第48話 共和国での初依頼

翌日、約束の北門に向かう。

既に馬車と人が集まっていた。馬車に乗っている人物は御者で間違い無いだろうが、場所の横には男女の2人組が。

私たちが最後だろうか?

「おはようございます。討伐依頼の方々ですか?」

「ああ。ロックリザードの討伐依頼を受けた者だ。そう聞くってことは君たちも、だよな?」

そう答えたのは短い髪に筋肉質な大柄な男性で、見るからに冒険者という風貌だ。背中に大剣を背負っている。

その横にいるのは細身の女性で、長い黒髪を後ろで束ねていた。獲物は弓矢のようだ。

「はい。私がルーク、こちらからユニ、テオ、アイラです。今日はよろしくお願いします。」

「「「よろしくお願いします。」」」

「ああ。こちらこそよろしく頼む。俺は、ダイ。こいつは相棒のミカだ。4人組ということは君たちはC級、でいいんだよな。」

「ええ。私たちが依頼を受けた時は3人組のD級の方々もいるとのことでしたが…」

「そうらしいな。彼らはまだ来ていない。多分俺たちが最後に依頼を受けたんだろう。ちなみに俺達もC級だ。見ての通り、大剣と弓矢を使っている。」

そんな風に自己紹介をしていると、

「おーい!」

向こうから3人の男達が走ってきた。

「はぁ、はぁ。待たせちゃったか?あんたらも、ロックリザードの、討伐依頼を、受けたんだろ?」

やってきた3人は大分若い。もちろん私たちが1番若いのだろうが、彼らもおそらく20歳にはなっていないだろう。

彼らの息が整うのを待ってダイさんが口を開く。

「よし。じゃあ、馬車に乗ろう。自己紹介はそれからでもいいからな。」

ダイさんに促され私達は馬車の荷台に乗る。

一応屋根はあるが、そう立派な作りではないな。

私達が乗り込んだのを見て、御者が馬を走らせた。

名前どころか声も聞いていないが、無口なのだろうか。とはいえ、無理に詮索するのもマナー違反。

距離感は人それぞれだ。


「で、最後に俺がイーサンだ。」

その言葉で、それぞれの紹介が終わった。

最後に来た彼らはやはりD級の冒険者で、アーウィンとキースとイーサン。

私達がC級ということで忘れがちだが、D級といえば中堅どころ。彼らの年でD級というのは、かなり将来有望ということだ。

「それにしてもルーク達はC級っすか。凄いっすね。」

そういうのは、3人組のリーダー、アーウィンだ。

恐らく本心からの言葉だろう。

考えてみると、この世界ではあまり嫉妬を向けられた経験はほとんどない。つまり、実力があるものには素直に敬意を表する。

大陸全体が実力主義的なのは、やはり魔物という脅威と隣り合わせだからなのかもしれない。


現在は馬車の中、各々で自由にしている。互いに言葉を交わすもの、景色を眺めるもの、そして寝ているものも。

余談だが、驚いたことにこの馬車、ほとんど揺れを感じない。いや、感じないことはないのだが、今までに乗った馬車に比べるととても快適なのだ。

私にはその手の知識はないので分かりかねるが、おそらく王国などの馬車にはない技術が使われているのだろうか。

こんなところで早速、共和国の技術力を感じるとは思っていなかった。


さて、私はというと、ダイさんと続けて話をしている。

「ところで、ルーク達はグラントから来たと言っていたな。ロックリザードの事は知っているか?」

「ええ。実際に討伐したことはありませんが、名前だけは。なんでも魔法使い殺し、と呼ばれているとか。」

ロックリザードは山間部に住み、鉱物を食べるトカゲの姿をした魔物だ。

そのため、エルバギウス大森林の辺りには生息していない。

それでも私が知っていたのはミリア師匠に教わったからだ。

「師匠から教わりましたが、なんでもロックリザードの皮には魔力を散らす力があるそうですね。」

具体的には、私がよく使う土魔法なら、魔力で固めた土の槍がただの柔らかい土になってしまうだろう。

「その通りだが、よく知っているな。そこまで有名な魔物ではないだろ?」

「私自身、魔法に関わりがありますし、なにより師匠が良いので。」

「そうか。しかし、魔法使いで討伐に参加する冒険者は珍しいな。」

私自身忘れがちだが、確かにダイさんの言う通り、魔法使いで戦闘に参加するものは稀だ。

「ご安心ください。魔法でも戦えますが、拳闘術の類も嗜んでいますので。」

「ああ、いや。バカにしたわけではないんだ。すまない。」

「いえいえ、大丈夫ですよ。」

事実、ダイさんの口調には驚きはあっても馬鹿にするような感じはなかった。

「そうか。話を戻すが、それに加えてロックリザードの表皮はその名の通り岩のように硬い。だからハンマーなどの鈍器で叩くか、首や関節などの動く場所を狙う必要があるんだ。」

「なるほど。」

「まあ、メンバーを見る限りなんとかなりそうだな。弓使いも2人いるしバランスが良い。」

「そうですね。ただ、ロックリザードの数が心配ですが。」

「そこは運次第だな。とはいえ、ロックリザードはそう数が増える魔物じゃない。目撃情報が増えたのも、同じ個体が繰り返し見つかった、っていうのが大半だと思うぞ。」

私はダイさんの言葉に曖昧に頷く。

やや、楽天的すぎる気もするが、地元で冒険者をしているというダイさんの言葉だ。事実であることを祈ろう。


その後も馬車は進んでいく。途中で芸術都市として有名なファンにも通りかかるが、今回は用がないと脇の迂回路を進んでいく。


2回の野宿を終え、3日目には目的の山に到着した。

さて、面倒な事にならないといいのだが…

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