文学少年(変態さん)は世界最恐!? 〜明らかにハズレの【書誌学】、【異食】、にーとと意味不明な【魔術文化学概論】を押し付けられて異世界召喚された筈なのに気づいたら厄災扱いされていました〜
【柴田八枝視点】悪堕ちした巨乳の槍使いとかゴル兄さんとか……草子君の譬え話を理解するには織田君達を召喚しないといけないのかもしれない……。
【柴田八枝視点】悪堕ちした巨乳の槍使いとかゴル兄さんとか……草子君の譬え話を理解するには織田君達を召喚しないといけないのかもしれない……。
異世界生活十六日目 場所コンラッセン大平原、古びた洋館
私達はこんな私達にも手を差し伸べてくれた白崎さんや私達のせいで崩壊させてしまったクラスメイトに謝りたくて、そのためにみんなと一緒にこの世界で生きる術を模索してきた。
そして、私達は遂に白崎さん達と再会できたのだけど……その時、私達の中に美咲さんの姿は無かった。
本当は美咲さんと一緒に五人で謝りたかった。
だけど、その美咲さんは奴隷商人に連れて行かれてしまった。
私達の心はその衝撃で情緒不安定になってしまっていた。だから、何にも関係のない草子君に当たってしまったんだと思う。
奴隷解放に反対していた草子君は、実は誰よりも先を見据えていた。白崎さんですら考えも及ばなかった、奴隷解放という選択が及ぼす影響を――。
私達がいかに短慮だったのか、その時に思い知らされた。大切な友達が連れて行かれてしまった――そのことに頭がいっぱいで、私は視野が狭くなっていたんだと思う。
それでも、草子君は面倒くさがりながらも一瞬で奴隷商人を蹴散らしてしまった。
……多分、あれは戦いとかそういうものじゃない。次元の違う者による一方的な蹂躙……草子君自身が言っていた通り、文字通りの
私達はそんな相手に喧嘩を売っていたんだ。もしかしたら、私達は草子君によって消されていたかもしれない。
私達は草子君の温情によって生き永らえている。……いえ、私達だけではないわね。
白崎さん達や聖さんやリーファさん――草子君に掛かれば全員の息の根を止めることなんて片手間にできるんだと思う。……実際、白崎さん達は白崎さん一人を残して全滅させられた。……それなのに、なんでモブとか取り巻きAとか言っているんだろう? そろそろ自分の異常さに気づいた方がいいと思う。
あれは、勇者とか主人公とかその程度のものじゃない。常識の枠外に足を踏み出した力だ。
これからどうするべきなのか……まず、草子君には美咲さんを救ってもらったという大きな借りがある。それを返さないことには始まらない。
私にはクラスを破壊してしまった者の責任として、直す義務がある。草子君もクラスメイトの一人なのだから、クラスを一つにするためにもこのまま離れる訳にはいかない。
……まあ、私達はかなり草子君に嫌われているみたいだけどね。私達も存在すら忘れていたのだから迷惑を掛けていないと思っていたんだけど、随分騒音で迷惑をかけていたみたいだ。……草子君の読書の邪魔だけは絶対にしてはダメだね。肝に銘じておこう。
「……さて、次は……えっと、誰だっけ? ビッチリー……じゃなくて、柴田八枝だっけ?」
まだ名前を覚えてくれていないみたいだ。白崎さんのことすら覚えていなかったみたいだし、未だにたまに“天使様”と呼ばれるみたいだし、私のことを覚えてもらうためには時間が掛かると思う。でも、とりあえず指摘はしておかないと。
「今、ビッチリーダーって言いかけたでしょ! ……それで、私も教えてもらうことってできるの?」
……私達は草子君から嫌われている。殺したいって思うくらいに。
そんな相手に戦い方を教えてくれるのか、気になった私は聞いてみた。……勿論、断られるのを覚悟で。
「はぁ、そのために並んだんでしょ。後ろの人に迷惑が掛かるし、とっととやるよ。じゃあ、まずはじめに到達目標的なものを聞いていいかな?」
きっと草子君は面倒くさがりのツンデレさんだ。
どんな時でも結局はその意味不明な力で助けてくれる。ただ、その力に頼っていてはいけない。
私は草子君の足を引っ張りたいんじゃない。力になれるくらいに、頼りにされるくらいに強くなって、草子君に恩を返したいんだから。
「ステータス!」
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NAME:柴田八枝 AGE:16歳
LEVEL:8 NEXT:650EXP
HP:121/121
MP:109/109
STR:116
DEX:125
INT:10
CON:135
APP:45
POW:140
LUCK:9
JOB:魔法師
TITLE:【静かなる狙撃手】
SKILL
【照準】LEVEL:5
【狙撃】LEVEL:5
【火魔法】LEVEL:2
【水魔法】LEVEL:2
【氷魔法】LEVEL:2
【風魔法】LEVEL:2
【雷魔法】LEVEL:2
【生活魔法】LEVEL:2
【マルドゥーク語】LEVEL:1
【クライヴァルト語】LEVEL:2
【マハーシュバラ語】LEVEL:1
【エルフ語】LEVEL:2
【暗躍】LEVEL:3
【潜伏】LEVEL:3
【隠形】LEVEL:3
【無音移動】LEVEL:3
【視敵】LEVEL:3
【千里眼】LEVEL:3
【気配察知】LEVEL:6
ITEM
・魔弓ガーンディーヴァ
・灼熱ノ矢×45
・凍結ノ矢×60
・霹靂ノ矢×70
・猛毒ノ矢×60
・隠れ頭巾
・学生服
NOTICE
・通知一件
→未使用のポイントが後329あります。
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基本的な魔法については既に教えてもらっている。
狙撃に関するスキルについても最低限必要なものは揃っている。
……後はなんだろう? 私に足りないもの……。
私達はこの世界に来てからチームとして戦ってきた。
私は選んだ職業上、美咲さん達前衛の力が無ければ満足に戦うことができない。後方支援をしていた愛蘭さんも戦い方を見つければ私よりも戦えるようになる。
弓使いの弱点――接近戦を克服する。それが、私の課題なのだと思う。
「決まったか?」
「はい。接近戦で戦える術を教えて下さい」
すると、草子君は固まってしまった。何かマズイことでも言ったっけ? やっぱり職業を越えたことは教えられないのかな?
「……あれ? 前にも似たようなことがあったような。……あっ、アレだ。リーファさんも全く同じことをお願いしてきたんだった。ということは、リーファさんと同じことを教えればいい? でも、他の面々は大体剣の使い手だし剣を教えるってのもな。剣士五人揃えても消え……はしないか。ぷ●ぷよじゃあるまいし……って四人でオーケーだった! ……さて、どうしよっか?」
どうやら、願いがリーファさんと被っていたらしい。
そういえば、リーファさんは元々
……まあ、確かに草子君は教えるのが上手いうえに、草子君に教えてもらった後では格段に強くなれるって白崎さん達が口を揃えて言ってたけど、本当だったんだ。……いや、信じてなかったとかじゃなくて、ちょっと意外だったっていうか。
私達の知る? 草子君はずっとぼっちだったから、人に何かを教える姿ってのが想像できないのよ。
まあその草子君は、大学では特別扱いを受けるほどの存在だったみたいだし、私達が知らない草子君の姿というのがこの世界に来てから発覚したということなのかもしれないわね。……ううん、違う。私達が草子君に関わろうとしなかったから、知ろうとしなかったから今まで知らなかっただけ。
「まあ、ビッチリーダーだし実験台にしても問題ないよね。白崎さんとかだったら“天使
……どこから突っ込めばいいんだろう? まず、いくら私が草子君に恨まれているからと言っても実験台にするのは別問題だと思うし、白崎さんのファンから襲われたところで返り討ちにしそうだし、草子君は殺しても死なないだろうし、“天使
だけど突っ込んだら殺されるんだろうな。……どっちかって言ったら草子君って苛められっ子ってより苛めっ子だし。苛めてきた不良を皆殺し……って、最早苛めですらないッ!
「……もう私に突っ込むのは無理だわ。どんな方法でもいい、強くなれるのなら」
「ほほう、ビッチにしてはなかなか度胸があるでは無いか! ……一応リーダーだから? というか、それってアレだよね。仲間のために強くなりたいからって力を求めてダークサイドに堕ちちゃう奴。告白するも振られてしまい、心の弱さに漬け込んだ連中にマインドコントロールされた立派なものをお持ちの槍使いさんみたいな……って俺ってダークサイドなの!? うん、ゴル兄さんみたいな悪役になるのは無理だな」
「草子君がダークサイドなら、主人公パーティ全滅で世界は混沌よ! ……って、思わず突っ込んでしまったわ。というか、みんなの役に立ちたいのに敵側に寝返ったら意味がないでしょ! どんな方法でも良くても流石にそれだけばダメよ!?」
うん、草子君と話していると疲れる。ずっと叫びながら突っ込まないといけないからなのか、知らない用語の応酬だからなのかどっちなんだろう?
というか悪堕ちした巨乳の槍使いって一体誰!? ゴル兄さんって一体誰!? もしかして、織田君達を召喚しないと対処できないの!!
……よく、白崎さん達ついていけるわよね。――もしかして、知らない単語は聞き流しているの!?
「実験台といっても闇堕ちを求めている訳じゃないよ。てか、ビッチで闇堕ちって誰得!? 最初からマイナスなのに、なんでそこにマイナスを足すの!? マイナスにマイナスを足してもマイナスにしかならないよ!? 掛けあわせないと! 闇堕ちってのは心の葛藤があって初めて輝くんだよ!? ……えっと、どこまで話したっけ? 実験台っての純粋に武器の扱いづらさだよ。様々な攻撃方法が取れる反面、とにかく扱いづらい。そして重い……って重いのは
どうやら、実験台というのは持たせる武器の方のようだ。
攻撃手段が増える代わりにとにかく扱いづらい……一体どんな武器なんだろう?
……全く想像がつかない。うん、聞くしかないね。
「どんな武器なの?」
「ハルバード――15世紀から19世紀のヨーロッパで主に使用された武器で、ハルベルトあるいはハルバートとも呼ばれることもある。語源はドイツ語で棒を表す
……うん、前半の辞書的説明の時点でもう着いていけなくなってたよ。
少なくとも草子君が多様な武器を使えることと、エルダーワンドが伝説の武器をも凌ぐ規格外の武器だってことは分かった。
「……んで? どうするんだ? ちなみに俺はハルバードを使ったことはない。……まあ、朝倉さんに【魔法剣】を教えた時もリーファさんに
うん、適当で攻略できる異世界ならもう召喚とかしなくていいと思う。って、草子君はその適当で異次元の領域に足を踏み入れたのよね。……チートって、一体何なのかしら?
とはいえ、選択肢が残されている訳でもない。どんなじゃじゃ馬でも乗りこなすしかない。だって、乗りこなしたらみんなの役に立てるような強さを手に入れられると思うから。
「――お願いするわ! ……ところで、そのハルバードって武器を作るのに必要な素材ってどこにあるの?」
「〝銀の輝きと鋼を凌ぐ強さを持つ魔法金属よ、我が魔力を喰らいて生まれ出でよ〟――〝メタルメイク・ミスリルダイト〟」
「〝アトランティスの底に眠る最硬の神金属よ、我が魔力を喰らいて生まれ出でよ〟――〝メタルメイク・オレイカルコス〟」
……えっ、どういうこと? 金属を生み出した? 確かに【金魔法】は存在しているけど……よく知らないけど地球では聞いたことがない金属だから、特殊なものだよね!? なんで当然のように作り出してるの! なんで当然のように伸ばして、整形して見たことのない武器を作っているの!?
というか、そんな簡単に作れるものなの!! 作れてしまっていいの!! もう武器屋とか必要ないじゃん!!!
「オレイミスリルの
最初は槍のように突きの動きを繰り返し、次に薙刀のように薙ぎ払う動きを何度か試していく。
私はその動きを目に焼き付ける。後で教えてくれるかもしれないけど、せっかく動きを目の前で見せてくれているのだから、覚えられるうちに少しでも覚えた方がいい。
次は斧のように叩きつける動きと剣で切り裂くような動きを繰り返す。
……なるほど、少しずつ使い方が分かってきた。
鉤爪に引っ掛ける動作を何度か繰り返し、草子君の動きが止まった。
……満足したのかな?
「【槍術】、【薙刀術】、【片手斧】、【鉤爪術】、【鉾槍術】、【唐竹】、【袈裟斬り】、【逆袈裟斬り】、【左斬り上げ】、【右斬り上げ】、【兜割り】、【刺突】、【連続突き】、【薙ぎ払い】、【振りかざし】……この辺りのスキルが獲得できるかな? さて、ということでやってみてくれって言いたいところだけど、流石に覚えることが多いからな。分からないところがあれば聞いてくれ」
草子君からオレイミスリルの
だけど、これを使いこなせるようにならないと、私はみんなの役に立てるようになりたいんだから。
草子君の動きを思い出しながら一つずつ試していく。
ところどころたどたどしいところもあったけど、とりあえず形にはすることができた。
「ほう。まさかこんな短時間で形にしてしまうとは思わなかったよ。ビッチリーダーだからって侮っていたのかもしれないな」
……草子君、やっぱり無理だって思っていたのね。
リーファさんから聞いた話と反応が違うなって思っていたけど。
まあ、私自身も驚いているんだけどね。もしかして、私に合った武器だったのかもしれないわね。
「とりあえず、ステータスを確認してみたらどうだ?」
草子君に言われた通り、ステータスを確認してみる。
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NAME:柴田八枝 AGE:16歳
LEVEL:8 NEXT:650EXP
HP:121/121
MP:109/109
STR:116
DEX:125
INT:10
CON:135
APP:45
POW:140
LUCK:9
JOB:魔法師
TITLE:【静かなる狙撃手】
SKILL
【槍術】LEVEL:1
【薙刀術】LEVEL:1
【片手斧】LEVEL:1
【鉤爪術】LEVEL:1
【鉾槍術】LEVEL:1
【唐竹】LEVEL:1
【袈裟斬り】LEVEL:1
【逆袈裟斬り】LEVEL:1
【左斬り上げ】LEVEL:1
【右斬り上げ】LEVEL:1
【兜割り】LEVEL:1
【刺突】LEVEL:1
【連続突き】LEVEL:1
【薙ぎ払い】LEVEL:1
【振りかざし】LEVEL:1
【照準】LEVEL:5
【狙撃】LEVEL:5
【火魔法】LEVEL:2
【水魔法】LEVEL:2
【氷魔法】LEVEL:2
【風魔法】LEVEL:2
【雷魔法】LEVEL:2
【生活魔法】LEVEL:2
【マルドゥーク語】LEVEL:1
【クライヴァルト語】LEVEL:2
【マハーシュバラ語】LEVEL:1
【エルフ語】LEVEL:2
【暗躍】LEVEL:3
【潜伏】LEVEL:3
【隠形】LEVEL:3
【無音移動】LEVEL:3
【視敵】LEVEL:3
【千里眼】LEVEL:3
【気配察知】LEVEL:6
ITEM
・オレイミスリルの
・魔弓ガーンディーヴァ
・灼熱ノ矢×45
・凍結ノ矢×60
・霹靂ノ矢×70
・猛毒ノ矢×60
・隠れ頭巾
・学生服
NOTICE
・通知一件
→未使用のポイントが後329あります。
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草子君の言っていたスキルと寸分違わず同じスキルが私のステータスに追加されていた。
……なんで分かったんだろう? というより、なんでジョブがないのにスキルを得られたんだろう? 分からないことだらけだ。
「
「特に教えてもらいたいことは無いわね。ありがとう、草子君」
こうして、私の個人レッスンの時間は終了した。
草子君の奇妙な指南の秘密はまた今度聞けばいいよね?
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