ハムスターばいばい

作者 紅林みお

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★★★ Excellent!!!


 なんなのだろうか、この感覚は……
 狂気に満ちているのに、とてもしんみりする。

 この物語は紛れもなく壊れている。
 タイトルの通り、ハムスターはいとも容易く「ばいばい」されるし、文章は終始鬱屈した雰囲気を出している。
 ハッピーな話とはとても呼べない。

 しかし、それでもこの作品は独自の美しさを持っていると感じられる。
 この話の主人公は「お姉ちゃん」だ。彼女のクレイジーさ、もとい性質は第一話で十分すぎるほど分かる。
 その奇行には目を背けたくなるが、読み進めてみると別に残虐行為に楽しみや喜びを抱いたり、相手を貶めてやろうという悪意は感じられないのだ。
 ならば一体、なぜ彼女は狂気を振り撒くのか。

 その理由を読んでみて、これは「お姉ちゃん」の話であり「ハムスター」の話でもあるのだと思い知らされた。

★★★ Excellent!!!

子供の頃、誰しも一度や二度は、虫や小動物などのペットを買うという経験をするものです。

ハムスターはその筆頭ともいえる小動物。

また、兄弟姉妹によくある話として、一方は甘え上手でわがまま、もう一方は堅実な努力家であったりします。

この姉妹の姉はそういった手合いであり、お小遣いをやりくりして念願のハムスターを手に入れた妹に、どうやら、少女らしい対抗意識を燃やしたようですが……。

子供は時として、残酷であり、他者の都合などお構いなしの狂気性を帯びることがあります。

また、そうした人間というのは、自らの狂気に、まったく気づきません。

この作品を読んでいるとナチュラルにやばい姉の思考に引きずられて精神に支障をきたしそうになります。

しかし、それ程の引き込む文章と物語こそのサイコホラー作品の醍醐味とも言えましょう。

続きが楽しみになっている自分は、もしかしたらすでに精神をやられているのかもしれません。