モノクローム

Rin

モノクローム

寂れた《さび》学校の教室。

私達はこの学校から旅立ちます。

そう、胸に誓ったあの頃……。


私達のモノクロームの青春は始まっていた。

今にも壊れそうなこの校舎。

私達は、思い出にレンズを向けた。

でも、どこか昔の校舎を多々思わせるような

感じで、他の都会的な学校に行くというよりも「学校に行きたい」そんな学校だとは、私

は思う。

こんなこと思う私は変たろうか。


青春という字は、綺麗な字で表現されている。淡い春の訪れが来て、時には別れが来るということが含まれていると私は思う。


思い出は人々によって違うし、記憶を蒸し返すものでもない。

自分の胸にしまっておくもの。

そんな事を思っている内にもう、この校舎と

お別れの日がやってきた。


式も終わり、やっと一段落ついた。

教室に戻り、先生は……。

一呼吸おいて、静かに話し始めた。

先生が、「皆と一緒に居られるのもこれで、

最後だなぁ……」そんな事を口にした先生の

顔から、大粒の涙が零れていた。


沢山の人達との出会いが逢ったが、唯一私が

本当の友達だと思っている"彼"は、見捨てたりはしなかった。


彼がいたから私は、思い出を残すことが出来た。

彼のレンズの向こう側に私が、どう写っていたのかは分からない。


たけど、人間は忘れていくものだけ、彼のようなものだったら、楽しい思い出も苦い思い出も、どれも蘇らせてくれる。


だから、私は彼に会わなければ、こんな幸せなことはなかったからなかった。


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モノクローム Rin @Rin_2019

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