第71.5話 令和元年7月16日(火)「夏休み前の後」笠井優奈(おまけ)
放課後、文化祭のためのウォーキングの練習が終わってから日野に呼ばれた。
「このあと、音楽準備室に謝りに行くから」
三島はショックを受けたのか午後の授業は呆然としていた。
そして、放課後の練習をサボって帰ってしまった。
日野はその様子は見ていただろうが、ふたりが話しているところは見かけなかったのに、どうやって知ったのか……。
「行かない」
「そう、じゃあ松田さんに頼むわ」
「待って」
美咲にあることないこと吹き込まれたんじゃたまったものではない。
いや、日野はないことまでは言わないだろうが、それでもヤバい。
美咲も悲しむと思う。
「分かった。行くよ」
日野はウザい。
天敵のようなものだ。
いつもアタシの上を行く。
日野はひかりを呼んで説明した。
少し悲しげだったひかりが喜んでいる。
歩き出した日野のあとを、ひかりと並んで歩く。
ニコニコしているひかりの横で、アタシは聞かれてはマズい罵倒の言葉を心の中で叫んでいた。
音楽準備室に到着する。
中に入る際に、日野に耳打ちされた。
「友だちのことを思うのなら、笑顔にしてあげないと」
日野はそう言ってアタシの背中を押した。
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