第4章 カタルス共和国

第47話 カタルス共和国

さて、クチュールの港を出て3日。

私達は無事、カタルス共和国最大の港町ゼルムに着くことが出来た。

これもダンダ船長のお陰だな。

船を降り、港にいると入国管理担当であろう騎士にギルドカード渡す。


「ダンダ船長、ありがとうございました。」

「なーに、最初に言った通り恩返しだ。あんた達はこれからも旅を続けるんだろ?元気でな。」

「ええ。そちらこそお元気で。では、これで。」

ダンダ船長にお礼をいう間にチェックの終わったカードを受け取った私達は、彼らと別れ街の中心部を目指すのだった。


「どうする?」

ユニの問いかけに

「やはり、まずはギルドに行こう。ここまでくると土地勘どころか基本的なこともよく分からないからな。色々とギルドで教わろう。」

「分かったよ。じゃあ、誰かにギルドの場所を聞かないとね。下手に動くと迷子になりそうだし。」

テオの言うように、これだけの大都市、適当に歩いては目的地には着かないだろうな。


その後私達は、港ではたらく船乗り達に、ギルドの場所を教えてもらう。

同じ港町ということもあり、クチュールと似た雰囲気の街を1時間も歩けば、教わった通りの場所に目的地であるギルドがあった。

「ここだな。」

「やっぱりギルドはどこも同じ感じだね。」

「確かに。なんだか懐かしい気さえしてくるな。」

「おいおい、こんなところでくっちゃべってないで。早く入ろうぜ。」

「ん。アイラの言う通り。」

「あ、ああ。すまないな。」

女性陣に促され、ギルドの中へと入っていく。

中もやはり、今までの冒険者ギルドと同じ構造だ。

カウンターに言って、クチュールの時のように説明すると、受付の女性がこの国について教えてくれる。


「ようこそカタルス共和国へ。」

「カタルスは、ここゼルムを境に北のカナン地方は大陸中央のアプスル山岳地帯から流れ、ゼルムより海に出るシノナ大河のお陰で、古くから農業が盛んな土地です。」

「そしてここから南は主に技術の発展に力を入れ、芸術都市ファンや機構都市ハマト。そして首都である知識都市ソフィテウスがあります。」

「これらの都市間は道も整備されていますから、行き来に関して特に不自由することはないでしょう。」


そこまで説明すると、受付嬢は、ところで、と話題を振ってくる。

「今後の予定はお決まりですか?」

「ソフィテウスには行くつもりですし、他も見てみたいですね。ただ急ぐ理由もありませんから、色々と見て回りたいと思っています。」

「それなら、実はお願いしたい依頼があるのですが…」

そう言って言われた内容は魔物の討伐依頼だった。

「実はアプスル山岳地帯のある山の麓でロックリザードという魔物の目撃が相次いでいまして。既に何人かの冒険者の方々には声をかけていますが、思ったように集まっていないのです。そこで皆さんなら3C級と実力は十分ですし、ルークさん達はガインの街の出身との事で、魔物の討伐には慣れているのでは、と声をかけさせて頂きました。」

「分かりました。少し、相談しても良いですか?」

「ええ、もちろんです。」


さて、どうしようか。

「みんなはどう思う?」

「僕はどちらでもいいと思うけど。」

「あたいもだ。元々、あたいは戦いは出来ないけど、怪我した時は任せてくれよ。」

テオとアイラ、2人の意見に、

「私はむしろこの依頼受けたい。」

そう言ったのはユニだった。

「どうしてだ。ユニ?」

「最近は昔ほど鍛錬が出来ないから、ちょうどいい。」

「なるほど。」

確かにこの間も、私の実験のためにユニ達はほとんど何もしていない。

別にユニが血に飢えているわけではないが、剣を持つものとして、実戦から離れすぎることに不安を感じるのだろう。

「分かった。じゃあ、受けるつもりで話そう。」

「ん。ありがとう。」


「では、受けたいと思うのですが、条件をもう少し教えてもらえますか?」

「ありがとうございます!先程お伝えした通り、対象はロックリザード。数は不明ですがある程度の数がいると思われます。そのため、ほかの冒険者の方々との共同依頼になりますね。既にD級3人組のパーティ1つの参加が決まっています。報酬はお一人大銀貨1枚。目的地までの行き来は、ギルドの方で用意しました。出発は、皆さんが受けてくださるなら明日の朝、ですね。他にご質問はありますか?」

ふむ、聞く限り特に問題はなさそうだ。

後ろを振り向くとみんなも頷きかえしてれる。

「大丈夫です。それではその依頼、受けさせて貰いますね。」

「ありがとうございます。それでは、明日の朝北門にお越しください。」

「分かりました。」

「それと、もし宿をこれから探すのであれば、ギルドを出て左に進むと、ギルドと提携している宿屋があります。カードを見せれば割引もしてくれますし、オススメですよ。」

「そうですか。教えてくださりありがとうございます。では、私たちはこれで。」

「はい。それでは依頼の方、よろしくお願いします!」


ギルドを出た私達は、聞いた宿に向かう。

今日はもう休むことにした。

はじめての船旅は楽しくもあったが、流石に疲れたからな。


そして翌日。私達は依頼のため、北門に向かうのだった。

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