軍社大戦 -マハーシュバラ帝都三陣営激突- Ⅶ

【三人称視点】


「〝嗚呼、大いなる主よ! 今こそ汝の慈悲で悪に染まりし全ての怨霊に救いをお与えください〟――〝浄化の光炎領域セイクリッド・ピュリファイ・フィールド〟」


 白崎達&ケリー、佳奈vs英里、捷利(屍傀儡兵デス・ソルダート)、メルド(屍傀儡兵デス・ソルダート)、ホルドーア(屍傀儡兵デス・ソルダート)、その他屍傀儡兵デス・ソルダート一万騎――その中で先に攻撃を仕掛けたのは白崎だった。


 浄化の光に包まれて、屍傀儡兵デス・ソルダートが次々と浄化されていく。

 残る屍傀儡兵デス・ソルダートは捷利一体――【魔法無効】に邪魔をされなければこのまま一気に屍傀儡兵デス・ソルダートを消し去ることができただろう。


「これは……マズイね。捷利君!!」


『全天で最も輝く星の輝きよ、我が正義の心に宿りて、悪に堕ちたる愚鈍を断罪せよ――《全天焼き焦がす煌明セイリオス》』


 聖眩煌剣シュトラウ=マルクォールを振りかざし、青き光の奔流を解き放つ捷利。


「〝付与は新たな境地に到達した。環境を変え、気候を変える力は最早付与術にあらず〟――〝高位付加術ハイ・エンチャート〟」


 しかし、捷利の勇者固有技は白崎達に届かない。

 かつて草子がヤルダバオートの《ヤルダバオート式殺戮光線》を無効化した時に使った空気への付与エンチャートの応用――光を百パーセント反射する特殊な空気の壁をコンスタンスは〝高位付加術ハイ・エンチャート〟で形成したのである。


 反射された勇者固有技はそのまま捷利に襲い掛かった。

 素早く【魔力纏】を発動して勇者固有技の輝きから身を守る捷利――しかし、捷利の【魔力纏】よりも勇者固有技の威力の方が優っていた。


 屍傀儡兵デス・ソルダートとなったことで捷利に死という概念は存在しない。つまり致死レベルのダメージを受けても身体が動く限りは戦線に復帰できる訳だが、それでもダメージは受けないに越したことはない。


 英里側が未だ白崎達やケリー達にダメージを与えることができていない状況下においては、かなりの痛手だと言えるだろう。


『同じ有馬英里でも、俺の知っている英里とは違う奴みたいだな。どっちかっていうと中村の方の恵理寄り? 捷利の方はカオスでもガイアでも捷利みたいだけどな……お前はどこの世界でも天河捷利かよ。……まあ、いいけど。……あっちの英里は有馬要素が強かったような気がしないでもないけど、こっちはヤンデレボクっ娘降霊術師の要素が強いみたいだけど。ってか、あっちの英里は結界師だったし、離れた世界で中●恵里と谷●鈴の関係になっているとか? ……ってか、最近気づいたけど中●恵里と谷●鈴の関係ってレインポスの関係に似ているよね。まあ、あっちには恋とか絡んでないけどさ……最後の一瞬でも分かり合えるエンドか、大切な友達を失いたくないが為に通りすがりの忍者を脱落させながらも、結局最後まで分かり合えずにすれ違ったまま終わるエンドか……うん、まず前提すら成立していないから、この思考実験に意味はないな。……まあ、それはいいとして、そこの自称ヒロインさんお姫様……随分とこの世界を舐めているみたいだねぇ。為家さん・・・・白姫さん・・・・あの戦争で・・・・・負けたのも・・・・・君の成果じゃない・・・・・・・・そこの・・・イカれ魔法少女・・・・・・・女教師・・・乱入したからだ・・・・・・・お前が・・・野望・・達成できた・・・・・のは・・降って湧いた・・・・・・天変地異・・・・のおかげ・・・・だろう・・・? もし、為家さん達・・・・・・・・がお前と本気で・・・・・・・ぶつかっていれば・・・・・・・・為家さん達・・・・・が勝っていた・・・・・・。……で、お前はそれからどうした? 降って湧いた天変地異畑山魔梨子が居なければクラスメイトすら倒せなかった……まあ、為家さんにはメリーさんっていう掛け替えのない人がいた。お前も捷利と一緒にいるために超越者デスペラードに至ったんだから、その気持ちが為家に劣っているとは言わねえよ。だけどな、思いが同じ強さでもお前は今も為家さんやメリーさん……いや、もし白姫さんが超越者デスペラードに至れば、彼女にすら勝てないよ。お前と為家さん達では在り方が違う。彼ら彼女達は、大切な人のために戦う覚悟があった、そういう生き方をしていた。でも、お前は違う。お前は守られるお姫様に酔いしれていたい、ヒロインで居たい……お前のステータスを見れば分かるよ。お前は強力な剣士メルドを憑依させるなり、使徒の身体を手に入れるなりしていた、あのヤンデレボクっ娘降霊術師に劣る。勿論、唯一の家族であった姉には虐待され身も心もボロボロな日々を送る中で「自分の中身を隠して知られないようにする」という才能に目覚め、人事部の秘密兵器として隠匿されていた虹の暗殺者魔法少女にもな。……断言する、お前はここで白崎さん達に負ける。演技が上手いだけの似非ヒロインが本物のヒロインに勝てる訳がないだろう? モブキャラの俺一人でも十分だ。……この戦いの結末ももう見えた。後は頼んだぜ』


 草子は白崎達に向けていた意識を戻し、完全に魔梨子とインフィニットとの戦いに集中した。


「お前はどこまで見切って!? なんで、お前が知る訳がない僕達の過去を!!」


「それが草子君なんだよ。彼には心を読むことができる。心の奥に隠した過去も、草子君にはお見通し。……草子君は、私達が勝つと断言してくれた。なら、絶対に勝てる戦いなんだ……その戦いで草子君の期待を裏切って負ける訳にはいかない」


「有馬英里……我の知る英里とは違ふ存在なり。……殺すことに思ふ者を手に入るる、その歪みし愛を我は許すべからず。我の知る英里ならば、さだめてなんぢを許さず。歪みを見逃すともかたへをいつく英里は確かに間違へり。されど、同郷のかたへとの関係を滅茶苦茶にしてまでおのれの願ひを叶へむとするは、それ以上の悪なり。我は英里の代はりになんぢをさらに討つ」


「あはぁ、随分言ってくれるねぇ。いいよぉ、そんなに言うなら見せてあげるよぉ〜! 僕と捷利君の愛の力を!!」


 と言いながらも、結局捷利恋人任せの似非ヒロイン。


「僕の捷利君は【物理無効】と【魔法無効】を持っている。武器でも魔法でも倒せないよぉ〜」


「そうね……でも、私の超越技なら【物理無効】を超えられる! 最強之武器ツラヌケヌモノナシ最強之防具ツラヌケルモノナシ!!」


 白崎の超越技魂の形は無数の武器や防具となって顕現した。

 だが、この武器や防具は白崎の形無き超越技願いを叶えるために形を与えた化身に過ぎない。

 その本質は超越者デスペラードではない者達にも超越者デスペラードにダメージを与える力を与えるというもの。


 超越者耐性と【物理無効】を貫通することが可能な武器、あらゆる物理攻撃を無効化する防具の生成し支配する。

 また支配権を他者に譲渡することも可能。譲渡された対象は超越技の残滓ロスト・トランセンデンタル ――武器防具之支配者マスターウェポンを獲得することができ、譲渡された種類の武器を自在に生成、支配することができる。


 これこそが、白崎の超越技の全貌であり、ダニッシュのPrima moventur corpora Rubriとは別のベクトルで超越者デスペラードではないものに超越者デスペラードを討つ力を与える術なのである。


最強之武器ツラヌケヌモノナシ撃退する者の双剣バスターソード・ダブル


 最強之武器ツラヌケヌモノナシで二本の“撃退する者の大剣”を生成し、白崎は【正義ト分解之聖神】を剣に宿したまま【疾走ノ王】を使って加速。


『全天で最も輝く星の輝きよ、我が正義の心に宿りて、悪に堕ちたる愚鈍を断罪せよ――《全天焼き焦がす煌明セイリオス》』


 だが、捷利も真正面から迫る敵を見ながら呆然としているということはない。腐っても勇者――捷利は聖眩煌剣シュトラウ=マルクォールを振りかざし、再び青き光の奔流を解き放つ……が。


「【転移ノ王】!!」


「〝付与は新たな境地に到達した。環境を変え、気候を変える力は最早付与術にあらず〟――〝高位付加術ハイ・エンチャート〟」


「『――まさか、空間移動!?』」


 恋人同士仲良くハモった捷利と英里だが、白崎の使ったスキルの効果を素早くしても、そこから放たれる攻撃を躱すところまで繋げられるほど、二人の技倆は高く無かった。


 前方からは反射された勇者固有技、後方からは最強クラスの聖女勇者の【究極挙動】による斬撃。

 捷利如きに自らの攻撃と白崎の攻撃によって生まれた挟撃を避けることができる筈も無く――。


「――捷利君!!!」


 【降霊之王】によって魂が縫い付けられていても、肝心の身体が完膚なきまで破壊されたことで動けなくなった現状では英里を守らせる守ることはできない。


「許さない! 僕の捷利君をよくもッ!! 【降霊之王】!!!」


 捷利の魂をミンチとなった捷利の肉塊から取り出し、自らに憑依させる英里。


「捷利君と一つになれたねぇ。このまま二人で一緒に捷利君の仇を取ろうねぇ!!」


 捷利の魂を歪曲させて自らの物語の王子様主人公へと変えた英里。

 そして、今度は自らの中に捷利の魂を取り込んで束縛した。

 その身勝手な行いすらも当然のように肯定し、支離滅裂な言葉を吐きながらヒロインであると思い続けるという精神は、最早捷利の御都合主義な解釈と同種の異常性だと言えるだろう。


「――朝倉さん、北岡さん、八房さん、ジューリアさん、大門君、柊さん、メーアさん、コンスタンスさん!!」


「任せて、華代!」


「一撃で片付けてあげるわぁ!!」


「一発で撃ち抜いて仕留めてあげるわよ!!」


「了解せり」


「よっしゃ!! 任せろ!!」


青薔薇之姫ミステール・蒼雪をセット! 白崎さん、武器をお借りします!」


「いくわよ!!」


 最強之武器ツラヌケヌモノナシ切り裂く者の刀剣バスターブレイドを受け取った朝倉、最強之武器ツラヌケヌモノナシ突きを放つ者の短刀ジャマダハルを受け取った北岡、最強之武器ツラヌケヌモノナシ茂みに潜む者の狙撃銃スナイパー・ライフルを受け取った八房、最強之武器ツラヌケヌモノナシ刃を飛ばす者の鉄扇アイオン・リブド・ファンを受け取ったジューリア、最強之武器ツラヌケヌモノナシ刺し貫く者の三叉槍トライデントを受け取った大門、最強之武器ツラヌケヌモノナシ月穿つ者の弓張月クレセントボウを受け取った眞由美、最強之武器ツラヌケヌモノナシ撃退する者の剣バスターソードを受け取ったメーアとコンスタンスが白崎と共に一斉に英里に仕掛けた。


 結果は言わずもがな。研鑽を放棄した死霊術師ネクロマンサーと研鑽の途中で死亡し、以後もそれまでの実力と数の暴力で勝利してきたがために猛者に至る機会を失った捷利。

 半端者と半端者、二人揃って一人前……とはお世辞にも言えない、結局、二人揃っても半人前だった英里は白崎達の猛攻に耐えられる筈もなく、ヴァパリア黎明結社の部門長ということで警戒に警戒を重ねた白崎達の真面目さが生んだオーバーキルの攻撃は英里のHPを容赦なく吹き飛ばした。



 異世界生活百六十三日目 場所超帝国マハーシュバラ


 予想通り、聖達、リーファ達、白崎達はそれぞれヴァパリア黎明結社の部門長を討伐し終えた地点から時は少し遡る。

 具体的には魔法少女に変身した魔梨子が、魔法少女に不釣り合いな聖鋤を構えて加速したところだな。


 エルダーワンドを懐かしの鋤の形に変形させ、魔梨子の聖鋤を使った振りかざし攻撃をガード……そのままエルダーワンドで巻き取り――。


「【虚空ト異界ヲ統ベル創造ト破壊之究極神】!!」


 聖鋤を虚数空間に保存してから、魔梨子の回し蹴りを逆回転の回し蹴りで防ぐ。


「【真戦律烈火――蜉蝣】」


 エネルギーの一極集中で星殺しの刀アストラル・ディザスターの強度を増した【戦律・烈火】とは異なり、エネルギーを薄く鋭く引き延ばすことで攻撃可能な範囲を広げるのがってところか?

 インフィニットの超越技は対象を斬るのと同時に全宇宙、全世界線、全パラレルワールドに存在するその対象を切り裂き、あらゆる耐性を貫通してダメージを与える絶対切断――そこに得物自体の強度は加味されない。割り箸ですら上手く使えば対象をぶった切ることができるのだ……コイツ、ライ●ハルトかよ? 加護が封じられても??


「【虚空ト異界ヲ統ベル創造ト破壊之究極神】!!」


 だが、残念だったな、将軍サマ。俺に光属性は効かないんだぜ!!

 刀身の光を操作してインフィニットに攻撃させようと思ったが、先に手を打たれてしまった……ちっ、なんという勘の良さ。知力は普通だけど、直感がすごいのでテストでも適当な回答で満点取るっていうライ●ハルトさんかな、この人。


 ってか、本人も言っていたけど第三次世界大戦で三陣営相手に孤軍奮闘に近い戦いをしていた解放軍最強の剣士兼狙撃手だったみたいだし、そりゃ勘も研ぎ澄まされていくよな。


 思ったように身体が動き、やったことのないはずの剣技で教師から一本取る最強外道ラスボス女王のような天性の才能というか、補正なんてものはない。


 それこそ、普通の学生から自衛官になり、着々と実力をつけて小隊長を任せられるようになった……ちょっと正義感が強いだけの心優しき……まるで今のインフィニットとは対極にある存在。

 彼の心を破壊し、傲慢なインフィニット像を作り上げることに繋がったのは、西村裕司と坂口柚月の死。


 そのインフィニットの心に大きな傷をつけた事件は社会主義を掲げるNGC 2770銀河連合を中心とする第二世界がその力を地球の者達に見せつけるための実験を兼ねた示威行為だった。


 ――そこからは早かった。かつて欧米列強がパイを切り分けるように分割して植民地を支配したように、今度はその欧米列強を含めた地球が切り分けられる。

 資本主義の国家はM82銀河同盟を中心とする第一世界の支配下に、社会主義の国家はNGC 2770銀河連合を中心とする第二世界の支配下に、かつて第三世界と言われていた国家を含むその他の地はNGC 3314銀河連盟を中心とする第三世界に――宗教や思想を無視して、丁度緯度や経度で国境線を引くように強制的に敵味方が区別され、血みどろの戦いを始めることになる。


 政権は傀儡となり、支配された国家は狂ったように世界各地で戦争を繰り広げた。

 それこそが、第三次世界大戦――宇宙人による地球という舞台を使った代理戦争。


 まあ、正直やっていることは第一次や第二次と変わらないと思うけど……まあ、より強い者が弱い者を支配するという構図は変わらないからね。

 中にはその状況を良しとせず、宇宙人から地球を取り戻すために国籍を問わず集結し、世界に抗う者達が現れた……うん、エ●トルジュエに抗う解放者の構図……あっ、だから解放軍……まんまやん。


 インフィニット……逢坂詠達は母国を敵に回しても最後まで抗った。

 周りは敵ばかり。救おうとしていた人達から武器を向けられる。

 それでも戦い続け……そして、M82銀河同盟に所属する惑星の出身でホワイト・レイブン・インダストリアル(WRI)の若き総帥デクエゥシス=メリュボラハウム……えっ? エゥ●クシスとデク●トロゥを足して割ったような名前だけど……おいおい、青騎士閣下じゃなくて蒼の暴君と組み合わせるって……いや、同じ“アオ”だけどさぁ……ねぇ。

 話が逸れたけど、そのデクエゥシス達資本主義陣営とエリア51で戦っている時に第三世界製造の反物質爆弾で吹き飛ばされて仲良くお陀仏になったらしい……で、デクエゥシスも含めて仲良く異世界カオスに転生……まあ、WRIって企業の名前聞いたことがあるからね。


 ってか、異世界転生って結構作品数あるけど、流石に宇宙人が異世界転生したのは初なんじゃないかな? 宇宙人が異世界転移した話はあるけど……メリーさんとか?


 守る対象である世界が変わっても、その願いの発端が逢坂詠インフィニットから大黒壬シヴァに変わっても、インフィニットの戦う理由は変わらない。

 かつて逢坂詠中佐の元に世界各国から同志が集まったように、今度はシヴァの下にかつて共に戦った仲間の転生者達が集結する。


 もう二度と西村裕司や坂口柚月のような理不尽によって死を迎える者達が現れないように……そのために世界を支配する巨大な暴力――インフィニット達の未来の地球では宇宙の勢力であり、この世界ではヴァパリア黎明結社が該当する――を倒すために戦い続ける。

 それが、逢坂詠――インフィニット・ショットシェルの存在意義であり、エゴ。


 ああ、通りで強い筈だよ。エゴの規模が違う。

 どこまでも傲慢であり続ける……どっかの救うことに拘る欠陥魔法書バグリワールの保有者並みに歪んでいるが……この歪んだ正義は、強大だ。


 優劣なんてつけられる訳がない。超越者デスペラードに至ったのなら、俺の地球に帰りたいという願いも、インフィニットの世界を悪の呪縛かは解放するというエゴも、結局計り知れない・・・・・・という一言に収束する。


 超越者デスペラードは意志の強い方が勝つ……っていう精神論は間違っているのかもしれないな。同じ計り知れないエゴ同士がぶつかるとなれば、最後に勝つのは相性がいいとか、時の運とか、その他の要素も加味した上で優れていた方。

 まあ、要するに俺にも勝ち目があるってことだな。


「【戦律・破竹】」


 〈装甲祥瑞エクイプメント・ファンタズマル・テューポーン〉のエネルギーのほとんどを推進力に変換して、武器も前世感応板パスト・ウェポンで雷切丸を顕現し、更に無常の果実ミッシング・グロウリーを発動しやがった……うわ、面倒。


 インフィニットとの戦いに鍔迫り合いという概念はない。例えガルガーン●ィガクラスの剣であっても簡単に真っ二つにされる。

 そんな絶対切断持ち相手に真っ向勝負する訳ねえだろ!!


「私を忘れてもらっては困る」


 神鍬を振りかざしてくる魔梨子からさっきと同じ要領で神鍬を奪い取り、一瞬神気を纏って鳩尾を狙って飛び蹴りを食らわすが……あっ、防がれたね。しかも後方に飛ばされつつ勢を殺している……なんかスマホTAROの神力を解放した並みの神気を垂れ流しにして蹴り入れた筈なんだけど、まあいっか。かなりの勢いで吹っ飛んだからしばらく帰ってこないだろうし。お前の相手はこの将軍サマを黙らせてからするから、そこで待ってなさい。


「〈Le Théâtreテアトル duドゥ Ultimeウルチム Grandグラン-Guignolギニョール〉!!!」


 ちゃんと戦場よく見たかね? 実は無数の糸が張り巡らせてあったのだよ。

 さて、これで〈装甲祥瑞エクイプメント・ファンタズマル・テューポーン〉の破壊が完了。


「くだらんな。ここまで全て予想通りだ」


「――同じく」


 インフィニットの狙いは一度で〈装甲祥瑞エクイプメント・ファンタズマル・テューポーン〉を破壊させ、復活の石版レストア・リトグラフで復活させてからより強力なステータス低下を引き起こす真・無常の果実ネオ・ミッシンググロウリーで力を削ぎつつ絶対切断を決めること。


 だが、それは同時にインフィニットに与えられていた復活の機会を消費して自らを絶体絶命のピンチに追い込むことを意味する。


 ――さて……ここからが勝負だな。

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