文学少年(変態さん)は世界最恐!? 〜明らかにハズレの【書誌学】、【異食】、にーとと意味不明な【魔術文化学概論】を押し付けられて異世界召喚された筈なのに気づいたら厄災扱いされていました〜
軍社大戦 -マハーシュバラ帝都三陣営激突- Ⅶ
軍社大戦 -マハーシュバラ帝都三陣営激突- Ⅶ
【三人称視点】
「〝嗚呼、大いなる主よ! 今こそ汝の慈悲で悪に染まりし全ての怨霊に救いをお与えください〟――〝
白崎達&ケリー、佳奈vs英里、捷利(
浄化の光に包まれて、
残る
「これは……マズイね。捷利君!!」
『全天で最も輝く星の輝きよ、我が正義の心に宿りて、悪に堕ちたる愚鈍を断罪せよ――《
聖眩煌剣シュトラウ=マルクォールを振りかざし、青き光の奔流を解き放つ捷利。
「〝付与は新たな境地に到達した。環境を変え、気候を変える力は最早付与術にあらず〟――〝
しかし、捷利の勇者固有技は白崎達に届かない。
かつて草子がヤルダバオートの《ヤルダバオート式殺戮光線》を無効化した時に使った空気への
反射された勇者固有技はそのまま捷利に襲い掛かった。
素早く【魔力纏】を発動して勇者固有技の輝きから身を守る捷利――しかし、捷利の【魔力纏】よりも勇者固有技の威力の方が優っていた。
英里側が未だ白崎達やケリー達にダメージを与えることができていない状況下においては、かなりの痛手だと言えるだろう。
『同じ有馬英里でも、俺の知っている英里とは違う奴みたいだな。どっちかっていうと中村の方の恵理寄り? 捷利の方はカオスでもガイアでも捷利みたいだけどな……お前はどこの世界でも天河捷利かよ。……まあ、いいけど。……あっちの英里は有馬要素が強かったような気がしないでもないけど、こっちはヤンデレボクっ娘降霊術師の要素が強いみたいだけど。ってか、あっちの英里は結界師だったし、離れた世界で中●恵里と谷●鈴の関係になっているとか? ……ってか、最近気づいたけど中●恵里と谷●鈴の関係ってレインポスの関係に似ているよね。まあ、あっちには恋とか絡んでないけどさ……最後の一瞬でも分かり合えるエンドか、大切な友達を失いたくないが為に通りすがりの忍者を脱落させながらも、結局最後まで分かり合えずにすれ違ったまま終わるエンドか……うん、まず前提すら成立していないから、この思考実験に意味はないな。……まあ、それはいいとして、そこの
草子は白崎達に向けていた意識を戻し、完全に魔梨子とインフィニットとの戦いに集中した。
「お前はどこまで見切って!? なんで、お前が知る訳がない僕達の過去を!!」
「それが草子君なんだよ。彼には心を読むことができる。心の奥に隠した過去も、草子君にはお見通し。……草子君は、私達が勝つと断言してくれた。なら、絶対に勝てる戦いなんだ……その戦いで草子君の期待を裏切って負ける訳にはいかない」
「有馬英里……我の知る英里とは違ふ存在なり。……殺すことに思ふ者を手に入るる、その歪みし愛を我は許すべからず。我の知る英里ならば、さだめてなんぢを許さず。歪みを見逃すともかたへをいつく英里は確かに間違へり。されど、同郷のかたへとの関係を滅茶苦茶にしてまでおのれの願ひを叶へむとするは、それ以上の悪なり。我は英里の代はりになんぢをさらに討つ」
「あはぁ、随分言ってくれるねぇ。いいよぉ、そんなに言うなら見せてあげるよぉ〜! 僕と捷利君の愛の力を!!」
と言いながらも、結局
「僕の捷利君は【物理無効】と【魔法無効】を持っている。武器でも魔法でも倒せないよぉ〜」
「そうね……でも、私の超越技なら【物理無効】を超えられる!
白崎の
だが、この武器や防具は白崎の形無き
その本質は
超越者耐性と【物理無効】を貫通することが可能な武器、あらゆる物理攻撃を無効化する防具の生成し支配する。
また支配権を他者に譲渡することも可能。譲渡された対象は
これこそが、白崎の超越技の全貌であり、ダニッシュのPrima moventur corpora Rubriとは別のベクトルで
「
『全天で最も輝く星の輝きよ、我が正義の心に宿りて、悪に堕ちたる愚鈍を断罪せよ――《
だが、捷利も真正面から迫る敵を見ながら呆然としているということはない。腐っても勇者――捷利は聖眩煌剣シュトラウ=マルクォールを振りかざし、再び青き光の奔流を解き放つ……が。
「【転移ノ王】!!」
「〝付与は新たな境地に到達した。環境を変え、気候を変える力は最早付与術にあらず〟――〝
「『――まさか、空間移動!?』」
恋人同士仲良くハモった捷利と英里だが、白崎の使ったスキルの効果を素早くしても、そこから放たれる攻撃を躱すところまで繋げられるほど、二人の技倆は高く無かった。
前方からは反射された勇者固有技、後方からは最強クラスの
捷利如きに自らの攻撃と白崎の攻撃によって生まれた挟撃を避けることができる筈も無く――。
「――捷利君!!!」
【降霊之王】によって魂が縫い付けられていても、肝心の身体が完膚なきまで破壊されたことで動けなくなった現状では英里を
「許さない! 僕の捷利君をよくもッ!! 【降霊之王】!!!」
捷利の魂をミンチとなった捷利の肉塊から取り出し、自らに憑依させる英里。
「捷利君と一つになれたねぇ。このまま二人で一緒に捷利君の仇を取ろうねぇ!!」
捷利の魂を歪曲させて自らの物語の
そして、今度は自らの中に捷利の魂を取り込んで束縛した。
その身勝手な行いすらも当然のように肯定し、支離滅裂な言葉を吐きながらヒロインであると思い続けるという精神は、最早捷利の御都合主義な解釈と同種の異常性だと言えるだろう。
「――朝倉さん、北岡さん、八房さん、ジューリアさん、大門君、柊さん、メーアさん、コンスタンスさん!!」
「任せて、華代!」
「一撃で片付けてあげるわぁ!!」
「一発で
「了解せり」
「よっしゃ!! 任せろ!!」
「
「いくわよ!!」
結果は言わずもがな。研鑽を放棄した
半端者と半端者、二人揃って一人前……とはお世辞にも言えない、結局、二人揃っても半人前だった英里は白崎達の猛攻に耐えられる筈もなく、ヴァパリア黎明結社の部門長ということで警戒に警戒を重ねた白崎達の真面目さが生んだオーバーキルの攻撃は英里のHPを容赦なく吹き飛ばした。
◆
異世界生活百六十三日目 場所超帝国マハーシュバラ
予想通り、聖達、リーファ達、白崎達はそれぞれヴァパリア黎明結社の部門長を討伐し終えた地点から時は少し遡る。
具体的には魔法少女に変身した魔梨子が、魔法少女に不釣り合いな聖鋤を構えて加速したところだな。
エルダーワンドを懐かしの鋤の形に変形させ、魔梨子の聖鋤を使った振りかざし攻撃をガード……そのままエルダーワンドで巻き取り――。
「【虚空ト異界ヲ統ベル創造ト破壊之究極神】!!」
聖鋤を虚数空間に保存してから、魔梨子の回し蹴りを逆回転の回し蹴りで防ぐ。
「【真戦律烈火――蜉蝣】」
エネルギーの一極集中で
インフィニットの超越技は対象を斬るのと同時に全宇宙、全世界線、全パラレルワールドに存在するその対象を切り裂き、あらゆる耐性を貫通してダメージを与える絶対切断――そこに得物自体の強度は加味されない。割り箸ですら上手く使えば対象をぶった切ることができるのだ……コイツ、ライ●ハルトかよ? 加護が封じられても??
「【虚空ト異界ヲ統ベル創造ト破壊之究極神】!!」
だが、残念だったな、将軍サマ。俺に光属性は効かないんだぜ!!
刀身の光を操作してインフィニットに攻撃させようと思ったが、先に手を打たれてしまった……ちっ、なんという勘の良さ。知力は普通だけど、直感がすごいのでテストでも適当な回答で満点取るっていうライ●ハルトさんかな、この人。
ってか、本人も言っていたけど第三次世界大戦で三陣営相手に孤軍奮闘に近い戦いをしていた解放軍最強の剣士兼狙撃手だったみたいだし、そりゃ勘も研ぎ澄まされていくよな。
思ったように身体が動き、やったことのないはずの剣技で教師から一本取る最強外道ラスボス女王のような天性の才能というか、補正なんてものはない。
それこそ、普通の学生から自衛官になり、着々と実力をつけて小隊長を任せられるようになった……ちょっと正義感が強いだけの心優しき……まるで今のインフィニットとは対極にある存在。
彼の心を破壊し、傲慢なインフィニット像を作り上げることに繋がったのは、西村裕司と坂口柚月の死。
そのインフィニットの心に大きな傷をつけた事件は社会主義を掲げるNGC 2770銀河連合を中心とする第二世界がその力を地球の者達に見せつけるための実験を兼ねた示威行為だった。
――そこからは早かった。かつて欧米列強がパイを切り分けるように分割して植民地を支配したように、今度はその欧米列強を含めた地球が切り分けられる。
資本主義の国家はM82銀河同盟を中心とする第一世界の支配下に、社会主義の国家はNGC 2770銀河連合を中心とする第二世界の支配下に、かつて第三世界と言われていた国家を含むその他の地はNGC 3314銀河連盟を中心とする第三世界に――宗教や思想を無視して、丁度緯度や経度で国境線を引くように強制的に敵味方が区別され、血みどろの戦いを始めることになる。
政権は傀儡となり、支配された国家は狂ったように世界各地で戦争を繰り広げた。
それこそが、第三次世界大戦――宇宙人による地球という舞台を使った代理戦争。
まあ、正直やっていることは第一次や第二次と変わらないと思うけど……まあ、より強い者が弱い者を支配するという構図は変わらないからね。
中にはその状況を良しとせず、宇宙人から地球を取り戻すために国籍を問わず集結し、世界に抗う者達が現れた……うん、エ●トルジュエに抗う解放者の構図……あっ、だから解放軍……まんまやん。
インフィニット……逢坂詠達は母国を敵に回しても最後まで抗った。
周りは敵ばかり。救おうとしていた人達から武器を向けられる。
それでも戦い続け……そして、M82銀河同盟に所属する惑星の出身でホワイト・レイブン・インダストリアル(WRI)の若き総帥デクエゥシス=メリュボラハウム……えっ? エゥ●クシスとデク●トロゥを足して割ったような名前だけど……おいおい、青騎士閣下じゃなくて蒼の暴君と組み合わせるって……いや、同じ“アオ”だけどさぁ……ねぇ。
話が逸れたけど、そのデクエゥシス達資本主義陣営とエリア51で戦っている時に第三世界製造の反物質爆弾で吹き飛ばされて仲良くお陀仏になったらしい……で、デクエゥシスも含めて仲良く異世界カオスに転生……まあ、WRIって企業の名前聞いたことがあるからね。
ってか、異世界転生って結構作品数あるけど、流石に宇宙人が異世界転生したのは初なんじゃないかな? 宇宙人が異世界転移した話はあるけど……メリーさんとか?
守る対象である世界が変わっても、その願いの発端が
かつて逢坂詠中佐の元に世界各国から同志が集まったように、今度はシヴァの下にかつて共に戦った仲間の転生者達が集結する。
もう二度と西村裕司や坂口柚月のような理不尽によって死を迎える者達が現れないように……そのために世界を支配する巨大な暴力――インフィニット達の未来の地球では宇宙の勢力であり、この世界ではヴァパリア黎明結社が該当する――を倒すために戦い続ける。
それが、逢坂詠――インフィニット・ショットシェルの存在意義であり、エゴ。
ああ、通りで強い筈だよ。エゴの規模が違う。
どこまでも傲慢であり続ける……どっかの救うことに拘る
優劣なんてつけられる訳がない。
まあ、要するに俺にも勝ち目があるってことだな。
「【戦律・破竹】」
〈
インフィニットとの戦いに鍔迫り合いという概念はない。例えガルガーン●ィガクラスの剣であっても簡単に真っ二つにされる。
そんな絶対切断持ち相手に真っ向勝負する訳ねえだろ!!
「私を忘れてもらっては困る」
神鍬を振りかざしてくる魔梨子からさっきと同じ要領で神鍬を奪い取り、一瞬神気を纏って鳩尾を狙って飛び蹴りを食らわすが……あっ、防がれたね。しかも後方に飛ばされつつ勢を殺している……なんかスマホTAROの神力を解放した並みの神気を垂れ流しにして蹴り入れた筈なんだけど、まあいっか。かなりの勢いで吹っ飛んだからしばらく帰ってこないだろうし。お前の相手はこの将軍サマを黙らせてからするから、そこで待ってなさい。
「〈
ちゃんと戦場よく見たかね? 実は無数の糸が張り巡らせてあったのだよ。
さて、これで〈
「くだらんな。ここまで全て予想通りだ」
「――同じく」
インフィニットの狙いは一度で〈
だが、それは同時にインフィニットに与えられていた復活の機会を消費して自らを絶体絶命のピンチに追い込むことを意味する。
――さて……ここからが勝負だな。
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