幽霊のくせに、おいしそうに食事をとる彼。その上しゃべって、学校まで行くと来た。私は、好奇心に負けてついていくことにした。

第3話 学校


ー通学路ー


 こう、彼の後ろを歩いててふと思ったことがある。まるで幽霊らしくない彼よりも、こうやって彼の後ろを歩いている私のほうが、背後霊っぽいと思う。

 少し馬鹿げすぎているとは思いつつも思考回路を止めずに歩き続ける。


ー学校ー


 そんなことを考えているうちに、学校についてしまった。

 校門をくぐって、玄関から入っていき、上履きに・・・!? 私の上履きが・・・無い! ・・・イジメられるようなことをした覚えはないが、ここは冷静に貸し出し用スリッパを使って平然を装おう。

 イジメ相手には完全にド無視ぐらいしてやるのが私の流儀である。はなから眼中にないというやつである。


 さて、私は平然を装ったまま彼の後ろについていく。

 ああ、どうりで彼を見た気がすると思った。私と同じクラスに、何のためらいもなく入っていく。

 そこで私は声をかけられた。


「おはよう! 」


 ・・・男子生徒か。うん、元気がいい挨拶だ。私も続け「おはよう。最近いい天気が続いてるよな」

 ・・・あれ? ちょっと待てよ、私は声を発してないぞ? もしかしたらと思って、周りを見渡すが、今来た生徒はほかにいないようだ。となると・・・。

 などと悩んでいる間に彼は、挨拶をしてきた男子生徒のもとに行き、楽しそうに話し始めた。


 そうか・・・。さっき馬鹿げていると思っていた考えは当たってしまっていたのか。ホントのところは、私が彼の背後霊だったのかもしれない。

 彼はおいしそうに食事をとっていたが、私には食欲がない。彼の声は聞こえるが、私の声は彼には聞こえない。

 よくよく考えてみれば確かにそれが一番つじつまが合う。私はそれを認めたくなくて、現実から目を背け、知らず知らずの内に、答えを出さないようにしていたのかもしれない。


 教室に教師が入って来て、HRホームルームを始める。私は休みの席だったのか知らないが、たった一つだけ空いた席に座って、授業を聞き流した。

 フフフ、もしかしたらこの席は私の席だったのかもしれないな。私が死んで持ち主がいなくなって、空席にでもなったんだろうか。

 私の思考回路は、授業中に嫌でも回り続けた。

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