第七小節 みんなのためにできること


「とにかくまずはあの竜頭を叩かないと……エフェス、コレット。ここからは三人で息を合わせて攻撃していくよ! 先生も援護をよろしくお願いします」

「ええ、もちろん。私自身も攻撃には参加するけれど、あなたたちの強化と防御も兼任するわ。だから後ろは気にせずに思う存分、戦って頂戴。それとこの水皇石いしはエセル、あなたに預けておくわね」

「ん……確かに、預かりました。それと先生、ボクがあの頭の近くまで行ったところで、そっちに振り返ってみせたら、皆への援護をお願い出来ますか?」

「分かったわ。その時は全力であなたたちを援護してあげる」

「ありがとうございます。よし……じゃあ二人とも、行こう! くれぐれも油断だけはしないでよ!」

「うん!」

「わ、分かった!」


 実際、今のこのボクの身体からは、周囲の魔素をどんどん吸収しているのか、次から次へと力が湧いてくる。それこそ、自身の持つ魔核ヌクレウスに掛かる負荷に対して、封紋ジベルというかせを用いてまで注意を払う必要がないくらいに。


 事実ここで力を出し惜しみしていては、自分はおろかエフェスやコレットのこれからが失われてしまう事態を招いてしまう恐れさえある。ならばボクは、今の自分に出せる限りの全力を以て、あの百頭竜テュポーンなる獣を退けたい。


「いいかい、二人とも。相手の放つ攻撃は範囲、発生速度、それから威力……どれを取っても非常に驚異的なものだ。防御面に関しては先生の援護もあるけれど、攻撃ばかりに専心して向こうからの直撃を受けないよう、細心の注意を払って!」

「大丈夫。私、さっきのエセルの戦い方をちゃんと見ていたから。相手はさっきより強大になったのかもしれないけど、今度は私たちだって三人一緒だもの!」

「私は、二人に比べたら全然だけれど、やれるだけのことはやってみる! ここで逃げずに封印に成功したなら……きっと家族のみんなだって、私を認めてくれる」

「レティ……うん、そうだね! ここで私たちと一緒に頑張って、前に話してたお姉ちゃんたちのことも思いきり見返してやろうよ!」

「それじゃあエセルはこちらから見て左側を、コレットは右側をお願い。ボクは正面から行くから!」


 現在相手が持つ巨大な竜頭は、全部で三つ。


 正面から見て左側には、火山の噴火口から飛び出したような苛烈な炎弾とうねり狂う火焔を吐く頭、対する右側からは、触れるもの全てを凍てつかせるような氷霧と大小入り乱れた氷柱を吹き付ける頭、そして中央には紫電を帯びた奔雷と耳を劈くような雷響を轟かせる頭があった。


 その中で相手が時折見せる最も危険な攻撃は、それら三つの頭が連動して周囲の魔素を一点に集約し、黒々とした凄まじい魔導流マナフローを放出するもの。先ほどはボクが全力で展開した防御障壁で辛うじて凌げたものの、仮に直撃すればひとたまりもない。


「炎がうねうねしてうっとおしいなぁ! 全部、泡と消えちゃえ! 泡沫の水楼スプーマ・アクアリス!」

「エフェス……ふふ、泡の壁を形成したのか。確かにその広範囲を覆える泡なら、あの炎でさえも上手くいなせるね。して、コレットの方は――」

「何て冷気、まるで全身に鋭い針が刺さったような……でも、私だって……やる時はやってみせるんだから! あか顎門あぎとに立つ者よ、汝、塵なれば塵に、灰なれば灰に返るべきなり! 喰らえ……紅竜の炎嘯インセンディウム・ドラコニス!」

「……あの文句は、さっきエセルもやっていたけど、やはり音素ソヌスに思念を込めた言霊ことだまかな? どうやらコレットも、魔術の知識を十全に活かして戦っているみたいだ。ボクもこうしてはいられないね!」


 ボクの正面に見える巨大な竜頭からは、夥しい数の疾雷が絶えず発せられ、濃紫の閃きと轟音とを響かせながら、こちらの脇を掠めるように降り注いでくる。


「全く、面倒な相手だな。でも目には目を、歯には歯を、雷には雷を……ってね! 出でよ、雷鼓の玉籠トニトルーム・グローブス! 耳障りな蚊雷ぶんらいどもを喰らい尽くせ!」


 この雷球は、対する他の奔雷を誘惑して次々と喰らっては、それに伴ってどんどん成長していき、その導雷範囲も同時に拡大させていく性質がある。あとはボクが任意の時機を見計らって解放させれば、相手の生命力の肥やしにされることもない。


 ボクたちが捌ききれなかった相手の攻撃は、オデット先生が巧みに相殺して処理してくれている様子。それにいつもよりもずっと身体が軽く感じ、こちらの放つ魔現が全体的に極めて安定しているのも、きっとあの先生の援護があってこそのもの。


 自分自身も攻撃に加わり、自らの防御はもちろんのこと、ボクたちの強化と回避の支援をも全て並列して行っているあたりは、さすが先生というだけのことはある。


 しかし相手の放つ攻撃の勢力は、先生の話通りに刻々と増していっているようで、ボクたちがあの巨獣の再封印に着手する時間的な余裕は、それほど長くは残されていないことが実感出来た。


「そろそろ頃合いか……よし、エフェス、コレット! ボクが合図したら足場の空気を強めに固化して、三人同時に一つの頭を集中攻撃する準備に入るよ!」

「ん! いよいよか……任せて、エセル!」

「了解! こっちはいつでも大丈夫だよ!」


 相手の攻撃を何とか凌ぎきれる今のうちに、こちら側から仕掛けてその脅威となる竜頭の一つを確実に叩く。そしてボクたちは、海上という環境的な要因もあってとりわけ厄介な、雷の力を司る中央の頭を真っ先に攻撃することにした。


「次の攻撃が来たら、いよいよ……ん、来た! ふっ……くっ、はあっ! よし……今だ! 先生、援護を!」

「エセルが振り返った……援護の合図ね! 任せなさい!」


 ボクが先にオデット先生にお願いをしていた通り、ボクが一瞬後ろに振り返ったのを確認した先生が、全力での援護を開始してくれた。


 その中で、全面攻撃に移行する時機を見定めたボクは、左右に展開していたエフェスとコレットに両腕を使って合図をして見せた。唯一懸念があるとすれば、過去の経験から集束には不安があるコレットの精神状態がどうかということ。

 兎にも角にも、ここまで来たらもう、三人の息が合うことを祈るほかにはない。


「さぁ、力を集めるよ!」

「うん!」

「……ええ!」


 ボクの合図に呼応した二人と共に、それぞれが自らの生体魔素と周囲に満ちた魔素、さらにはボクが力を蓄えさせていた雷球を解放させたことで生じた余剰魔素を加え、それらを各々の手元で一気に集約してゆく。


「はぁぁあぁぁ……!」

「ぐっ、ぬぬぬぬ……!」

「……お、お願い……上手く集まって!」


 やはりボクの懸念通り、コレットはかつての自分が引き起こした事故の記憶が足枷となって、心の何処かで自身の能力に制限をかけてしまっている様子。このままでは複合魔素を生じさせるために必要な力の均衡が、上手く取れない可能性がある。


「大丈夫だよ、コレット。今の君には自分が思っている以上の力がある。もう、あの時とは違うんだ。上手く集中出来なくっても焦らずに落ち着いて、どうか強くなった今の自分を信じてあげて。そうすればきっと、心の翼はもう一度、風を掴める」

「エセル……今の自分を、信じる……か。あの時とは、違う、今の私を」

「そうだよ、レティ! 今は私たちだって側に居るんだから、レティはもう、独りじゃないんだよ! だからここはどぉんと一発決めちゃおうよ、どぉんとね!」

「エフェス……ふふ、ありがとう。何だか、上手く出来そうな気が、してきたよ……そうだ、今の私は一人じゃないんだ。出来る……出来る、きっと出来るんだ!」


 ――コレットの顔に自信が満ちていく。そうだよ、コレット。君は出来るんだ。人は己自身を信じ、また誰かと信じ合うことで本当の力を引き出せる。それはかつてあのメルたちがこのボクに見せてくれた、本物の……魔法マギアってものなんだ。


「……だからボクも二人を、そして自分自身の力を、信じる!」


 そしてボクは意を決し、次の一歩を踏み出すことにした。今のところほぼ全てがこちらの描いた通りに上手く運び、後顧の憂いはもう何もない。あとはボクたち三人が成すべきことをしっかりと成すだけだ。


「いくよ、二人とも!」

「いつでも!」

「いけるよ!」

「せぇ……のっ! 夢幻三重奏ハルモニア・トリプレックス!」


 ボクたち三人が息と力と心とを重ね合わせて放った集束流は、複数の相が綯い混じった複合魔素の濁流となり、狙っていた中央の竜頭を跡形も無く吹き飛ばした。


「や、やった……! やったよ、エセル!」

「すごい! 今の一撃で雷撃を放っていたあの竜頭が……!」

「これがボクたち三人の力さ。さぁ、今と同じ要領で他の頭も一気に叩いて、魔核の正確な位置を――」


 次の瞬間、中央の竜頭を失った百頭竜が突如として激しく暴れ出し、海面から急に現れた長大な尾がボクたちの居た宙空を容赦なく薙ぎ払うと、それに対して僅かに反応が遅れたエフェスが、眼下に広がる浅瀬へと強く叩き付けられた。


「うあああっ!」

「エ、エフェス!」

「う、嘘……そんな!」


 エフェスが落ちた場所は水深が極めて浅い場所。あの速度で落下したとなれば、その衝突時にかなりの損害を受けていても何ら不思議ではなく、最悪の現実が頭を過ぎったボクは、即座に彼女が落ちた地点へと急行した。


 百頭竜は中央の竜頭を失ったことで未だ強い混乱状態にあるらしく、追撃も今すぐには飛んで来ないものと見た。とにかく今は何よりも、敵の攻撃を受けたエフェスの容態を確かめることが先決。


「エフェス! しっかり、しっかりするんだ!」

「う……エ、セル。はは、ちょっぴりしくじっちゃった、みたい」

「馬鹿……油断はするなってあれだけ言ったのに……立てる?」

「う、うん。咄嗟とっさに最低限の防御だけはしたから、何とか……い、たた」


 エフェスが受けた損害は致命的ではなかったものの、物理的な衝撃はかなりのものだったらしく、魔導による身体強化や、先生が付加した防御を加えても完全にはそれを減じきれず、彼女の様子から、どうも右脇腹の辺りを損傷したようだった。


「とにかくこの距離は危険だから、一旦離れよう。コレットも、いいね!」

「わ、分かった!」


 それから間もなく砂浜の方まで退避したボクたちは、オデット先生が展開した巨大な魔導障壁の中で、再度エフェスが受けた怪我の具合を確認した。


「けど今度は水着、取れなかったでしょ? 前回の失敗から学んで、紐の部分を魔導で強固に結んでおいたんだ。だから……いっ! あい、たたた」

「何を馬鹿なことを言って……ここ、やっぱり痛むんだね?」

「うん、ちょっとね……でも、私なら全然大丈夫。まだまだやれるよ!」

「無理しないで、エフェス。すごく痛そうだよ」

「ありがと、レティ。でも、本当に大丈夫だから。こう見えて私、かなり頑丈だし、自然治癒力だって結構半端ないんだから」

「……とにかく、頭の一つは破壊出来たから、他の頭を無視しても懐に入り込めるようにはなったはずさ。でも、相手の魔核の位置があの距離からでも正確には掴めなかった。おそらくはあの胴体と思しきところに――」

「私もずっとそう考えていたのだけれど、どうやら現実は違うようだわ、エセル」

「えっ、先生?」


 ボクの話を聞いていたオデット先生が、すぐさまその推察を否定した。話によると、ボクたちが戦っている最中に、先生は百頭竜に対して分析術アナライシスを展開していた様子で、その結果が示していた魔核の在り処は、どうやら複数ある長い尾によって守られた背面の中央付近にあるらしかった。


 さらにその複数存在する長い尾というのも、どうやらボクたちが戦っている間にも進化して、新たに獲得していたものであるらしかった。


「よりによってそんな厄介なところに……でもその魔核に早く水皇石を打ち込まない限り、相手はさらなる進化を繰り返してどんどん強大になって、きっとあの真ん中の頭でさえも、いずれは再生してしまうはず……」

「……止めなくちゃ」

「エフェス。けど、そんな身体じゃ……」

「そうだよ、エフェス。ここはオデット先生と交代してもらって――」

「ううん、私にもやらせて、エセル。レティも。せっかく楽しい合宿が始まったのに、そこに急に出てきてこんな滅茶苦茶にしたあいつを、何とかしてやっつけたいの。それに私たち三人の方がきっと、息をぴったりと合わせられるから……」


 エフェスの瞳に満ちている意思は極めて固い。金剛石なんかよりも、ずっと。一度こうなった彼女の考えは、ボクでさえ曲げることは叶わないだろう。だったらもう、次に執るべき行動はただの一つしかない。


「……分かった。ボクが必ず相手の魔核を見い出して、封印を成功に導いてみせる。だから二人とも、もう一度だけその力を貸して、くれるかな」

「ふふ、当たり前だよ。ね、レティ?」

「もちろん。ここまで来たら絶対にやり遂げてみせるよ、みんなでね!」

「……良いのね、エフェス?」

「うん、先生。こんな私やエセルを温かく受け容れてくれたみんなのためにも、今の私たちが出来ることをしたいから。あともうちょっとだけ、頑張るよ!」

「ん……ならもう、引き留めはしないわ。でもせめて、私が分析術で捉えた相手の全貌を、あなたたちの中に心象風景として伝えてみせるから、どうかそれだけは受け取って頂戴。さ、皆で一緒に手を取り合って、目を閉じてみて」

「分かりました……さ、エフェス、コレットも。とにかくやってみよう」


 そうして先生の言った通りに目を瞑ると、あの百頭竜の姿がおぼろげながらも眼裏に描き出され、間もなくその中で一際強く輝いて見える箇所が浮き彫りにされた。


「なるほど、本当に背中側に魔核らしき大きな反応がある……」

「てかこの感じ、あいつの尾っぽ、合体する前の頭みたいにどんどん数が増えていっているような気がしない? しかも、その先っぽに目のようなものが……」

「きっとこの瞬間もどんどん強くなっていってるんだ……早く、何とかしないと。魔核の位置は掴んだから、あとはボクが何とかそこまで到達して見せる。二人には悪いけれど、途中から正面の頭の注意をもう一度引き付けて欲しい。いいかな?」

「大丈夫、出来るよ!」

「私も。今度は絶対成功させてみせよう!」

「ん……それじゃあもう一度、いくよ!」


 相手は中央の竜頭を失い、正面への全体攻撃力は減少したものの、それを補おうといわんばかりに左右の頭から発せられる攻撃は熾烈を極め、さらにその背後に蠢く長大な尾の群れ、その一つ一つにこちらへ睨みつけるような視線を浴びせかけてくる数多くの瞳があった。


 どうやらそれらの瞳は、中央の頭が持っていた雷を司る力を受け継いでいるらしく、その一つ一つから次々と苛烈な紫閃が放たれ、暗雲の影に落ちていた周囲を幕電で妖しく照らしながら、轟音と共に空を裂いていた。


「ねぇ、何だか前よりも攻撃が激しくなってるような……?」

「きっと、失われた頭の能力を後ろにある尾が担っているんだ。ここでもし頭が再生しようものなら、もうボクたちだけでは捌ききれなくなる……急がないと!」


 相手が繰り出す猛攻を掻い潜りながら、空を蹴る力を高めてその距離を一気に詰めていった。ここから左右の竜頭をエフェスとコレットの二人に任せて、ボクは素早く背後へと回り、辺りに犇めいている尾っぽの妨害を処理しつつ、何とかして魔核に達しなくてはならない。


「……それじゃ二人とも、頼んだよ!」

「こっちは任せて。レティと二人で上手く時間を稼いでみせるから!」

「私も心配は要らないよ! でもエセル、あの尻尾の動きは本当に厄介そうだから、くれぐれも気を付けてね!」


 尾はただの一本でも十分な脅威であるものの、それが至る方向に幾つも展開しているこの状況はコレットの言う通り極めて厄介だった。故にボクが今居るこの位置から魔核があると思われる位置は、近くて遠い場所であるといえる。


「この不規則な動き、またあれを使って封じられるか……? 纏繞の糸絡フィーラ・ノードルム!」


 ボクは合体する前の頭にも使った魔素の糸を展開し、それを複雑に絡ませることで一時的にでも尾の動きを封じようと考えたものの、並外れて強靭であるはずの糸が尾に触れたそばから、どういうわけか悉く溶け落ちてしまった。


「くっ、目から出している雷波の作用か……? ならここは、別の手で!」


 こちらが少しでも動きを止めた途端、瞳を持つ尾の群れはそれを決して見逃さず、すぐさま不規則な軌道を描きながらその尾を鞭のように打ち付け、あるいはその目の数に物を言わせて瞳から雷撃を射出し、多角的な攻撃を展開してくる。


 現状、エフェスとコレットの二人が竜頭の注意を引き付けているために、尾からの攻撃はどうしてもボクに集中してしまう。しかしその標的を分散させることが出来れば、こちらが魔核へと一気に近づく機会を掴み取れるかもしれない。


「影よ躍れ……幻躯の舞踏ウンブラ・トリプディウム!」


 自らの魔素で創り出した幻影に仮初かりそめの炎を灯し、また影から影が生まれることで、ボクに集中していた攻撃はさらに分散する。一方でそれら複数の幻影を同時に制御することは至難であるものの、シャル姉さまから学んだ技術を活かすことで、何とかボクの手が魔核に届くまでの時間稼ぎくらいは出来るはずだった。


 そしてボクは相手の攻撃密度が薄くなった一瞬の隙を突いて一気に宙を下り、自分の両目で相手の魔核をしっかりと捉え、この手を以て封印の要となる水皇石を強く打ち込んだその時、ボクの身体は極めて強い抵抗を受けて体勢を崩して大きく上方へと跳ね飛ばされ、さらに尾による追撃によって激しく打ち上げられた。


「うわぁああぁっ!」


 定まらない視界の中で更なる追撃の訪れを感じたボクは、被弾は避けられないものとしてただひたすら身体の防御に全力を割いた。それから間もなくボクが自身に押し寄せてくる紫電の大波に身構えようとしたその時、宙を旋転していたボクの身体を誰かが受け留め、寸でのところで殺到する雷波の直撃をかわしてくれた。


「ふぅ、危ないところだったね、エセル!」

「エフェス? コレットと二人であの竜頭と戦ってたんじゃ……」

「それはね……ほら、砂浜の方を見てみて!」

「コ、コレットまで? 砂浜って――」


 いつの間にか隣に居たコレットの声を受けて砂浜の方へ視線を向けると、そこから様々な色の光が夜空を照らす星々のように煌き、彼女たち二人が相手をしていた竜頭に向けて複数の魔素が入り交じった混合弾や集束流を次々と撃ち放っていた。


「あれはもしかして……学級のみんな?」

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