甲虫シリーズ その3 最低な男

 セルフレイティング:性描写あり(笑)



 前回に引き続き、カナブンの恋事情です。



 夏のある日。日中何かでたまたま外へ出た時、やたらと「カチャカチャカチャカチャ」と何か固いもの同士ぶつかる音が聞こえてきました。

 はて何の音?



 音源に近づくと、庭の松の枝の上にカナブンがいっぱいいました。うち2組はカップル、ほか2匹は単独。

 その中のカップルの1組が、とんでもない勢いで爆走しています。

 もう1組も歩き回ってはいましたが、それなんか比べ物にならない勢い。前世はゴキブリですか、というような足運び。



 メスの方は自分の上に乗っているオスを引きはがしたくてしょうがない、オスはここで会ったが100年目と言わんばかりに、しがみついて放しません。


 2匹の硬い外殻同士がぶつかる音と、松の木の枝にぶつかる音でにぎやかになっている様子です。



 メスの執念はすごく、1匹くぐるにはやっとなスペースの場所を見つけてはそこに入り込み、オスと自分の体の間に枝やら葉やらとにかく何でもいいから挟みこませて引きはがそうとします。

 しかし残念なことに、松の枝はたわんでしまいます。折角のスペースも2匹が無理やり通ろうとすればその分間は空いてしまう。

 

 またオスの執念も負けておらず、自分の体の下に障害物が入り込んだとしても、なんとか接合したまま仰向けになりながらも離れません。なんてしつこい男!嫌われてしまうよ。


 そんな格闘の末、とうとう2匹は地面に落ちてしまいました。




 ……が、メスにとってすごいいいものが目の前に!


 人間が片づけるのが面倒で放置していた、「金属の棒」がありました。(本来は松の枝を支えるためのものだったが取れてしまって放置)


 その下には若干の隙間が!

 メス、迷わず潜り込む! 半ば土を掘らんばかりに!



 やったーーーー! ついに引きはがしに成功です!


 オスは仰向けになりじたばたしていました。メスは一目散に逃げます。単身になっても暴走は止まりません。かなりのスピードでどこかに姿を消してしまいました。



 彼女がここまでして彼を受け入れたくなかったのは何なのでしょう。前回見たカップルは、それはそれはすんなり事に及んでいたのに。虫同士の相性好き好みがあるとか、イケメン基準があるんでしょうか。

 大体「強い」「大きい」「きれい」が基準だと思っていたのですが、人には計れない「何か」もあるような気がします。

 虫にも「こいつの遺伝子は絶対残さない!」といった感情は湧くのでしょうか。



 拒否られてしまったオスはというと……



 仰向けになったオス。お尻の先から生殖器官がでたまま。さらにそこから白い液まで出ている……


 

 ……ぅおおいっ、それはダメだろ! モザイク案件になっちゃうよ! そんなだから女の子に嫌われたんじゃないのか? 最ッ低ーと言う声が聞こえてきそうだよ!



 虫も子孫を残すのに必死なんだねぇ。

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