第八小節 白百合が咲う、その頃に


「さて……与えられたお役目はしっかりと果たさないとね。これも誉れ高きものが率先して成すべき務めの一つだわ」


 ステラとこれまでになく深い絆で繋がることが叶った私は、その心構えを新たにすると共に、日々の務めをしっかりと果たすべく、より一層自身の気を引き締めながら、この私にしか出来ないことを成そうと様々な考えを巡らせていた。


 そして今は、視察先へと向かう馬車の中で、目的地である村に関する種々の報告書に再度目を通していた。そしてその村というのは奇しくも、かつてステラが生まれ、私に出会うまでの時間を過ごしたというあの村だった。


「それにしてもまさか私が……この村とその一帯の発展を任される立場になるとは。運命というのは本当、蓋を開けてみるまでその中身が判らない奇妙なものよね。でもステラ、あなた今回の視察に同行して、その……大丈夫だったの?」

「ええ。シャルが言われていることはもうずっと昔の話ですから、ご心配には及びませんよ。シャルが私を拾ってくれたあの後、幼い私を身売り同然で奉公に出していた父がどうなったのか、今となっては知る由もありませんが……もしお墓があるとしたら、そこにお花ぐらいはお供えしようと思っています」

「そう……やはり強いのね、あなたは」

「いえ、そんなことは。ですが過去にいくら思いを馳せたところで、この今は何も変わってはくれませんから。それなら、今の私に出来ることに力を注いだ方が、ずっと今とこれからのためになると、私はそう思うのです」

「そうね。きっとあなたの言う通りだわ。実際はそれが中々出来なくて、二の足を踏むことの方が多いけれど……私は他でもないあなたを信じているから。この私が力になれることがあったら、気兼ねなくいつでも言って頂戴ね、ステラ」

「ふふ……私ならもう十二分に助けていただきました。これからはこの頂いた幸せを、幼い頃の私のような子たちにも与えられるように、励みたいと思います。あ、そういえばシャル、ちょうど馬車に乗る直前のことで渡しそびれていましたが、シャル宛てに三通のお手紙が届いていましたよ」

「ん、これは伝書鳩が届けてくれたの? 一体誰からの手紙かしら……」


 その差出人を確認すると、それぞれがメルとエフェス、そしてレイラからの手紙であることが判った。そこで私はまずメルからの便りに目を通すことにした。


「えっとメルからは、なになに……あ、ステラも一緒に見ましょうよ」

「私がご一緒させていただいてもよろしいのですか? では、お言葉に甘えて……」


『親愛なる友、シャルレーヌへ。向暑のみぎりには少し早い新緑のこう、そちらは如何お過ごしかしら? なんて堅苦しい挨拶はこれくらいにして、ステラとはどう? 上手くやっているかしら? でもきっとあなたのことだから私たちが余計なお節介を焼くまでも無く、その実は上々といったところかしらね』


「ふ……メルったら、相変わらずの調子だわ」

「上々だなんて……うふふっ」


『――さて、今私たちの居るレーゼ海は、日中でも長い袖が手放せない気候で、変温器テルモスなんて高級品もないから、こちらは毎晩リゼと一緒の布団に包まりながら、お互いに暖を取り合っているわ』


『それで、お目当ての希少素材についてだけれど、私たちはつい先日、龍涎香アンブルグリと思しきものをようやく見つけることが出来たの。現地の方々にもお話を聞いて、その独特の香りが何よりの証明だとお墨付きをくれたわ』


『実際、彼らに言われた通り現物をほんの少しだけ火で炙って、私自身もその匂いを確かめてみたけれど、何とも形容し難い、とてもかぐわしい香気を放っていたわよ』


「まぁ、龍涎香を発見できたのね……!」

「これって山荘でもお話していた例の素材、ですよね? すごい……」


『他にも二三、変若水アムリタの原料候補となり得るものがこの近くにあるようだから、フィルモワールへの帰還はもう少し先のことになりそうだわ。お店を空けることになって申し訳ないけれど、本格的な夏が来るまでには必ず戻ってくるつもりよ』


『だからそれまでエフェスやエセル、そしてレイラのこと、どうかよろしくお願いするわ。けれどもし何か大事が起こった際には、すぐに報せて頂戴ね。何処に居てもすぐにあなたたちのところへ駆けつけていくから』


『それでは少し短いけれど、今回はこの辺りで。季節の変わり目、くれぐれも身体にだけは気を付けて。あなたは私と同じで少し無茶をしてしまうきらいがあるから、隣に居るステラの言葉にもしっかりとその耳を傾けてあげてね。かしこ』


「ふふ、いつかの時と違って随分とくだけた手紙だこと。ひょっとしたらリゼが書いているんじゃないかってくらい。でも、それだけメルとの距離が以前よりずっと近くなったということよね」

「きっとそうですよ。ふふ、前にメルが遠出した時に送られてきた手紙を拝見した時には、これよりずっと硬い文体でしたし。何だかもう旧知の間柄といった感じさえしますね」

「本当、あの子たちと出会ってまだそんなに長く経っていないことが信じられないくらいよ。さて、次は……エフェスからの手紙を見てみようかしら」


『シャル姉さま、元気? 私、こういうの苦手だから本当はエセルに書いてもらおうと思ったんだけど、ボク、そんなのは帰ってから直接話せばいいと思うな、だなんて言って話を聞いてくれなくって。それで、私たちは遠征先のエリュ・メヌエ島に着いてからずっと色々な修練をしてるよ』


『ここは本土に比べるとずっと不便だけど、海は本当に綺麗だし、美味しい果物とか珍しい生き物がたくさんいてすっごく楽しいの。私はここでコレットっていう子と新たに仲良くなったんだけど、その他にも結構色々あって……まぁここには書ききれないから、帰ったらまたお話を聞かせてあげるね!』


『ちなみにエセルは……あんなだからよく一人で本なんか読んでて、何か悟ったような顔してるから、私がみんなのところに無理やり引っ張っていったりしてるかな。けど、前に比べたらずっと笑うようになったけどね!』


「あっははは、何よそれは。けどエセルが見せるその悟ったような顔っていうのは、この目にもありありと浮かんでくるようだわ」

「ふふふ。さしものエセルも、エフェスのあの強引さには敵わなかったといったところでしょうね。でも私はあの二人の対照的なところが、かえって噛み合っているような気がします」

「それは確かにあるわよね。続きを読んでみましょう」


『ただね、前から時々エセルが、何も言わずにただずうっと遠くの方を見つめてることがあって、何だか私でも声をかけづらい時があるんだ。それでね、エセルは口には出さないけど、きっと何か悩んでいることがあるんじゃないかって思ってて。シャル姉さまやステラは何か知らない?』


『もし思い当たることがあったら、屋敷に戻った時にでも教えて欲しいな。それと、来週末には二人に何かお土産を買って帰るつもりだから楽しみにしててね! 中身は渡す時までのお楽しみだから秘密ってことで。それじゃあ手紙の終わらせ方とかよく分かんないけど、とりあえずはこんな感じ! またね!』


「ちゃんと書けているじゃないの、エフェス。あの子、こうやって手紙を書くのは初めてだったのではないかしら? きっと慣れないことだらけの毎日でしょうに、一生懸命頑張って自分の居場所を見つけて、学院では他の子たちとも一緒になって、その輪の中に溶け込もうとしている。実に健気で、いい子よね……けど、エセルの方はやはり……ずっと悩んでいるようだわ」

「……そうですね。エセルがシャルの義妹としてお屋敷に住み始めてからも時折、そんな風にしている彼女の姿を見かけたことがありますが、声をかけようかどうか迷っている内に、いつの間にかふっと姿を消していて……」


 エセルは、身も蓋も無い言い方をすれば、例の御落胤に代わっていずれ世界を支配しようとしていたクリストハルトたちにとって大変都合の良い、いわば使い捨ての道具として創られた存在だった。


 しかし彼らにとって計算外だったのは、何らかの手段を以て感情を削除したはずのエセルが、あのメルたちと関わりを持つ中で大きく変化し、最終的にはその欠片を取り戻したこと。


 そして結局はそのことが原因となって、彼らの目論みは音を立てて崩れ去り、その後はさらなる紆余曲折を経て、エセルは私たちと同じ道を歩むことになった。


 彼女の中に起きている変化は今もなお続いていて、今のエセルは誰かに創られた道具ものなどではなく、ちゃんと自分の考えを持って毎日を生きている、一個の人間として存在しているように、私には感じられていた。


 しかし、エセルが本当の人間としての生活を始めたことで、彼女がそれまで気にも留めていなかったであろう一つ一つの要素が彼女を悩ませているようだった。中でも今の彼女にとって最大の懸念は、間違いなく自身の命があとどれほど持つか、ということに他ならないはずだった。


 彼女を創り出したクリストハルトたちは、生まれながらにして規格外の力を持ったエセルを制御すべく、自分たちの言うことを聞く代わりに報酬として得られる霊薬がなければ、そう長く生きられないという制約を、彼女が持つという特別な心臓――魔核ヌクレウスに予め仕込んでいた。


 そして今、エセルはきっと、いつやも知れない自分自身のこれからについて様々な想いを巡らせては、それまで抱くことがなかった感情という心の動きに、どうしていいものか分からないまま、ずっと自分自身に何かを問いかけているのだろうと私は思った。


「今、メルたちは懸命にエセルの命を延ばすために必要な素材を集め回っている。本当なら家族となった私も一緒になって全力で探したいところだけれど……必要な調合素材というのは特徴だけを聞いておいそれと見つけられるものではないらしくって。それ相応の目を持っていないと駄目だそうだわ」

「かといって変若水アムリタはその性質上、存在を知らされている人間は数えるほどしかいないそうですし、メル以外には任せられないというのが現状なんですよね……」

「とにかく、エセルが合宿から戻ってきたら一度、私たち三人でお話をしましょう。それで彼女の心の中にある靄が少しでも晴れてくれるとしたら、何よりだもの。では……最後にレイラからの手紙を見てみましょうか」


『こんにちは、シャル。そちらは変わらず、エステールさんたちと共に穏やかな時を過ごされていますか。私は今、お暇を頂戴した上で兼ねてよりお話していたディートリンデが居るロイゲンベルクに滞在しています』


『こちらに来てからは彼女のお屋敷でお世話になっているのですが、彼女の妖魔たちに対する捉え方というものは非常に考えさせられるもので、半妖セーミスである私以上に人間と妖魔の関わり方と、その未来について真剣に考え、真正面から向き合っているようでした。そして私はそんな彼女の深い想いに直に触れて、自分にも妖魔の血が流れていることを改めて意識しました』


「ディートリンデって、確かメルが学生時代に知り合いだったっていう……?」

「そうよ。メルが通っていた魔術学院の……学長のお孫さんね。彼女は昔からいわゆる妖魔擁護派の子らしくって、以前レイラがロイゲンベルクを訪れた際にその彼女と知り合ったそうでね、それから頻繁に文通を続けていたんですって。それでほら、メルたちが一旦店を休業させて例の素材探しに出た折に、レイラにも長めの休暇を取ってはどうかとこの私が勧めて。それで彼女はその休みを利用してディートリンデに会いに行くことになったのよ」

「なるほど。お二人は長く文通を交わしていた間柄だったのですね。それで、お手紙の続きには何と?」


『――リンデはこれから、ロイゲンベルク北西に位置するグリュンエルデという場所に移動し、其処に在る自然保護区の学術調査に向かうことになっているのですが、色々あってこの私が調査に同行することになりました。現地ではこちらから刺激しない限り襲って来る動物などは棲息しておらず、危険はほぼ無いということです』


『ここで私が役に立てることはあまり無いとは思いますが、貴重な機会ですので普段の生活では出来ない体験を得て、それを今後の自分に何らかの形で活かせればと思います。それから、お休みを頂いている身とはいえ、お店を長く空けてしまっていてごめんなさい』


『今週末にはそちらに戻る予定ですので、その際にはシャルたちにもこちらでしか手に入られない何か素敵なものと、この私が見聞きしたものたちをお土産として持ち帰ります。どうか、楽しみに待っていてくださいね。そして末筆ながら、軽暑の折、どうぞご自愛ください』


「へぇ……レイラが学術調査に同行を。それにしてもこのイングリートって、メルが学生時代に激しくぶつかった過去がある子だわ。メル自身はすっかり和解出来たと言っていたはずだけれど、本当に不思議な巡り合わせね」

「ロイゲンベルクが先の混乱に見舞われた際に、避難所となっていた学院を護っていた一人が彼女だったと、確かエセルが言っていたような気がします。それにあのメルとも衝突するくらいなのですから、きっと相当腕が立つ方なのでしょう」

「まぁさしたる危険はないようだし……あの子だって、いざという時には戦えるからね。もとより高い技量があった弓術もそうだし、私たちが地下修練場で色々な稽古もつけていたのだから、狼や猪ごときでは相手にならないはずよ」

「それはそうですが……でもその稽古というのは、シャルに半ば巻き込まれる形で仕方なく、と言った方が正しいのでは……?」

「こほん。……さて、そろそろ私たちも目的地に着く頃だわ。物見遊山ものみゆさんではないのだから、しっかりと気を引き締めておかなくてはね」

「……今、絶対に誤魔化しましたよね……シャル」


 少し耳が痛かったステラの言葉を素早く右から左へと受け流し、私は今回の視察のうちで訪問地となる村、モニスドゥールへと降り立った。


「ここが、ステラの生まれ育った村……か。随分と寂れているようだわ」

「ふふ……この乾いた風に、あの薄汚れた酒屋の看板。私が居た頃と何も変わっていませんね。ここはまるで、ずっと前から時が止まったままのようです」

「あなた、自分のお家があった場所はまだ覚えているの……?」

「はい。この村に来るまではおぼろげでしたが、今ここに立ってみるとはっきり思い出せたような気がします。その……行って、みますか?」

「そうね……もしあなたが構わないのなら、案内を頼めるかしら」

「承知しました。それでは、私の後に続いてください」


 それからしばらく彼女の後ろについて、人通りの疎らな町なかを二人して歩いた。かつてこの近くには鉱山もあり、一時期はかなり栄えていた様子らしかった。


 しかし何らかの影響で付近一帯の山林が急速に失われると共にその土壌が酷く枯れ果て、さらにある年にはその辺りが未曾有の大洪水に見舞われたことで、多くの田畑に鉱毒が流れ込み、それが原因と思われる奇病の被害も拡大して、廃村となった場所も数知れないという。


 そしてこの村はそんな中にあっても今に至るまで細々と灯りを燈し続けて来た、当時の生き残りとも言える存在だった。


「ここが、私の家……があったところ、です」

「廃屋の残骸のようなものが微かに見えるだけで、他には何も……無いようね」

「まぁ、大体想像がついてはいましたけれど……こうして実際にその姿を目の当たりにすると、何とも言えない気分になってしまうものですね」


 寂れた村の、さらにその外れ。其処に彼女が住んでいた家が、確かにあったという。そしてかつて自分の家だったもの――朽ち果てた木片を眺めているステラの瞳は、心なしか何処か遠い彼方を見つめているように思えた。


「ん……あんたは……? あんたまさか、エステールかい?」

「えっ?」


 しわがれ声のした方に視線を移すと、其処には杖をついた一人の老婆が佇んでいて、大きく曲がった腰を引きずりながらステラに歩み寄るや否や、彼女の顔をめつすがめつ眺めながら、彼女の名前を何度も口にした。


「お婆さん、ひょっとして私のことを知っているのですか……?」

「あぁ、やっぱりそうかぇ……すっかり大人びた上に、綺麗な身なりで見違えるようじゃが、小さい頃の面影が今でも確かに残っとるでな」

「その……失礼ですが、どうして私のことをご存知で?」

「あんた、小さい頃は儂の店に何度も煙草をお遣いで買いにきとったから、よぉ覚えとるでな。ある時から姿が見えんくなったけど、確かどっかの良いお家にもらわれたか何かで、親元を離れたんじゃったかいの」

「あの……お婆さん、つかぬことをお訊きしますが、この家に住んでいた人……私の父がその後どうなったかについて、何かご存知ではありませんか?」

「そうさなぁ……娘のあんたに言うのも酷だけんど、ここの親父、嫁さんが亡くなってからずっと飲んだくれじゃったろ。それであんたを引き取るて言うてたお人から、何や、手切れ金てゆうたらええんかいの。それをがっぽりもろうたみたいでな」

「ええ……」

「そんで羽振りがようなってますます飲んだくれるんかと思うたら、急にえらい真面目になって働きだしたみたいでなぁ。何でも酒までやめて、新たな商売を始めたいとか言い出して」

「えっ……父が、あれほど飲んでいたお酒をやめて、働き出した……?」

「皆は娘がいつか帰ってくるようなことがあった時に、己のみすぼらしい姿を見せとうなかったんじゃないかと言うとったよ。もうここにはおらんから、本当のところは分からんままじゃが」

「ここには居ないって……父は、今どちらに?」

「……土の、中じゃよ」


 私たちは老婆に、ステラの父親が眠っているという場所を教えてもらい、しばらくしてその名前が刻まれたお墓を見つけることが出来た。


 その死因は何らかの大病を患ったことにあるらしく、お酒に入り浸っていた頃にはもう既に多くの内蔵を回復不能なほどに傷めてしまっていたのでは、との見立てだった。


「来たよ、父さん。最後は、必死になって生まれ変わろうとしていたんだね。直接会うことは叶わなかった、けれど……私、今日は父さんがあの後どう生きたを知れただけでも本当に良かったよ……私は、運が良かったみたいでね、今はとても素敵な人たちに囲まれていて、毎日がきらきらしているの。だからもう何も心配は要らないよ。どうか、あっちで母さんといつまでも幸せに過ごしていてね……」


 ステラはそう言って祈りを捧げた後、ずっと物質変化の能力で隠していたのか、その懐中から白百合しらゆりの花束を取り出し、それをそっと墓前に供えた。


「白百合の花……フィルモワールの国花でもあるけれど、本当に美しいお花ね」

「はっきりとはしていませんが、母がこの花を一番好きだったような記憶があるんです……ですから、父にはこれを母にも届けてもらおうと思って」

「二人とも、自分の娘がこんな立派になってその姿を見せに来てくれて、きっと大変お喜びになるわ……そしてこのお花がきっと、あなたの想いを届けてくれる」

「はい……シャル」

「……私、頑張るからね、ステラ。ここを良い場所に、必ず変えてみせる。白百合と人々の笑顔とが町中の何処にでも咲き誇る、そんな素敵な場所に、ね。時間は掛かるかも知れないけれど、あなたが支えてくれるのならきっと出来るわ」

「シャ、ル……う……ううっ……! 何処までも、お供、いたします……!」

「ええ、ステラ。そしてここからまた始めましょう。私たちの、全てを」


 今はまだ、数えるほどしかないけれど、いつかこの白い輝きが辺り一面を煌かせる、そんな季節がやってくる。


 そしてその時を信じ続けながら、私はまたこの道の先へと歩いて行く。

 いつも私の隣でわらいかけてくれる、私だけの白百合と共に。

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