第3話~なぜお母さんはお父さんのことをパパと呼んでいるの?③~

ある日、小学校できょうだいの話になり

叶ちゃんも自然にお兄ちゃんの話をすると

周りの同級生に変な目で

見られてしまいました。


耳うちしながらコソコソ

こちらを、見てくる人も、


何でだろう?

同じきょうだいの話なのになぁ~


それとも、生きてるきょうだいの話は

していいけど

お空に帰ったきょうだいの話は

してはいけない決まりでもあるのかな?


叶ちゃんには良くわかりませんでした。


家に急いで帰って

お母さんに訊いてみようと

しましたが


結局

いつもニコニコ顔でお兄ちゃんの話をする

お母さんには

聞くことができず


もう他の人の前で、お兄ちゃんの

話をするのは控えるようになりました。


そして

中学生になると

叶ちゃんはあることに気付きます。


お母さんがお父さんの事を

パパと呼んでいるのです。


叶ちゃんも、お姉ちゃんの夢ちゃんも

お父さんと、呼んでいるのに

なぜお母さんだけ

パパと呼ぶんだろう?


お母さんに聞いてみることにしました。


するとお母さんは懐かしそうに

話をしてくれました。


あなたのお兄ちゃんが

年上の幼稚園に行っている

お友達と遊んでいたら


そのお友達がね


パパのことをお父さんと

呼んでいたのを

聞いて


家に帰るとすぐに

あなたのお兄ちゃんは

すごく困った顔して


「ママ?幼稚園に行ったら

みんなパパの事をお父さんと

呼ばなきゃいけないの!?」

って聞くの。


だから

『想くんがパパと呼びたいなら

いつまでだってパパと呼んでいいのよ。』


と伝えたら

すごく安心した顔でこう言ったのよ。


「良かったー!じゃあ僕はずっと

幼稚園に行っても 小学校に行っても

パパと呼んでいいんだね!」



と言ったらすごく安心した顔して

こう言ったの。



でもね。お兄ちゃんは

幼稚園に行く前に

お空に帰ってしまったから


お姉ちゃんも叶ちゃんも

大きくなって

パパと呼ぶ人がいなくなると

パパが可愛いそうでしょ?


だからお母さんは

これからもずっと

パパと呼ぶことに

してるのよ。


その時のお母さんの

優しい笑顔、

優しい気持ちを

叶さんは今でも覚えています。


しかし

その後、学校で自分が産まれてから

今までをまとめる課題があり


お母さんに

叶の小さい頃はどんな

赤ちゃんだったの?


と聞くと


「叶はおとなしくて

全然手が

かからなかったのよ。


でもお兄ちゃんはね

小さい頃から

頭が良くてね,,,。」


(お母さん今は

叶の話をしてるのに、

どうしていつも

いつのまにかお兄ちゃんの

話になっちゃうんだろう?)


下を向きうつむきながら

ただただお母さんの話を

聞く叶。


小学校の頃は、あんなにお兄ちゃんの話を

聞くのが好きだったのに。


今では私の話を聞いても

二言目には

お兄ちゃんの話になってしまう。


もしかして私は大事じゃないのかなぁ?

お母さんは私よりお兄ちゃんの方が

好きなのかなぁ?

大事なのかなぁ?


お兄ちゃんの話を

お父さんの、前でしないのは


もしかしたらお父さんは

女の子の私じゃなくて

お兄ちゃんと同じ

男の子が良かったのかな?


そしたらあまり話さないお父さん

あまり笑わない、お父さん

もしかしたら私の事嫌いなのかな。


そんな事を感じるようになりました。

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