第2話

 ガチャっと冷蔵庫のドアを開ける。

冷蔵庫の中には、卵・ウィンナー・白飯しかなかった。

ー服買うついでに食品も買わなくちゃな…

私はそう思いながら卵とウィンナーを取り出した。    

「夕夏ー、今日服どこに買いに行くのー。」

卵をかき混ぜながら聞く。

「うーんと駅の近くのデパートかなぁ」 

と回答が返ってきた。

「えーでもちょっと遠くない」

熱したフライパンの上の卵たちを焦がさないようにしながら言葉を返す。

「いいじゃない、せっかくのゴールデンウィークなんだから少し遠出しよ。」

明るい声の返事が返ってきた、

 やれやれ彼女にこう言われてしまうと私は弱い。

出来上がった卵焼きを皿に移しながら苦笑する。

「ねぇー卵焼きできたからテーブルの上の物どかしてーって何してるの。」

キッチンからテーブルに行こうとすると彼女が私の衣類を漁っているのだ。

「いゃ〜一緒に買い物行くなら何か一緒のもの身につけたくて、エヘヘ。」

 エヘヘじゃないよ、まぁ彼女の変な行動は今に始まったことじゃない。

「変なことしてないで、コレテーブルに置いといて。」と卵焼きを渡す。

「うん、わかったー。」と夕夏はニヘラと笑った。

 さてウィンナーをちゃっちゃと焼いちゃいますか。

フライパンに油を少しひいてからウィンナーを入れる。

ジュゥと焼ける音がしてきた。

「ん?美希まだ何か作るの?」と夕夏が音に反応して聞いてきた。

「うん、ウィンナーがあったから出そうと思って。」とウィンナーを転がしながら言う。

「何か手伝うことない?」と服を着替えた夕夏が聞きにきた。

「じゃぁ、冷蔵庫に入ってるご飯チンして。」と目配せをした。

「わかったー」と鼻歌を歌いながらご飯を温め始めた。

さてこっちもそろそろいいかな、と綺麗な焦げ目のついたウィンナーを皿に移した。

チンと小耳のいい音がして、

「温まったよー」と声が聞こえた。

「じゃぁそれ持ってきてー私はウィンナーと箸持ってくから。」

「はーい」 

二人で料理をテーブルに置きながら向かい合うように座った。

 「いただきます。」

 「いっただっきまーす。」

卵焼きを取る。いつもと同じもののはずなのにに、少し美味しそうに思えた。

「美味しいね。」

私も口に入れる。

――美味しい。

最近は忙しかったから味わえていなかったのか…

「うん、美味しいね。」

二人で談笑をしながら食事を済ませた。

「ふぅー。皿も洗い終わったし買い物行こうか。」

「ラジャー!今日は一緒に楽しもうね。美希ちゃん」

 満面の笑みで来る夕夏に私は微笑みながら

「迷子にならないでよ。」と返した。

ならないよーと返してくる。

ドアを開け、駅へ歩き出した。  

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ゴールデンウィーク KS @ksshousetulove

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