雨が降ったら

 台風接近に伴い、いま雨が降ったりやんだりしています。(2019年8月14日)。それで思い出したこと。


 何年か前、ものすごい夕立があった時のこと。

 当時庭に多分クロヤマアリの巣がありました。働き者が多いんだか知りませんが入口がだいぶ拡張されてしまって、たまに人間が通ると足で砂を入れてちょっと埋めさせていただいていました。


 そんなところに激しい大雨。人間の家には浸水こそしませんが、蟻の家にはきっと大洪水でしょう……



 でも蟻は雨が降る前に穴をふさぐから、巣が水浸しでおぼれちゃう!!なんてことにはならないし、第一土が水を吸いますから濡れはするけど水没はしない。部屋も横穴になっていますし。


 雷が去ってやや小降りになったころ、様子を見に行きました。運悪く巣の入り口は水たまりの底。

 さらに残念なことにそこは他より低くなっていたらしく、雨どいの出口からでていく水が多すぎて、排水の流れに支流が出来て蟻の巣方面に流れてしまっていました。

 ためしにあまどい川の支流をせき止めてみます。雨の中スコップ持って土盛って何やってんだろう自分。



 支流をせき止めた途端

「じゅごごごご・・・ずずず・・・」



 えっ?



 洗面台に水をためて栓を抜いた時と同じ現象が。渦巻いて水が吸い込まれていきます。

 あれ、巣に蓋をするはずでは……

 巣穴の入り口が大きすぎてふさぐのが間に合わなかったんでしょうか。ばかでかい穴がぽっかりと姿を見せました。蟻の巣というよりも蝉の幼虫が土から出てきた穴の大きさに近い。


 さらに悪いことに、この直後再び豪雨が! 堰止めた土は流されてしまい、またまた巣穴は水の底。


 なんだか気の毒になった私は、スコップでその穴の上に土をぺたっとのせました。水の侵入はひとまずなくなった……かな?


 その後今度は日が差すほど完全に雨が上がったので、気になって外へ出てみました。盛り土は流されず耐えていたようです。



 このアリの巣だと思いますが、30cm位離れたところにもう一つ穴があります。そっちはすごく小さく(デカ巣穴との対比の意。標準的な大きさと思っていただければ)おそらくふさぐのが間に合ったのかと思われます。


 その穴のあったあたりに、蟻が5~6匹頭を寄せ合い円陣を組むようにして居ました。この豪雨の中無事に生還した外回り部隊でしょう。よくぞ御無事で。

 触角をこちょこちょしています。でもうろちょろはしません。これはもう推測ですけれど、外から穴を掘りにかかっていたのではないでしょうか。



 ところが私が埋めてしまった穴の方は、生還部隊はやってきたのですが穴の位置が分からないらしく「???」と頭に浮かんでいる感じでうろちょろしたまま、掘ることはしませんでした。


 どうして巣の場所が分かるんだろう……巣の周囲ににおいをつけていてもこの雨で流れて行かないのだろうか。


・中から仲間がにおいを発している

・中から巣穴を掘る音が聞こえている


 このあたりなんじゃないでしょうかね。

 余計なことして土を厚く乗せちゃったばかりにどちらであっても解らなくなってしまったと思われます。(この後土はある程度私の方でどけました)

 でも、巣穴のあったあたりをうろちょろしているってことは、場所の見当はちゃんとついているってことですよね。


 また、あれだけの大穴が空いていたとしても入口だけが広く、いざ中の方は普通の巣のように狭くなっている可能性もあります。そうなら何も律義に地面からふさがず、狭くなっている通路をどうにかすれば流入をふさげます。

 水が溜まっていたということはそうやってしのいでいた可能性もあるよなあ。頭いいんだなぁ。


 また昆虫のフェロモンを感じとる器官はとんでもなく精巧なつくりをしているんだなあと感心しました。と同時に社会性のすごさ。ちゃんと帰ってきて力合わせて家を修復するんですから。


 今回の台風、大きな被害が出ないことを願います。

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