九官鳥のピーちゃん(自称)

 模写の天才、九官鳥。オウムやインコもしゃべりますが、この鳥の右に出るものはないかと。



 九官鳥の自称ピーちゃんは、高校の時通学に使っていた駅の反対側にいました。

 逆の降り口なので滅多におりなかったため、いつからいたのかもわからずです。

 小さい個人の店があり、そこの人が晴れた日は朝から外に箱をだしているようで、通りすがりの人が面白がって近づきます。


 ピーちゃん、ピーちゃん、と喋っていたからきっとピーちゃんなんでしょう。キューちゃんじゃないのか。



 ある日主婦のおふたりが、

「ピーちゃんなんかしゃべって」

と、覗きこんで話しかけていました。


 ピーちゃんはしばらく無言でピョコピョコと、左右に跳び跳ねていましたが、ハタと停止すると、完璧なイントネーションでこう答えました。




「ア~アー、疲れたなァ⤴」



 主婦の二人は「朝から疲れててどうするのww」とツッコミます。


 私は一人で笑いをこらえ、通学路をひたすら下向いてニヤケをこらえ歩きました。

 登校して友達に一連話し、帰りに見に行ったのですが、そのときはまったくしゃべってくれませんでした。



 きっと店の主人が、夕方片付ける際に疲れたナーとか言ってたんでしょうね。

 それを覚えちゃったから、人が教える台詞じみた音程ではなく、完璧なまでの疲れを表現できているにちがいない。


 そして、しばらくたったある日いなくなっていました。残念。

 どうなったのかはうかがい知れませんが、できれば「ピーちゃん」と「疲れたなあ」以外のおしゃべりも聞いてみたかったなあ…。あ、こんにちはは言ってたな。

 そのうちそのお店も閉まってしまいました。引っ越されたのでしょうかね……

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