第362話
結局その日は不貞腐れ気味のハーシュに背後から歩いてる最中の足の裏を蹴り上げるという地味な嫌がらせをされながら宿に到着。
今の状況で戦いなどできようはずもないのでしばらくはこれで時間が稼げる。
「明日からハーシュは野戦病棟とか回って色んな人を励ましてやってくれや」
「もとからそのつもりだし」
ハーシュさんは今回の件は確実に俺の仕業だとわかってるのだろう。
そのせいでいつものツンツン度合いが10割増だった。
「ローズはハーシュについててあげて。あとできれば爺さんたちにこれ渡して」
ローズに渡したのは俺からの指示書である。
大まかにこれから何が起こるのか、その際にどう動いてほしいのかなどなど色々とかいておいた。
「あなたはどうされますの?」
「俺は色々かな〜お前の母ちゃんにも話を通さないといけないし」
「そうですわね。かなり心配しておりましたわよ」
なるほどね。
「あぁ、それと、報告するのが遅くなってしまったのですが、だいぶ前にキャメロン・ブリッジ様に会いましたわよ」
「マジ!? それいつ頃!?」
「えっと、確かミルズ様の一件の最中だったはずですわ」
ミルズの……だとすると考えられるのは俺が一人で出ていった隙に接触してたのか。
「何か言われたり渡されたりしたか?」
「特にはないですわね……」
「だとすると……アイツらその時点で全部わかってやがったのかよ……ふざけんなよ連絡取ってこいよアイツら! 俺が余計に面倒に巻き込まれたじゃねえか!!!!!」
アイツら確実に“今回のこと”について知ってやがるじゃねえかふざけんじゃねえよマジで!
そのせいで俺がどんだけ無駄に動き回ったと思うんだ畜生!!!
あぁそうかよ一番ネックになってた部分を先回りで対処してくれてるってんならもう良いよありがとう!!!! だけど口では絶対に言わねえぞクソが!!!
イライラしながらもローズとの話を終え、若干疲れたメンタルに喝を入れて出かけることにした。
さてさて、アイツらが俺に何も連絡しなかったことは非常に疲れるし面倒だけど、それでも最も面倒でネックになってた部分にすでに手を打ってくれているようなので今回の件は水に流してやろうかと思うわけですよ。
ということで俺はさっさと次のステップに移行する。
一般人同士の戦いを止めることに成功はしたが、あくまで一般の連中だ。
如何に俺の弾丸を使ったと言っても複数の英雄の行動を長時間拘束することは難しい。
なので更に先手を打たなくてはならない。
今回一番ヤバそうな勇者君のところは矛をおろしてくれたが、それでも散らばってる英雄クラスは結構な数存在してる。
というわけでその日の夜まで準備を進め、真夜中になった時に王城を爆破した。
この方法はあまり使いたくなかったけど仕方がない。
俺達とミハイルの野郎がふざけまくった王城だ。それに関する思い出が当然ある。
それを自分の手で壊すのはなかなか心に来る物があるが、でも必要なら仕方が無いと感傷は心の中に封じ込めた。
次に俺は新王派の連中の拠点も爆破し、どちらの上層部も英雄クラスを外から内の守りに移動させ始めた。
英雄クラスの抜けた戦場は更に俺の弾丸で混乱してくれるだろう。
これで1週間は時間ができるはずだ。
かなり早めに対策されてもまだ全ての爆弾を起爆したわけじゃない。
随時爆破し警戒を怠らせないようにすれば問題ない。
それでも英雄連中が対処してきたら、もうしょうがないので上層部の何人かに死んでもらおうかなぁとか思います。
流石に実際に死人が出れば戦況なんかよりも先に保身だろ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます