第4話~夢の中でもいいからいないいないばぁしてくれないかなぁ?④
叶さんは
大人になっても
ますます、お兄ちゃんが自分の人生に
存在していないことの
違和感は膨らむばかりでした。
大人になっているのに
いまだにお兄ちゃんだなんて、、、。
と客観的に感じている自分もいました。
なぜ自分の人生の
隣に兄がいないのが
いまだに理解できなくて
なぜ探しているのかも
どうしていないのかも
わからなくて
こんな気持ち誰もわかるはずはない。
会ったことさえないのに。
だから周りには話せない。
絶対変な目で見られてしまうし。
ただただ自分の中だけに
必死に押し込めていました。
そのうち
こんな風に考える自分が
ダメなのだと責めるように
なりました。
すると
楽しいことがあっても
100%笑えない自分。
美味しいものを食べても
100%美味しいと思えない自分。
行きたい場所に行っても
どこか罪悪感を感じている
叶さんがいました。
そこにお兄ちゃんがいたのなら
私はどんな人生だったのだろう?
今すぐ目の前に
お兄ちゃんが現れたなら
聞きたいことが行きたいとこ
やりたいことが
山ほどあるのです。
ねぇ?
お兄ちゃん
なぜ私だけが生きてるの?
なぜ会ったこともないのに
ずっとこんな事考えてるの?
なぜ私だけ歳をとっているの?
もちろん答えは返って
こなくって
虚しくなるばかり
その後
昔から
お母さんに
聞いてる質問を
気になってふとしてみた。
同じ返事が返ってくると
わかっていても。
もしかしたら
その返事が
変わるかもしれないから。
「お母さん私はどうして
産まれたの?」
するとお母さんは
「何度も言ってるでしょ
お姉ちゃんが
一人っ子だと
可哀想でしょ。」
やっぱりそうか。
叶はお姉ちゃんが
一人っ子じゃ
可哀想だから
お兄ちゃんの代わりに
産まれてきたのか、、、。
お兄ちゃんに逢いたい気持ちと
私が男の子だったらと言う気持ちは
大人になっても、なくならない。
そんな思いに押し潰されることも
あったけど
それでもやっぱり
叶さんは
お母さんが大好きな気持ちは
変わりませんでした。
しかしその後
叶さんのお母さんが
天国に行く何ヵ月か前のこと
お見舞いに行くと
突然
お母さんが
「夢の中でもいいから
いないいないばぁしてくれないかなぁ」
と言いました。
叶さんは、何も聞かなくても
あっ、お兄ちゃんの事だなぁと
わかった。
お母さんは私がお見舞いに来ても
心の中はお兄ちゃんの事をいつでも
考えているんだなと思いました。
例え、私が何かを一生懸命頑張ったとしても
私の力では変えることはできないんだなと
わかりました。
ずっとずっと大好きなお母さん
お母さんの事は自分で選んだんだと
昔から確信があった叶さん
しかし
そこで叶さんはあることを
心の中で決意したのでした。
ある天使きょうだいの話~誕生後編~ 柴田 叶 @tensinokyoudai
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