間奏 愛紡ぐ時
薄闇の中、目を覚ました。
そこには
静かに横で目を瞑っていた。
屋根の上で口づけを交わした後、
安堵と緊張に包まれながら、
エオニオスと寄り添っていたのだが、
そのまま寝てしまったらしい。
冷たい夜風のせいもあって、
彼の体温がより温かく、心地よいと思ったところで記憶が途切れていた。
「ん……ウルキア…?」
「ごめんね、起こしちゃったね」
「ううん。大丈夫。
でも…寒いから、もっとこちらへおいで」
伸ばしてきた手に身を預けると
労るように抱きしめられた。
少し苦しいけど、温かくて、気持ちが良い。
心も身体も全て、温かくて、満たされている。
知らなかった。
優しく燃えるような恋心は、
こんなにも満たしてくれるものだなんて。
こんなに
「顔を見せて、エオニオス」
目を瞑りながら、
「いいよ」と彼が承諾をしてくれる。
わたしは顔にさらりとかかる彼の髪を耳にかける。
薄紫の
陶器のような真白い肌。
閉じた瞳を縁取るまつ毛は長く、
形の良い唇は薄桃で。
美しい彼を見て想う。
ずっと、そばにいたくなる。
ずっと、声を聞いていたくなる。
ずっと、触れていたくなる。
この湧き上がる気持ちが、
きっと、恋、なんだ。
彼の頬に手を添えながら、整った唇を指でなぞる。
愛を囀り、わたしを愛でた、唇に。
「何、しているの?」
「……ないしょ」
目を瞑る彼に
そっと、そこにわたしのものを重ね合わせ、
それから彼の首元に顔を埋めた。
彼は何も言わず、わたしの頭に頬擦りをした。
彼は悲しいことが起こると言っていた。
でも、どんなことが起ころうと、
この恋心と愛を選んだことに悔いはない。
この想いを知らないままでいる方が、
きっと、悲劇だろうから。
そうしているうちに、
窓から薄い光が差し込んでくる。
もうじき朝が来る。
二人の時間が終わる朝が来る。
昇る陽の光と彼の優しい華の香りに包まれながら、
残り少ない夜を、惜しむように
わたしは瞳を閉じた。
あのね、あなたに、こいしてる 戀月 唯(rengetsu yu_i) @solus
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