれ違いざまに「恋人さんもいたらしいんだけどねぇ」という言葉だけは聞き取れた。


ー自宅ー


 家に着いてから、さっきの会話を思い出す。多分最初は『かわいそうにねぇ』だろう。その次に、恋人とか言うワードが出てたので、きっと『女の子が1人彼氏を残して死んだ』とか何とか言っていたのだろう。

 フフフフッ、小説の主人公なんかはニブい人が多いが、今私の頭は冴え渡っている!

 さっき、『恋人さん』と言っていたからきっと彼のことだろう。そして幽霊は何か未練を残してこの世にいるはず。そしてわざわざ彼の後ろにくっついているあたり、私は彼のか・かかの・・彼・・・。・・・ここ、恋人であったんだろう!

 ・・・ああ、恥ずかし!幽霊だけど恥ずかしい。なんだか急に今の状況に恥ずかしくなってきた。未来から来た私に急に結婚相手を教えられたような、嬉しいような恥ずかしいような、信じられないような、何とも言えない感情がこみ上げてくる。

 一応幽霊ではあるが、(元?)中学生の分際で恋人と一つ屋根の下とは!

 我ながら、調子に乗りすぎなんじゃないか思う。

 

 それにしても、幽霊ってどこまでのことができるんだろう?

 今の私がどれだけのことができるのかはわからないが、とりあえず手あたり次第出来ることからやってみようか。

 そういえば彼は食事をとっているな。私も便乗してみよう。


 彼が夕食を食べている席の前・・・ではなく、他に席は・・・。ちょっと待てよ、ソコ以外に場所がない! ・・・・。

 うん、この場合はもう仕方がない。その前に、炊飯ジャーの中に入っている少し冷えた、ご飯を茶碗に盛って・・・。盛れた!?

 じゃあ、席に座って、ぱくりと一口・・・・。うーん、何の味もしない気がする。

 とりあえず夕食を食べ終え、風呂にでも入ってさっぱりと・・・、はできないな。何もないのに急にシャワーなんかが動き出したら、それこそ大事になる。ラップ現象の張本人になってしまえば、私もめでたく悪霊の仲間入りしてしまう。

 

 そうなると寝るか。睡眠不足はお肌の大敵!

 フフフフッ、ゴーストジョーク!

 霊体にお肌ってあるのか?まず睡眠っているのか? ・・・いやしかし、暗い部屋の中を物色するのも、こんな夜中を外に出て何かするのも怖い。かといって電機をつけるのは、迂闊うかつだろう。

 そうなったときの選択肢は寝ること一択だろう。そうだ、そうだー!


 などと思い布団に入ったのはいいが、こういう時は実に寝られないものである。

 自分の今の状態が分かってすっきりはしたが、寝ているうちに成仏してしまったらどうしようとか、朝起きたらこれは夢だったとか、そんな希望と絶望を胸に、脳がフル稼働かどうしている。幽霊になるとテンションが上がり、脳が活性化するのか? とかなんとかと、今の状況を冷静に分析してしまっているが、死因も分からないし、記憶も混濁こんだくしているところがあるし、ただ単に、現実味がわかないだけだと思う。


 ・・・・・。羊が一匹、羊が2匹。・・・・。昔ながらだが仕方ないだろう。


 ・・・!数何処どこまでいったけ? とりあえず、ひゃくにじゅう・・・さんくらいからでいいか。

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