ある朝椅子の上で目覚めた私は、不審な男が家に入ってくるのを目撃する。体がすり抜ける、幽霊と思われる男のあまりの衝撃に、とりあえず寝ることにした私。さあ、どうする私!?

第2話 翌朝


ー次の日ー       

                

 気が付くと、私は・・・。コホン。目が覚めたが、ここはイスの上ではない。見慣れた自分のベッドの上だ。

 もしかしたら、さっきまでの記憶は夢の中の出来事だったのかもしれない。妙にリアルではあったが、夢だったなら、何が起きても不思議ではないだろう。

 『では、いつから眠っていたのだろう? 』などといったセリフが存在するが、そんなの自分で分かるわけがないと私は思う。仮眠などを自由に取れ、睡眠を完全に支配していれば、話は別だろうが、私にそんな能力はない。


 ・・・そう言えば、さっきからなんだかおいしそうなにおいがするな。そうそう、私はこのにおいで目を覚ましたんだ。トーストの焼ける匂いだろうか?

 匂いに誘われて、私はふらふらと階段を下りて行く。


 階段を降り、『夢であってほしい』という。先ほどのかすかな願いともいうべき仮説が打ち砕かれた。

 昨日の青年が、まるでの日常を過ごしているかのようにトーストにかぶりついている。

 ・・・ああ、幽霊も食事をとるんだ。そんな光景を見た私は、先ほどのいい匂いは何処へやら、SAN値直葬、食欲低下。幽霊がものを食べてるなんてと思うと食欲も失せるものだ。

 目が離せなくなって見続けていると、まるで生きている人間みたいにおいしそうに食べていることに気が付く。

 そんなことを思ったとき「もうそろそろ、学校行かなきゃな。」と、声が聞こえた。しかし、この場所で声を発するのは私ぐらいのはずだ。勿論もちろん、テレビや近所の人の声ではなく、近くではっきりと聞こえた。もとよりテレビなどはついていなかったが。

 しかしそうなると彼が発したこととなる。

 そういえば、昨日も私が目覚めたのは彼の帰宅時の挨拶である「ただいま」という言葉によってではなかったか? ・・・ついに見えるだけでなく、聞こえるようになってしまったか。

 はぁ・・・声まで聞こえるなんて、末期症状かな。


 そんなことを考えている間に彼は身支度を終え、に向かおうとしていた。

 ・・・幽霊が学校に行くのか、興味がわいてきたな。

 おっと、一時的な発狂によって、正常な判断もできなくなってっしまっているのかもしれない。好奇心は猫をも殺すということわざもあるというのに。

 ことわざ・・・。あ、ことわざで思い出したぞ。私は学生だった。

 ・・・う~ん、文法的にはタ形の想起なんだが、いまいち過去形感が拭えないなぁ。

 文法の話はさておき、どうやら彼の制服は私の学校のもののようである。これは都合がいい。身支度を整え、彼の後ろに続いた。

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