マミー
始めに言っておきます。お母さんのことではありません。
数年前に、私なんかより数倍詳しいかたに教えていただいたのです。
こんな可愛らしい名前して恐ろしい裏話が……。
アブラムシにはかなりたくさんの捕食者がいます。そして数も爆発的に増える。あっという間に枝という枝がびっちりこいつで埋まるのも珍しくありません。
当時、庭に咲いていたユリの花の茎部分が枯れたまま放置されていたので片付けをしていました。オレンジのアブラムシがいっぱいついています。袋に入れるためにどうしても細かくしなければならない。うひーと思いつつもあまり直接触りたくなくて(潰すと汁がつく)葉っぱでなでるように落としていました。
その中にひときわ大きいうす茶色で、びくともしない奴がいたのです。突いても反応なし。むしろ風船が膨らんでるみたいなパンパンの丸さ。
棒でつつくとへこっとお腹がへこみました。……お亡くなりになっている。
ちょうど偶然、その方のブログをみていて「アブラムシのマミーです」と紹介されていたのがまさにこれ。そのサイトで
「アブラムシに寄生するハチのせいでミイラになったものです」
と教えていただきました。
えっ、あんなちっこいのに寄生するハチがいるの!?と、アブラムシのミイラだって!?と二重にびっくり。
マミーとは英語で「mummy」、ミイラの意味の方のマミーでした。
アブラムシの体内に卵を産み、あとは内からアブラムシを食ってハチになって出て行きます。どこからどう出てきたのかわかりませんが、アブラムシは綺麗に形を保ったまま。
アブラムシの皮(虫なのに皮っていう表現でいいのかな)が硬くなるのも、そのハチが蛹になるために硬くするらしいです。だからつついたときに紙風船みたいにへこっと潰れたのですね……
しらべてみたらこれもまた複雑怪奇な世界が広がっているようで、アブラムシに寄生するその名も「アブラバチ」という種類がいます。
そしてその「アブラバチ」に寄生する別の寄生バチがいます。マミーになったところ(中に蛹がいる)を狙うやつもいれば、まだ生きているアブラムシのなかに潜むアブラバチの幼虫を見つけて狙うとか……。どうやって狙ってんだ。
アブラムシは食べられるだけじゃなくて、こんなところまで食物連鎖の土台をささえているとは知りませんでしたわ……だからあんなに子供を増やすんですね。そうじゃなきゃ敵が多すぎて絶えちゃうよ。
さすがにこの小さいハチは、実物を見つけられていません。
マミーなら動かないからかんたんに皆さんの周りでも見つかるかもしれませんね。
見つけたからと言ってどうのこうのはないんですけど。
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