告白の行方

 普段は僕の机の周りで日光浴をして森の民と化す三人は、顔をほころばせたり驚愕していたり、はたまた納得したように何度も頷いたりと、あることないこと察してしまったように僕を呼び寄せた。

 あの話はまだ確定じゃないから、正直聞いてほしくはないが。


「お前ら付き合ってんのか」


 まあ、こいつらも高校生だし別に恋バナが嫌いというわけじゃないから、特に躊躇もせずに聞いてくるだろう。

 こいつらが知っているということは、昨日の帰りに一緒に帰るところを誰かに見られてしまったということだ。


 この三人は意外にも運動部に所属していて、毎日夜遅くまで練習している。昨日僕たちが帰るときには、校庭の照明をつけてやっていた。

 誰かに見られていたことに僕たちはまったく気づかずに、堂々と二人で帰ってしまったのだ。


 さて、どうしたものか。


「いや、付き合ってない……と思う……」

「思うってなんだ……」


 彼女からハッキリと返事をもらっていない以上、こっちから「付き合っている」と言ってしまえば、それは自惚れでしかない。


「返事もらってないからさ」

「え、お前告ったのか!」

「マジか」


 この際もう誘導尋問にも何でも答えてやろう。


「昨日告白した」

「でも返事がない、と」


 そもそも彼女は普段から無口で無表情で周囲に無関心で、校内のどこかでは三つの無から「3M」なんて二つ名で呼ばれているくらい有名だ。

 若干髪に隠れた素顔も実は整っていて、ときどき露わになるときのギャップが良いという噂も耳にしたことがある。

 だからまったくモテないというわけでもなく、過去二年間で二、三人ほどから告白されているらしい。

 しかしそのどれもが、一向に返事が返って来ずに自然消滅したという。


「ここで消滅を阻止できるかー?」

「結果待ってるぞ」

「あんまり期待するなよ」


 と、なんやかんや弄られ適当に返しつつ、心の中では彼女からの良い返事を期待していた。

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