文学少年(変態さん)は世界最恐!? 〜明らかにハズレの【書誌学】、【異食】、にーとと意味不明な【魔術文化学概論】を押し付けられて異世界召喚された筈なのに気づいたら厄災扱いされていました〜
【岸田美咲視点】助けた相手の名前を忘れるって……草子君には私達がどんな存在として映っているんだろう?
【岸田美咲視点】助けた相手の名前を忘れるって……草子君には私達がどんな存在として映っているんだろう?
異世界生活十六日目 場所コンラッセン大平原、古びた洋館
右も左も分からないままこの世界に放り出されてから数日経ち、この世界にも慣れてきたということもあり、少数に分かれて採集などを行うことも増えてきた。
きっと私には心のどこかに油断があったんだと思う。あまりにもトントン拍子に進んでいたから、私達の世界とは異なっていることを忘れていたから、きっと天罰が下ったんだと思う。
採集をしていた時、森の奥から一台の馬車がやって来た。
私はこの世界の住人に出会い、情報が得られるかもしれないと期待していた。相手が良い人が悪い人かを判断する――そんな当たり前のことを完全に失念してしまっていたのは、思い出してみればあまりにも軽率だった。
そこからの記憶は曖昧。気づいた時には首輪をつけられ、裸で他の女の子達と一緒に居た。
すぐに助けは来た。私のことを必死で探してくれたらしい柴田さんは、私を見つけた途端抱きしめながら、涙を流した。
突然悲しさがこみ上げてきて、私も泣いた。……もし、あのまま助けに来てくれなかったら私がどうなってしまったのか、あの一瞬で理解してしまったから。
私達を救ってくれたのは草子君だった。柴田さん達の話では私達のことを物凄く恨んでいるらしい。
私の印象では、クラスの端っこの席でいつも一人で本を読んでいる物静かな子だった。クラスメイトには沢山迷惑を掛けたけど、彼には関わったことすらないのだから、迷惑を掛けた覚えはなかった。
……その理由が私達がうるさいからだったと聞いた時は流石に驚いたわ。
まあ、白崎さん達から聞いた草子君像と照らし合わせてみると、「草子君らしいな」って思えるけど。
「よっ、いい装備持ってたビッチ。……えっと、名前は…………岸田美咲か」
……助けた相手の名前を忘れてていいの? 草子君にとって、私達ってどんな存在として映っているんだろう?
一応、間違いは訂正しておいた方がいいわよね?
「私達はビッチじゃないし、柴田さんはビッチリーダーじゃないわ! 柴田八枝は中学の頃から人気読者モデルとして活躍しているのよ!」
「……って言われましてもね。俺読モとか興味ないので。というか、俺にとっては騒音を撒き散らす害悪でしかないから。……なんで助けたんだろう? 柴田さんからは『さっきから偉そうにしてるけど、アンタ誰よ! 所詮は白崎さん達の取り巻きでしょ』って言われたし……もしかして、働き損!? お節介で助けた結果、調子に乗ったビッチ達にこき使われるパターン!? ……あの? 割と本気で逃げていいっすか?」
「なんで、助けてもらった私達が草子君をこき使わないといけないのよ!! 私達は確かに面倒な奴らだったかもしれないけど、流石にそこまで酷くはないわ!!」
私達は草子君に恩義こそあれ、こき使おうなどとは夢にも思っていない。
……というか、多分草子君をこき使うなんて大それたことは誰にもできない。だって、こき使おうとしたら瞬殺されそうだから!
……あれ? そういえば、柴田さんの呼び方がビッチリーダーから名前にさん付けになってる? もしかして、名前を覚えてくれたのかな?
「さてと、いつまで雑談してても仕方ないし、とっとと始めよっか? じゃあ、まずはじめに到達目標的なものを聞いていいかな?」
草子君は到達目標に合わせて個人レッスンを構成してくれるみたいだ。
一人一人の要望に合わせて最適なものを用意する――多分、簡単なことではないと思う。
「ステータス!」
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NAME:岸田美咲 AGE:16歳
LEVEL:10 NEXT:600EXP
HP:180/180
MP:150/150
STR:260
DEX:175
INT:10
CON:200
APP:49
POW:200
LUCK:11
JOB:
SKILL
【片手剣】LEVEL:5
【火魔法】LEVEL:2
【水魔法】LEVEL:2
【氷魔法】LEVEL:2
【風魔法】LEVEL:2
【雷魔法】LEVEL:2
【生活魔法】LEVEL:2
【マルドゥーク語】LEVEL:1
【クライヴァルト語】LEVEL:2
【マハーシュバラ語】LEVEL:1
【エルフ語】LEVEL:2
ITEM
・聖剣デュランダル
・聖楯アイギス
・聖鎧アキレウス
・学生服
NOTICE
・通知一件
→未使用のポイントが後495あります。
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【片手剣】のスキルは聖剣デュランダルを使っていたらいつの間にか増えていた。
最初はなんでなのかな? って思っていたけど、
だけどその動きは自己流で剣術に関するスキルも圧倒的に足りていない。
後は戦える手段をいくつか用意しておきたい。……欲を言えば、ね。折角教えるのが上手いと評判の草子君から教えてもらえる訳だし。
「決まったか?」
「はい。まずは剣術について教えてもらいたいのと、戦える手段を増やしたいので……二つは流石に無理かな?」
「寧ろ後から『やっぱり足りなかったから教えて』って言われても面倒だし、やるなら一度できっちり終わらせよう。……なんか、二度目で並んでいる人とかいるけど。で、剣術と攻撃手段ね……。剣術は朝倉さんに教えたものでいいとして、問題は攻撃手段か。
……誰? ブラ●キー先生って?
なるほど、槍と二刀流か。どっちも使えそうだな。
「後は……折角聖楯アイギスがあるんだから、盾系のスキルとか? 神聖剣とかいうスキル持っている鮮血のような真っ赤な鎧を着た騎士リスペクトも面白いかもしれないな。いっそ
うん、さっぱり分からない。だけど、盾系のスキルってものがあることは分かった。
……草子君の話を聞いて一を聞いて十を知るのは多分無理だね。十を聞いて一を知るのも厳しそうだよ!
「……で、どうする? 他にもいくつかあるけど?」
「そんないっぱい教えてもらっても理解できそうにないから、剣術に関するスキル、【二刀流】、槍に関するスキル、盾に関するスキルを教えてくれないかな?」
「オーケー。じゃあ、まず武器の作成からいってみよう!」
柴田さんの武器を作っているところを見てるからどんなことをするかは分かっていたけど……やっぱり凄いな。
あっという間に槍と西洋風の長剣ができちゃった。鞘付きで。
「じゃあ、早速始めるか。やることが多いし巻きでやるよ。実際に何度か動きを見せるから、その後に真似をする感じで動いてみてもらうという方向で。……なんだっけ? 時雨と燕をイメージした東洋最強? の剣技だとその継承は一度きりらしいし、きっとなんとかなるだろう? 今までもそれでなんとかなってきたし、なんとかなるんじゃね?」
草子君の教え方は百聞は一見に如かずみたいだ。
……理に適ってはいると思うんだけど、みんなが必死で覚えようとしているから覚えられたっていう側面が大きい気がするよ。
まあ、草子君は貴重な時間を割いて教えてくれている訳だから、その方針に文句を言う権利はないんだけど。
……というか、草子君って意外と大雑把?
「朝倉さんは
上から下に斬る【唐竹】、相手の左肩から右脇腹を斬る【袈裟斬り】、相手の右肩から左脇腹を斬る【逆袈裟斬り】、袈裟斬りの逆に斬り上げる【左斬り上げ】、逆袈裟斬りの逆に斬り上げる【右斬り上げ】を一つずつ丁寧に実践していく。
うん、分かりやすい。最初は無理だと思ったけど、これなら覚えられるかも。
「んで、二刀流はこの応用。もう一つの剣は……まあ、エルダーワンドでいいか。……オタ達ならス●ーバースト・スト●ーム的な超高速十六連撃とかやりそうだけど、俺には無理だから却下で。はい、これオレイミスリルの
「……それってこの世界で作れる最強の武器ってことよね? 寧ろ、こんなに素晴らしいものを私にくれていいのかなって思うけど。って、北岡さんとかも持ってるし……最高クラスの素材を量産できる草子君って一体何者なの!?」
「……ステータスがバグっただけのモブ? というか
なんで自分のことなのに疑問系なんだろう?
もしかして、自分で自分のことを分かっていないとか?
……しかし、改めて考えてみると草子君の立場って分からないな。
よし、草子君は草子君だ。種族:草子君、職業:草子君……って最早人間ですら無くなったよ!
私にはどう考えても不釣り合いなオレイミスリルの
私が使っても聖剣デュランダルはその本来の力を発揮しないらしい。勇者が使わない限り、聖剣はよく斬れて全く折れない剣でしかないようだ……って、それでも十分だと思うけど。
二本の剣を構え、まずは右手で、次は左手で、【唐竹】からそれぞれの型を試していく。
右手はまだなんとかなったけど、左手の方は難しいな。近いうちに使いこなせるようにならないと。
「……それくらいでいいんじゃないか? そろそろ次の槍に関するスキルに移ろうか」
そう言いながら、草子君は私に槍を差し出した。……えっ? 型を見せるんじゃないの?
そう思っていたら、草子君はエルダーワンドを変形させて槍の形状にした。……そういえば、草子君にはエルダーワンドがあったね。
「槍の動きは基本的に二つ――突くか払うだ。突くのは攻撃の範囲が狭い一点集中攻撃。払いは広範囲に攻撃できる代わりに隙が生じる。これを組み合わせながら戦闘を構築していく。突きには関連スキルとして【連続突き】、【螺旋槍撃】、【閃光槍撃】と攻撃を貫通させる【貫通】がある。……そういえば、槍を振りかざすことも戦法としてはあるから、【振りかざし】も会得できるな。……とりあえず、分かりづらい【螺旋槍撃】と【閃光槍撃】を見せるから、後は自分の思い描く通りにやってみてくれ」
草子君は槍型のエルダーワンドを構えると、閃光が迸るような早業で螺旋のような痕を残すような突きを放った。……きっと槍を回転させていたのね。
全く人間業には思えないわ。流石はスキル。
剣を鞘に収めてから私も試してみる。まずは薙ぎ払い、続いて振りかざし、最後に草子君の動きを模倣するつもりで回転させるイメージの突きを放つ……できちゃった。
何度か同じ動きを試してみる。突くたびに攻撃速度が上がっている気がする。
「ほう、【螺旋槍撃】と【閃光槍撃】、【連続突き】の組み合わせだな。流石は
……そういえば、草子君はどうやって戦闘技術を身につけたんだろう?
別に地球で武術をやっていたって感じじゃなさそうだし、確かタブレットの中に使えそうなスキルはほとんど残っていなかった。
それに、草子君の技術はスキルではない……もっと別なものをスキルに置き換えているように見える。
「そういえば、草子君はどうやって技術を身につけたの?」
「基本的には魔獣を喰らって。後は、本で読んだりアニメを見て得た知識を模倣しただけ? まあ、実際に動きを会得した訳ではないからそこから先は探り探りだったけどね。基本的にはノリと勘?」
……草子君にとってはこの世界はイージーモードなのかもしれない。
どう考えても残り物の中から選ばなければならなかった草子君の方が遥かにハードだけど……どういうことなんだろう?
とりあえず、草子君がエルダーワンドで攻撃してくるのを受け流す練習と、盾で殴る練習をして、とりあえず予定にあったことは全部終わった。
「とりあえず、ステータスを確認してみたらどうだ?」
それもそうだね。スキルが会得できていなかったら大変だ。
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NAME:岸田美咲 AGE:16歳
LEVEL:10 NEXT:600EXP
HP:180/180
MP:150/150
STR:260
DEX:175
INT:10
CON:200
APP:49
POW:200
LUCK:11
JOB:
SKILL
【片手剣】LEVEL:5
【二刀流】LEVEL:1
【槍術】LEVEL:1
【盾術】LEVEL:1
【唐竹】LEVEL:1
【袈裟斬り】LEVEL:1
【逆袈裟斬り】LEVEL:1
【左斬り上げ】LEVEL:1
【右斬り上げ】LEVEL:1
【刺突】LEVEL:1
【連続突き】LEVEL:1
【螺旋槍撃】LEVEL:1
【閃光槍撃】LEVEL:1
【貫通】LEVEL:1
【薙ぎ払い】LEVEL:1
【振りかざし】LEVEL:1
【受け流し】LEVEL:1
【盾攻撃】LEVEL:1
【火魔法】LEVEL:2
【水魔法】LEVEL:2
【氷魔法】LEVEL:2
【風魔法】LEVEL:2
【雷魔法】LEVEL:2
【生活魔法】LEVEL:2
【マルドゥーク語】LEVEL:1
【クライヴァルト語】LEVEL:2
【マハーシュバラ語】LEVEL:1
【エルフ語】LEVEL:2
ITEM
・聖剣デュランダル
・オレイミスリルの
・オレイミスリルの
・聖楯アイギス
・聖鎧アキレウス
・学生服
NOTICE
・通知一件
→未使用のポイントが後495あります。
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良かった。取りこぼしは無かったみたいだ。
こうして、私の個人レッスンの時間は終了した。ここから先は私が実戦で技を磨いていくしかない。
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