こわいめじろ
ある冬の日。道路を歩いていると何か緑のものが落ちています。
近寄るとなんとメジロ! あの目の周りが白い小鳥です。
道路のど真ん中に、仰向けになってひっくり返っていました。羽を閉じて足を上に向けて、でも目はぱちぱち。お腹も息をしていて動いています。
なんで?なんで?と、車にひかれてしまう前に拾います。
簡単に拾えました。何かにぶつかって脳しんとうでも起こしたのでしょうか。
野鳥はいろいろ菌が心配(あと糞も)なので、念のためティッシュにくるんでコートのポケットに入れて持ち帰ります。簡単に入っちゃう小ささ。もぞもぞ動きはしますが暴れません。
家に帰り、ひとまず手を洗います。その間別の部屋のテーブルの上にティッシュごと置いておきました。相変わらず飛びもあばれもせず置かれたまま。
でも目立った外傷もないし具合悪そうな目もしていないし、脚も普通にしています。折れている様子はありません。
小鳥は常に動いていないと死んじゃうのかと聞きたいくらい、せわしなく動き回るものですが、手を洗って戻ってきてもティッシュの上にまだ仰向けでじーーーっとしています。
珍しいのでティッシュごと手に取ってまじまじと見ます。それまでインコしか間近で見たことが無いので、くちばしの細さと長さにほぉー。これで花の中に突っ込むのか。口元にヒゲみたいのがあるなぁ。花粉でも運ぶのかなあ。あと脚も指もほっそ!! 折れちゃいそう。
そして目ですが……
目の周りが白くて、瞳が黒という漠然としたイメージを勝手に持っていました。あのアイリングが可愛いと思う人は少なくないはず。
今まで飼っていたインコが、だいたいぱっと見黒いつぶらな目をしていたのでそれに白フチがついてんだろう、程度に思っていたので本物は予想外でした。
人で言う「虹彩」の部分が体の色をさらに暗くしたような色をしており、その中に「瞳」があります。
昼間で明るかったからというのもありますが、その瞳がものすごく小さく点のようになって、よくイラストであるような「イッっちゃってる人の目」みたいになっていたこと。目を縁取る白い部分はよくよく見ると、ちーさい羽一枚一枚が粒粒つぶつぶ……と並んで作られているもの。
その眼が瞬きをほとんどせずジーーー――っとこちらを見ています。
うう、正直、怖い……
にらめっこに負けゆっくりテーブルの上に戻して少し経つと、突然部屋の中をブリブリと飛び回り始めました。そうなったらもう捕まりません。糞もされたし。
しばらく跳びたいだけ飛ばしておくと疲れたのか鴨居にとまりました。
しかしまだ動きが鈍かったので、直ぐ素手で捕まえられてしまいます。
メジロは無許可で捕獲、飼育すると罰則がありますので、庭で見つけた虫のようにはいきません。
今度はちゃんと外へ逃がします。が、すぐに物干しざおの上に止まりまたボーーーッとしています。大丈夫なのこの子。ここはどこ私は誰?状態になってない?
しばらくしたらいなくなっていたのでどこかへは飛んで行ったのでしょう。
その後手はよく洗って、テーブルの上や糞ひっかけられたところは消毒用アルコールで拭きました。
★おねがい
春先に巣から落ちているヒナ(ある程度毛が生えそろっている)がいても拾わないでね!巣立ちの練習の最中で遠くから親が見守っている場合があります。人が手を出すと親が見離しちゃうことがあるので、猫やカラスが襲ってこないかそっと見守る程度にしててあげてくださいね。
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