ナタリー人によろしく

@dwlisa

第1話

雨が降っている。

風が吹いている。

クローバーの柄のカーテンをそっと開け、窓から外を見る。

通りを歩く人は傘をぎゅっと握りしめていた。

テレビの音量をあげないと、大好きなバンドの曲が聞こえない。

こんな雨の日だったらしい。

ナタリー人最初の子孫、私が産まれた日も。

あれ?

何気なくナタリー人と出してしまったが、あなたはナタリー人を知ってますか?

さぁ、街の人に聞いてみよう!

ここは渋谷のハチ公前。日曜の14時。朝のニュース番組でお馴染みの山本アナウンサーが突撃レポート。山本アナウンサーは今日も丸眼鏡に白いシャツ、赤のドットの蝶ネクタイを結んでかわいい装いだ。

一組目。

「こんにちは。」山本アナが声を掛ける。

「こんにちは。」二人組の20代前半の女性は、山本アナに声を掛けられ、カメラをまわされ、照れながら、二人で腕をしっかり組み、お互いを前に押しながら挨拶をした。

「今日はお休みですか?」山本アナが聞く。

「休みです。」二人が笑いながら答える。

「お名前は?」山本アナが聞く。

普通こういったインタビューでは名前を聞かない。しかし、山本アナは何故か二人の名前を聞き、二人も笑いながら、

「なんで聞くの?名前?中村です。」

「宮本です。」答えた。

「お二人は今日は何をしに渋谷に来られたのですか?」山本アナが聞く。

ベージュのセットアップを着ている中村さんが、

「買い物です。」ノリノリで答える。買い物が好きなようだ。

「今日もおしゃれですね。」

「ははは。」照れながら二人はお互いを前におしあい、腕をからめて笑っている。

そして、山本アナは本題に入った。

「それでは質問です!あなたはナタリー人を知ってますか?」

「えっ?ナタリー人?なにそれ?しらない。」と中村さん。

「聞いたことないですね。」と宮本さん。

「ですよねー。私も知らなかったです。」

山本アナ答える。

このインタビューは一体?

なんのために?

「…」

3人に沈黙が流れる。

気まずい。

なんだこのインタビューは?

「はい。ありがとうございました。」山本アナが二人にお礼を言う。

「ありがとうございました。」二人は首を傾げながらその場を立ち去る。

ナタリー人は一体なんなんだ?だれ?

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