文学少年(変態さん)は世界最恐!? 〜明らかにハズレの【書誌学】、【異食】、にーとと意味不明な【魔術文化学概論】を押し付けられて異世界召喚された筈なのに気づいたら厄災扱いされていました〜
アルラウネ族の中には極々稀に騙すのが苦手な性格の個体がいるようだ。……というかそれってアルラウネとしては致命的欠陥だよね!!
アルラウネ族の中には極々稀に騙すのが苦手な性格の個体がいるようだ。……というかそれってアルラウネとしては致命的欠陥だよね!!
異世界生活百四十四日目 場所ジュドヴァ=ノーヴェ魔族王国、魔王領カイツール
【常盤愛蘭視点】
一ノ瀬さんとジュリアナさんの戦いを見て、なんとなくどのように戦えばいいかは掴めた。
もし仮にここで負けてももう一度チャンスがあるけど、だからといってそれに甘える訳にはいかない。
草子君に、私だって役に立てるんだって思ってもらわないといけないからね!
「〝恢復封印結界符〟――急急如律令!!」
ジューリアさんから貰った札を地面に貼る。眩い光が円形状に広がった。
『おっと、常盤選手! ジューリアさんの〝恢復封印結界符〟を発動して回復を無効化したようだ!!』
『……あれはトラウマです。前世の――榊翠雨を追い詰めた厄介な札ですから。しかし、一度味方になると心強い力ですね!!』
確かにジューリアさんが味方で本当に良かった。
こんな強大な力を相手に一歩も引かずに戦ったレーゲン君は本当に凄いな。
……そして、草子君はこんな圧倒的不利な状況でも余裕で勝利してしまいそう。まあ、草子君だからね。
「十二天を統べる将よ! 我が求めに応じ、十万億土の彼方より〝十二天式符〟の元に現れ、我にその力の片鱗を与え給え! 〝後一天后水神家在亥主後宮婦女吉将〟――急急如律令!」
「十二月を統べる将よ! 我が求めに応じ、十万億土の彼方より〝十二月霊符〟の元に現れ、我にその力の片鱗を与え給え! 〝開門せよ、
オトちゃんとアクアちゃんを召喚した瞬間に、私の衣装も深海をイメージした扇情的なロングドレスへと切り替わる。
この
直接的な戦闘力はオトちゃんとアクアちゃんに劣るけど、オトちゃんとアクアちゃんと合体する訳ではないから特にデメリットもない状態でステータスを向上させることができるから最近は重宝している。
「オトちゃん! アクアちゃん! 力を貸して!!」
『任せて! おせあん・どらごんッ!!』
『お任せください! すとりーむ・おーしゃんッ!!』
「――〈
玉手箱を使用した状態に比べて幼体のオトちゃんとアクアちゃんの攻撃威力は劣っている。
でも、三人の力が合わさればオトヒメさんやアクアさんにだって勝てる筈だ……玉手箱を使った状態だとなかなか上手く連携が取れないからね……主に独断専行なオトヒメさんのせいで。
……なんであんな風に育っちゃうんだろう? 子供の頃はワガママだけど素直な子なのにな……。
三方からの同時攻撃――さてシルヴィーヌさん、どう避けますか!!
「脚――《
『おっと、シルヴィーヌ選手! チーターの脚力で三方からの攻撃を避ける作戦だ!! しかし、これは悪手だ!!』
「――えっ!!」
〈
いくら速いといっても、その速さを活かすのはシルヴィーヌさんの判断に依存する。
つまり、予想外の攻撃に対しては脆い。
「……草子君、酷いよ。危うく攻撃がバレちゃうところだったよ」
『すまんすまん。まあ、当たったから結果オーライということで』
……まあ、草子君のことだし私が大した不利益を被らないことを承知の上でヒントを出したんだよね? ……ついうっかりじゃないよね?
「〝衰弱衝符〟――急急如律令! ……ってもう遅いけどね。――オトちゃん、アクアちゃん」
『『
オトちゃんの杖の蒼玉とアクアちゃんの水瓶が青い輝きを放つ。突如方向転換した水流と水の小竜がシルヴィーヌさんに襲いかかった。
「〝桔梗印霊符〟・〝玄天符〟――急急如律令! ――桔梗五芒印・怒濤」
〝衰弱衝符〟で弱り、オトちゃんとアクアちゃんの攻撃で大きなダメージを負ったシルヴィーヌさんに、駄目押しとばかりに二枚の札を使い、水によって構成されたセーマンを解き放つ。
『おせあん・どらごんねすとッ!!』
『あくあ・めいでん』
更に大量の水の小竜が顎門を大きく開けて襲い掛かり、アクアちゃんの放った水流がアイアンメイデンのようなものを形作ってシルヴィーヌさんを捕らえた……恐ろしい子。
◆
「……酷い目に遭いました」
うん、《神代空間魔法・夢世結界》が無ければ完全にあちらの世界に行ってましたね。
流石は十二天将の乙姫様と十二月将のアクエリアス様だな。
「約束通り、結界は解除致します」
「よろしくお願いします」
シルヴィーヌは結界の解除に向かった。……今回は魔法少女の襲撃に遭わないといいね。
「……あ〜あ、俺も戦いたかったぜ」
「そういえば、照次郎君も選ばれていたね。……ところで、どうやって【無限再生】を突破するつもりだったのかな?」
「……ん? 気合いでどうにかできるんじゃないかな?」
……あっ、これ照次郎まで回っていたら一勝二敗で負けていたな。
レーゲンも苦笑いだ……おいおい、お前の親友、脳筋に染まっているぞ。というか、元々脳筋だったのか。
「――失礼致します! あっ、あれ? シルヴィーヌ様は?? ニンゲン! シルヴィーヌ様をどこへやった!!」
やって来たのは
安●少女や●楽王女やクイーンアルラウネは可及的速やかに焼き尽くすべし!!
「やはりニンゲンは野蛮だ!! いきなり火球を顕現して私を焼き尽くす気か!!」
「いや、だって冒険者を籠絡して栄養価ゼロの麻薬成分を含んだ果実を食べさせ続けて殺してから養分として吸収する悪名高きアルラウネシリーズでしょう? ここであったが千年目! 焼き尽くしてしんぜよう!!」
「ちょ、ちょっと待て!! 確かに魔獣の連中はそういうことをするかもしれないが、私はそんなことは絶対にしない!! ――風評被害甚だしいぞ!!」
あっ、本当にしないっぽいね。そういえば、あんまり騙す系の性格をしていないっぽいし。
なんというか……物凄い分かりやすい性格? 直線的で猪突猛進な感じの。
「とりあえず信じてやるか。で、えっとシルヴィーヌ様は結界の解除に向かっているよ。俺達と模擬戦を三回戦戦って俺達が二勝したら魔王城の結界を解除してもらうってルールで戦って二勝したからな。ちなみに、怪我はしていないよ。《神代空間魔法・夢世結界》はそういう御都合主義なものなんでね」
「……俄かには信じ難い。お前が言っていることが事実か否か、直接確認してくる」
「ちょ、待てよ。
「名乗ってはいない筈だが……まあ、いい。特別に教えてやろう」
「なんかこっちに急速で接近している飛行物体と関係があるの? F-15 イーグルでは流石にないだろうけど」
「……草子君、異世界なんだし流石に地球の戦闘機が空を飛んでいることはないんじゃないかしら?」
北岡よ、それがあるんだな。前にF-15 イーグルを迎撃して撃退して墜落させた経験がある俺が言うんだから間違いない。
まあ、それは置いといて。
「……そこまで知っているのなら今更隠し立てしても仕方ない。……船だ」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「――船!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
「船……って、人や物をのせて水上を渡航する目的で作られた乗り物の総称ですわよね?」
「ロゼッタ様、辞書的な解説ありがとうございます。……空飛ぶ船となると、マルドゥーク文明の飛空戦艦エンリル、超帝国マハーシュバラの魔導戦艦……この辺りか? 5600ノット以上で疾走可能な海賊船は海の上じゃないと使えないし……」
「あの……草子さん。海賊船は関係……あっ! 『すごくかっ●いい魔法の海賊船を出せるよ』ですか……しかし、あれは飛行不可能じゃありませんでしたっけ?」
レーゲン、察しが良すぎるな。後、今ので気づいたのはロゼッタと志島達腐ってもオタクチームと一ノ瀬と
「いや、魔法少女ものでお馴染みのマジカル爆走シリーズが未だに一体も登場していないし、そろそろ来るかなって思っていたんだけど……」
「草子君、マジカル暴走シリーズって何? そんなの魔法少女ものの定番じゃないわよ!」
……というか、聖も魔法少女ものは見ていたんだね。まあ、俺が言っているのは正統派な魔法少女からは外れる方面の常識だから知らなくても致し方ないけど。
「えっと、とりあえずアウラ様。その謎の飛行物体は俺の方でどうにかするよ。超帝国……の可能性は低いけど、まあ多分、というか十中八九だけど、そいつは俺の客だから」
「……
「まあ、そういうことです。シルヴィーヌ様にはアウラ様からお伝えください。――『草子は謎の飛行物体をボコりに行った。なるべく早く戻って来るつもりだけど、ちょっと時間が掛かるかもしれないので、それまでどうぞごゆっくりください』と。シルヴィーヌ様には書状で諸々のことは伝えましたし、きっと大丈夫でしょう」
「……分かった。アレは私達には手に負えん。憎き人間の力を借りるというのは業腹だが、それ以外に方法がないのも事実だ」
さて、とりあえず納得してもらえたことだし、空飛ぶ船をどうにかしてくるとしますか。
◆
空を飛ぶ木造海賊船――そう形容するのが一番近そうな巨大な木の塊が高速で空を飛んでいた……諸、マジカル爆走シリーズじゃねえか!!
「【転移ノ王】!!」
目視で捉えた海賊船の上空に瞬間移動。
「やはり来ましたか! 能因草子!!」
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NAME:魔法少女クリエイター
LEVEL:999
HP:999999/999999
MP:999999/999999
STR:999999
DEX:999999
INT:999
CON:999999
APP:999
POW:999999
LUCK:999
JOB:魔法少女
SKILL
【創造聖女】LEVEL:9999
→機械や建築技術を使って敵と戦うよ!
【ジュドヴァ=ノーヴェ語】LEVEL:10
→ジュドヴァ=ノーヴェ語を習得するよ!
ITEM
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巨大なスパナとハンマーを持つ漆黒の翼を持つ金髪金眼の漆黒の
てっきりキャプテンが出てくると思ったけど、そっちですか……いや、まあ確かに建築系だけどね。
機械と建築系……厄介な組み合わせだな。固有魔法は文字通り創造系……素材を必要としない分、【主我主義的な創造主】よりも厄介かもしれないな。
「――では、始めましょう」
胸元につけられたスパナのように見える形の石――プリンセスジュエルが眩い緑の光を放つ。
瞬間、空が真紅に染まった……まさか、ここまで大規模な悪堕ち魔法少女の結界を展開するとはな。
というか、地面ないし……空しかない世界ってフェアボーテネの世界かよ! って思わず突っ込みたくなるな。まあ、空しかない世界は無かったんだけどさ。大地と空が反転した空間はあったけど。
「出でよ、我が
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NAME:立方体の
LEVEL:99999
HP:1/1
ΣΑ:9999999/99999999
STR:0
DEX:0
INT:99999999
CON:99999999
APP:0
POW:99999999
LUCK:99999999
SKILL
【立方体の堕魔の呪法】LEVEL:999999999
→立方体の堕魔の呪法だよ!
ITEM
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NAME:立方体の
LEVEL:99999
HP:9999999/99999999
ΣΑ:1/1
STR:99999999
DEX:99999999
INT:0
CON:99999999
APP:0
POW:99999999
LUCK:1
SKILL
【立方体の堕魔の呪法】LEVEL:1
→立方体の堕魔の呪法だよ!
ITEM
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無数の立方体――これが、魔法少女クリエイターの堕魔か。
本体を倒せば分体も崩壊する……パッと見では見分けがつかないし、鑑定系のスキルを持っていないとキツイ敵だな。
無数の立方体が組み合わさり、ポリゴンの巨人が姿を現わす。
巨人は右手を大きく振りかぶり――って、いきなりヤバくね!!
「――《極斬比翼絶剣技 無限ノ型 流星嵐之煌闇-
【魔力ト魔法之神】を発動して、エルダーワンドに闇と【分解のオーラ】を、
複数の円から巨大な切っ先が飛び出し、光と闇の斬撃が宙を飛び、筋肉の収縮を連続で行うことで発生した衝撃波が武器を通して放たれ、一定の力などが加わることによってのみ傷を開かせることができるという遅効性が付与された斬撃が刻み込まれる。
巨人の腕は剣に触れた瞬間に消滅し、剣に触れるまでもなく飛んできた斬撃に分解され、かと思えば巨大化した切っ先に消しとばされ、俺に一撃浴びせることすら敵わず崩壊した。
「なかなか厄介ですね。斬撃に当たれば一たまりもありません。……ですが、これならどうでしょう? ――出でよ!
十脚戦車……っ!? まさか、お嬢の車椅子(強化版)まで召喚するとは!!
巨大化能力を持つハムスターの魔法少女と戦うのだろうか……というか、怪獣大決戦でもやるのか?
「
張り巡らせた極細の【粘鋼撚糸】に【法則之神】で凍冷焔華を纏わせ、攻撃に繰り出す。
よし、戦車の脚を全て凍結させることができた。
魔法少女並の膂力を無力化して油断し切っていたら目からビームを撃ってきた……本当に細部まで同じなんだな。
あっ、勿論【法則ト靈氣之神】でビームにはおかえり頂いたよ。……よし、巨人に命中。しかし、貫けたのは関係のない立方体だけ……しかも失った部分の立方体を生み出した立方体で補っているし……ゴールド・エクスペ●エンス?
「
――二発目。巨人を糸で縛り、更に炎を凍らせる焔を立方体の隙間から流し込んで凍結させることで、完全に巨人の形で固定する。
正直、変形するのが一番厄介だからね。トカゲの尻尾切りで逃げられるのも癪だし。
――これでチェックメイトにさせてもらうよ!
「〝
周辺を凍結させることで立方体の
これで的確に〝
取り出した立方体の
「【貪食ト銷魂之神】!!」
ふう、ご馳走様でした。
「――まさか、これほど早く
魔法少女クリエイターの口元に血が流れた。……
ナース風の魔法少女衣装の布面積が大きく減り、ところどころ金属質の
「《
……あっ、やっぱり
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