ゴールデンウィーク

KS

第1話

――ピピピ・ピピピ・ピピピ…。

 

耳障りな音が否応にも私の目を覚まさせる。霞みがかっていた視界もだんだんとクリアになっていく。

 

「うー、頭痛い。」


それもそうだ昨日は夜遅くまで友人と飲んでいたのだから。

服を着替えながらふと振り返る。

 世間はやれGWだとかやれ新年号だと騒いでいるが、私は大学のレポートやバイトに追われ友人のラインで今日年号が変わるのを知ったのだ。

 友人からのラインは簡単なもので、「新年号を迎えるまで美希ん家で飲もうぜ」とのことだった。

 着替え終わりまだベッドで幸せそうに寝ている友人に声をかける。 

「ほら夕夏起きて、今日は一緒に服買いに行くんでしょ」

と言いながら夕夏の肩を揺する。

…起きない…

もう一度揺する。

…起きない…

 パチン

と鋭い音がなる。

「いったーい」

と叫びながら顔を上げる。

「なんで叩くの!?」

と涙目になりながら夕夏は私に迫ってくる。

「夕夏が起きないのが悪いんじゃない。今日は服を買いに行くんでしょ。」

「でも、叩かなくてもいいじゃん」

と夕夏は頬を膨らませる。

「まぁまぁ、そう怒らないで今から朝ごはん作るから。」

「じゃぁ卵焼き作って、甘いやつ」

と夕夏は目を輝かせながら言う。

それで夕夏の機嫌が直るならそれでいいかと思いながら私は昨日の残骸が残っているキッチンに向かった。

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