エイリアン虫

 もう10年くらい前でしょうか。ある日、庭ののびのびの木の枝を切っておりますと、何やら赤っぽい物体が。


 な、なんだ?? 虫っぽいけど……いや虫だろうけど……


 初めて見た時はどちらが頭かわかりませんでした。お尻と頭が向かい合うほど反り返っていて、背中はごつごつ。

 よく見れば頭は丸く平たく、お尻の方がかなり膨れていて先端から2本ぴょんとアンテナが……何のため?

 幼虫のようですが私の知ってる幼虫じゃない! 何やら新種の生き物?


 イモムシのチャーミングポイントといえば、赤ちゃんのようにきゅっと縮めている短いお手手(完全主観です)。

 でもこの虫はなんでかしりませんが2対の脚が長い。ナナフシまでとはいかないけれど、幼虫なのに足が長すぎる!

 あと、お腹についている腹脚も、大体の幼虫はぷよっとしたお肉の突起、みたいなのが多いのに、なんだこれムカデの親戚みたいに横に出っ張っているし……キモ!


 しばらく見ていると、お尻のアンテナの2本がぱかっと開いて、そこから糞が出てきました。

 ますますもって何だこの虫は! ナニカの幼虫なことには間違いなさそうだけど、まるで「エイリアン」の幼虫じゃないか!と写真を撮っておきました。


 

 撮り終わって、枝でつっついてみるとその長い脚を広げて今にも「キシャー!!」とか鳴き声を上げそうな勢いで、かくかくと怪しい動き……


 その後しばらくエイリアン虫と呼んでおりました。


 数年後、ウェブサイトで「幼虫図鑑」という素晴らしい検索システムがあることを詳しい人に教えていただき、これの正体が「シャチホコガ」の幼虫であることを突き止めました。


 なーんだ、蛾の幼虫だったのか。しっかし個性的なフォルム。


 その名の通り、シャチホコのように反りかえった姿。「シャチホコガ科」というものが存在するようで、その種類の中にはいたって普通のいもむしけむしの姿の虫も。

 この種はどうしてこんな姿になることを選んだのでしょうね、不思議です。


 毒もないので手に乗せている方の写真も出てきます。残念ながら私はあの一回しかお目にかかったことはなく、次に出会ったらちょっとばかり仲良くさせていただきたいな、などと思いつつ、ユニークな姿を探していたりします。




 エイリアンと思うのは私だけでなく「地球外生命体だ」とか「怪獣だ」とか言われています。そのキモカワが受けてガチャガチャのカプセルトイにもなるほどファンのいる虫。

 容姿が気になる方はシャチホコガで検索してみてください。きっと幼虫の定義が覆る!

 成虫はすごいモフモフフで、違った可愛さがある人気の蛾でもあります。

 


 もう一つ、このシャチホコガの中に、こちらも容姿にびっくりする成虫が属しているのですが……それはまた今度。

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