第2話 琴音周辺 大人

山瀬絵里(絵里) 身長162cm 34~35歳

地元の図書館の司書。それとは別に、目黒にあるという実家の両親の事もあって、日本舞踊の名取という顔も持つ。

また、琴音達の通う学園のOBでもある。

鼻は小鼻で、目はクリクリと愛嬌ある感じだが、そんな中でもキャラとは真逆に品があるような顔立ちで可愛いと、出会った当初から琴音は思っていた。

髪型は、とある理由で”キノコ頭”にしている。

そのアンバランスさが性格に見た目を近づけている…かも知れない。だだ、この時点では、徐々にキノコから髪型が離れていっており、最近はキノコというよりも、市松人形ヘアーになっている。これは明らかに有希の例の助言故だろう。

言動や振る舞いで、良くも悪くも大学生でも通じるくらいには実年齢よりも若く見える。ハキハキと喋るサバサバ系。

小学生以来、ヤケに体をベタベタと触ってくるような過剰なスキンシップを今だにしてきているが、琴音自身その都度嫌がりつつも、早い段階でその流れが無いとシックリいかない体質になってしまった。…要は慣れてしまったようだ。

そんな絵里だが、本人達と同じくらいに琴音と義一、そして父である栄一との間の微妙さ加減を察した上で熟知しており、何かにつけて私たち二人に優しさ故に叱ってくれる。割合としては義一が圧倒的だ。

琴音自身よりも我が事のようにアレコレと気を遣ってくれるその姿に、これほどまでに親しくなる幼い頃から、元々身の回りにおいて数少ない心を許していた大人ではあったのだが、ますます好きになる…いや、様々なことについて感謝の念を覚えていた。

絵里が義一に関して何を想い、いや、どんな感情を持っているのか…それは先の話だ。




君塚沙恵 身長177cm

間柄 ピアノにおける師匠 36~37歳

肩幅は若干ある方だが全体的に細め。スラっとしているモデル体型。目は二重の少しタレ目気味、顔の一つ一つのパーツが小ぶりで、和系美人の典型みたいな顔付き。髪型は、胸のトップにかかるほどの、前髪ありのクラシックロングストレート。黒髪だ。レッスン時は後ろで軽く纏めている。

高校卒業後、ドイツに単身飛んで修行を積み、技巧派のソリストとしてヨーロッパ各国で活躍していたのだが、そんな中、二十代も後半に差し掛かった、芸に脂が乗り始めるその頃合いに、不運にも自身で運転する車と対向車とが接触する事故に遭う。

怪我自体は日常生活には支障がないレベルで済んだが、少なくとも本人や極一部の人からしたら違和感に取られるレベルで指が動かなくなった。

それに悲観していた沙恵は、唯一心の許せる親友の京子の提案で日本に帰国した。

自暴自棄にイタズラに日々を送っていたその時、ふとしたキッカケで琴音の母である瑠美と出会い、あれよあれよと流れでピアノ教室を開く事となった。

その第一号の生徒が、当時小学二年生になったばかりの琴音。





矢野京子 身長175cm

沙恵にとって、ピアノにおけるライバルにして親友。

癖っ毛のロングヘアー。前髪を八:二に分けてフンワリと立ち上げた、重めの片方サイドがセクシーで、大人っぽい雰囲気を醸し出している。

顔のパーツが小ぶりなのは似ているが、髪のクセといい、目元がツリ目気味だったり、歯に衣着せぬ物言いなど、ある種沙恵と真逆な面があり、二人が揃うと絶妙なバランスを保っている。

小学校四年生の時、全国規模のコンクールの決勝の舞台で沙恵に惜しくも敗れて二位になった、それ以来の付き合い。

それからは、東京に住む沙恵、神戸に住む京子と、一緒に参加するコンクールや、ただ単純に暇な時にお互いの地域に遊びに行くなどの以外は、離れ離れで青春時代を過ごしていたが、関係が薄れたりなどして途切れる事は無かった。むしろ年を重ねるごとに深まる感があったというのは、別々に聞いたにも関わらず共通した答えだった。

今もこうして実質引退状態の沙恵、”ピアノ”という大きな部分を占めていたはずの共通項が薄れてしまっているのにも関わらず、二人の関係は変わらずに続いている。

芸だけではなく、琴音が理想とする友人関係の姿だった。





澤村有希 35~36歳 165cm

舞台女優。学園時代、演劇部内での絵里の一年先輩。

髪型 真ん中分けのロングヘアー。

絵里の家で何度かアルバムを見せてもらった中で、部活の練習、または本番の写真の中で一際目立っていた。

品良く鼻筋が通っていて、目も綺麗に細く横に長く切れていて、キャラとは真逆に品を感じるような顔立ち。

全く面識がなかったのにも関わらず、廊下ですれ違っただけだというのに、そこで急に演劇部に入らないかと誘ってきた…というのは絵里の弁だ。

そもそも有希の存在を知っていて、密かに憧れてもいた絵里は驚きつつも嬉しく思い、何も考えないままに演劇部に入部した。

中高一貫校の学園生活、それからずっと高校卒業するまで一緒に演劇部での部活動を楽しんでいた。一年先輩である有希が卒業して大学に進学した後も、何度かプライベートで会ってたりしていたが、ふと急に『大学を中退して、演劇の世界にドップリと飛び込むことにした』と言い捨てて、それからは音信不通となっていた。

それから十五年近くも経ったある日、琴音に誘われてとある演劇を観に行くと、その役者の中になんと有希がいるのを見つけて、劇の後で楽屋にお邪魔した時に久しぶりの再会を果たすこととなった。

それからは、すっかりいきなり音信不通になった事、その後の間の空白期間についてなど、お互いにアレコレと詮索することも無く、むしろその間を埋め合わせるように、琴音の知らないところで学生時代のように何度も会ったりして過ごしているようだ。

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朽ち果つ廃墟の片隅で 二・五巻 遮那 @shana-oh

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