文学少年(変態さん)は世界最恐!? 〜明らかにハズレの【書誌学】、【異食】、にーとと意味不明な【魔術文化学概論】を押し付けられて異世界召喚された筈なのに気づいたら厄災扱いされていました〜
軍社大戦 -マハーシュバラ帝都三陣営激突- Ⅷ
軍社大戦 -マハーシュバラ帝都三陣営激突- Ⅷ
異世界生活百六十三日目 場所超帝国マハーシュバラ
「
ステータスが一気に低下する倦怠感のようなものに襲われるが、それでも数値変動は微々たるもの……無視できる範囲だ。
「【戦律・王土】」
〈
「【戦律・破竹】」
【戦律・王土】でパージした装甲を囮にしてさっきと同じコンボで襲い掛かってきたインフィニットの攻撃を【虚空ト異界ヲ統ベル創造ト破壊之究極神】の空間移動を発動して回避。
「彼の者、十万億土の果ての異界の彼方より反転せし母なる水をもたらさん。蛟よ、その顎門を開き、障碍の尽くを退けん――《
【虚空ト異界ヲ統ベル創造ト破壊之究極神】となったことで、俺は異界の力の悉くを操作する力を得た。
異界の焔――その正体は過程を吹き飛ばして相手を消し炭にするという結果のみを導き出す黄金の焔。
異界の沝――その正体は過程を吹き飛ばしてあらゆるものを溶かす薄水色の水。
異界の凮――その正体は過程を吹き飛ばしてあらゆるものを風化させる紫色の風。
異界の圡――その正体は過程を吹き飛ばしてあらゆるものを創造する白銀色の土。
異界の炛――その正体は異界の天使を創造する力。
異界の闇――その正体は過程を吹き飛ばしてあらゆるものを狂乱させる純黒の闇。
その中で【虚空ト異界ヲ統ベル創造ト破壊之究極神】を発動して俺が顕現したのは異界の沝。
その力を寸分狂わず操作して〈
「ちっ……解除だ」
動かないのなら、潔く〈
「将軍サマ、ちょっといいか? 超越技の使用無しの純粋な剣技のみで勝負し、勝った方は潔く次の戦いを見るってのはどうかと思ってな。
「なるほど、
「いや、どこの世界にお前みたいな奴を巡って争う男がいるんだよ? 勝っても地獄、負けても地獄じゃないか」
「……これでも、以前は愛梨子をアイドル扱いして持て囃す者達がいたのだが……自慢ではないが、そこらの女に美しさや可愛らしさで負けるつもりはないぞ」
「それは外見の問題だろ? 今時こっちの世界では外見なんていくらでも変えられるんだから、結局重要なのは中身……そして、どう考えても性格破綻者の狂人教師は例え非モテ代表本好きを拗らせた変態でも願い下げだ。……まあ、敵としては面白い相手だけどね」
「……お前も私と同じ匂いがするな。血の匂い香る戦場を求める飢えた修羅の匂いが」
「……おいおい、一緒にするなよ。俺は確かに戦いを楽しんでいる面がある。それは否定しない。戦闘狂でありながら、どこまでいっても雑魚だから、当然強くなるために常にできることを増やしていく……その過程に面白みを感じているのも事実だ。だが、俺は外交部門の魔王のように、倫理に欠ける戦闘狂ではない。自分の担当しているクラスで発生した悪意を見逃し……いや、同調した、利用したという方が的確か? 挙句戦場を掻き回して、ただ故郷に帰りたいと願っていただけの者達を戦いに巻き込んで命を奪った……お前のような存在ではない。暴れたいなら同じ暴れたい者同士で暴れるべきだ。死ぬ覚悟がある奴だけが暴れるべきだ……事前説明なく巻き込んで、強制的に覚悟を決めさせるのとは明らかに違う。……安心しろ、俺は自分の意思で戦うと言っている。負けて命を奪われたところで文句は言わない。……まあ、勝てればの話だけどね。……んじゃ、任せたな、将軍サマ。そっちも受ける気になったみたいだし、それじゃあ始めようぜ」
「ちっ……貴様如きの考えに乗るというのは不愉快極まりないが、それが手っ取り早いのも事実。貴様を殺したら、次はそこの魔法少女――二人纏めて切り刻んでやろう」
いきなり【究極挙動】の袈裟斬りか……
「くだらんな――その程度か」
唐竹、逆袈裟斬り、左切り上げ、袈裟斬り、右切り上げ……神速を超えた無音の斬撃が衝突し、その度に激しい金属音を響かせる。
明らかにインフィニットの技倆はかつて二度剣を交えた時から上がっている。その速度についていけるということは、俺自身の腕も上がったということか?
筋収縮を利用した猛毒の太刀は見破られる……小細工は絶対に通用しない。
こりゃ、地道に削っていくしかないねぇ。
一合、二合、三合、四合……永劫に等しい無限の時間に思えるほど引き伸ばされた思考と時間の中で、世界の流れがゆっくりになる。
魔梨子が興味深いものを見るような目を向け、白崎達やインフィニットの仲間達が何事か叫んでいる。
でも……どうでもいいか。このどこまで続くか分からない最強の剣士との戦いを、今は全力で楽しみたい。
何度剣を振ったのか、分からない。だが、その瞬間――永劫にも等しい時間が終わりを告げた。
インフィニットの持つ最後の
技倆はほぼ互角だった。集中力が互角だったかは分からない。ただ、唯一俺がインフィニットに優っていたのは武器の強度だったということだ。
純粋な剣士という時点でこのレベル……やはり、インフィニット・ショットシェル大将軍……彼の世界最強の剣士の称号は伊達ではない。
「ふん……約束通り、お前が負ける様をじっくりと拝んでやろう」
「はいはい……んじゃ、待たせたな。別系統の魔法少女――
俺は予め【聖女ノ王】、【堕魔ノ王】、【生死流転】を統合することで完成させておいた【流轉の理】を発動する。
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【流轉の理】LEVEL:1
→流轉の理の力を取り込むことで完成した流轉の魔法少女の究極能力だよ! 任意で自分の望んだ因果を超えた魔法少女に変身したり魔法少女になる前の人間の状態に戻ることができる【任意超因果魔法少女化】、取り込んだ魔法少女の固有魔法を使える【聖女之王】、従えた堕魔を召喚する堕魔召喚、従えた堕魔の使い魔を召喚する使い魔召喚、従えた堕魔の結界を生み出す堕魔結界、従えた堕魔の呪法を使える堕魔呪法がの効果がある【堕魔之王】、空間から自身か自身が触れている存在か誰の支配も受けていないもののいずれかの存在を消すことや出現されることができる【生死流転】の効果があるよ!
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『そ、そんなバカな!? あ、あり得ないリプ!! 能因草子が、超因果魔法少女になったリプ!!』
いや、驚くことではないだろう? 簒奪した人とされた人を含めて二人しかいない世界と違って、制限こそあるものの比較的因果を超越した魔法少女に至りやすいこの世界では――。
◆
【三人称視点】
――女神が降臨した。
口述しがたい七色めいた複雑な色合いの髪は地面に垂れるほど伸び、純白のリボンでツーサイドアップに纏められている。
容貌はカタリナを彷彿とさせるが、女神と形容するに相応しいカタリナすらも霞むほどの絶世の美貌を有する。瞳は七色めいた複雑な色合いと黄金色のオッドアイ。
深遠な宇宙を内包するような純白のドレスを身に纏い、手には花の蕾をイメージさせる形状をした、本来は千変万化の杖――“
透き通る
◆
「さあ、勝負です! 【花売りの狂女】畑山魔梨子!!」
口を孤に歪め、先制攻撃したのは超因果魔法少女カタリナ=ラファエル……まあ、要するに俺。
そのまま魔法少女らしさ皆無の
「……ん? この感覚は久しぶりだな。
……いや、前世で契りを交わした恋人と現世で再会したような恋する乙女の表情を見せられても困るんだけど……。
魔梨子は、どうやら固有魔法――﴾魔法の植物の身体でどんな環境にも適応するよ﴿で身体を超速再生したらしい……なんだ、成長チートならぬ生長チートか。
メ●デルのエンドウとダー●ィンの種を足し合わせたような固有魔法……うん、エデンの智恵の実をぶつけたくなるな。
そもそも、こいつ相手に長期戦とか一番選んではいけない選択肢だよな。
﴾魔法の植物の身体でどんな環境にも適応するよ﴿による環境適応と耐性獲得に加え、【豊穣ト天候之女神】による情報からの能力創造でスキルも強化される。
【神理魔眼】の中にある【確定未来視】……こいつは恐らく俺達が至れなかった……いや、至ろうと思わなかったというべきか? 確定した未来を見通す力がある。
ドッ●オの「エピタフ」と同じ、予知に映る自身が「予知を基に行動している自身の姿」なので、映像の中で攻撃を食らうという事は予知していながらも食らってしまう姿が映るということになる……っていう理論が通じる筈だが。
こいつの超越技は運命改変――【確定未来視】で視認した不都合な運命を一日に一度キャンセルするというもので、絶対に起こりうる未来を無かったこととして因果を無視して消滅させることができる。
まあ、要するにオ●リンがタイムリープを駆使して苦労して変えようとした望まぬ未来を、理不尽を、こいつは一日の間使用できないというだけの条件で無効化することができるってことだ。
確かに、キング・ク●ムゾンに比べたら一日一回という制限を持つ魔梨子の超越技は大したことがないように思えるかもしれない。
しかし、そもそも比較対象が間違っている。この超越技はあくまで魔梨子の保険に過ぎず、メインは植物としての超進化とスキルの進化にある上に、天候操作まで獲得している……その能力の合計値を見れば、どちらがより厄介かは一目瞭然。
「では、仕掛けさせてもらおう。天候操作――
忽ち空に暗雲が立ち罩め、そこから雨……ではなく無数の尖った雹が降り注ぐ。……ってか、雹なのに最早氷柱みたいなレベルの大きさなんだけど、これって殺しにきているよね!!
「【虚空ト異界ヲ統ベル創造ト破壊之究極神】です!!」
立ち罩めていた雲が嘘のように消え、雹が降り注ぐ途中で蒸発して消えた。
「私に天候操作は効きませんよ? オゾン層の密度を操作し、太陽光線の屈折率を変化させ、天然のサブリミナル効果を持つ『悪魔の虹』もオゾン……つまりは気体への干渉で無力化できます」
「これは失礼……そうだったね。しかし、気象現象の限界すらも超越した私の天候支配でも所詮は気象現象の延長でしかない以上、君を超えられないか。……まあ、それを知れただけでも収穫だ。……では、そろそろ決着をつけよう!」
魔梨子は地面を蹴って加速――【一撃羅刹】を発動して自身の全力と魔力を圧縮して一瞬にまで凝縮したか。
この一撃に全てを賭けるということだろうが……【物理無効】も【魔法無効】もあるのにどうするんだろうね?
「“
魔法少女に似つかわしくない、発狂しそうな名前の花の蕾をイメージさせる形状をした桃色の杖を弓へと変形させ、そこに【霊煌ト不見力之妖魂神】の魂消滅エネルギーを収束させた矢を顕現――解き放つ。
「超越技・運命改変」
どうやら、俺の即死級攻撃を予知して無効化したようだな。
俺の魂消滅エネルギーを収束させた矢が魔梨子を擦り抜ける。
「終わりだな! 〈
至近距離から撃てば躱せないだろうと思ったんだろう。まあ、【虚空ト異界ヲ統ベル創造ト破壊之究極神】はタイムラグ無しで光線に干渉することができるんだけど……。
でも、俺はあえてそれをしない。折角だし、お披露目しておきたいからね――超因果魔法少女の固有魔法に加えられた新たな力を。
「【流轉の理】」
その瞬間、俺は――より正確に言えば
空間から自身か自身が触れている存在か誰の支配も受けていないもののいずれかの存在を消すことや出現されることができる能力――【生死流転】の効果と全く変わらないが、魔法少女の魔法としては初のお披露目だな。
オムニバースから消えた俺が移動する先は、オムニバースに含まれない
そして、この世界からは正確な位置を認識していれば世界を超えない限りどこへでも移動可能だ。
まあ、効果はミュレニムの
俺が世界から消えたことで、〈
そして、俺は【流轉の理】を再び発動して俺を見失った魔梨子の頭上に姿を現し――。
「【虚空ト異界ヲ統ベル創造ト破壊之究極神】です!!」
あらぬ方向へと飛んでいった
一度超越技を発動してしまった魔梨子には
避けるという選択肢を取る間も無く、魔梨子は光に呑まれて魂諸共消滅した。
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