第11話 自然体と言うのは、何よりも能力が高い印
その後は会長の見せた戦いに感化されたのか、罪悪感も消え去えり、生徒たちは必死に戦い始めた。
それを冷めた目で見る俺に、試合を終え、疲れの欠片も見せない会長が話しかけてきた。
「今戦っているのは…………坂下さんみたいだな、まあそれなりに才能があるみたいだけど、まだまだこれからに期待ってところか」
「ナチュラルに話しかけてくるよなアンタ」
俺にはそんなコミュ力無いんだよバーカ。
「ふふ、そうだろうか?本当は緊張して必死にそれを隠しながら話しかけたのかもしれないぞ?」
「本当にそうならびっくりだよ、なんで俺みたいな奴に“あの”会長さんが緊張するのかってところにだけどな」
精一杯のジト目を会長に向けるが、当の本人は全く気にした様子を見せることなく俺の隣に腰かけ、再び話を始めた。
「ところでなんだが」
「俺の話は無しか、そうかそうか、もういい、俺は酸素になる」
「そう不貞腐れないで欲しいのだけれど…………まあいい、それよりも私の戦いどうだったかね」
「どうも何も、恐ろしいとしか思わねえよ。そんな人が俺の隣に座って、それをクラスメイトが睨みつけてる現実が」
もうね、本当に怖い。
何あいつら、目からビーム出るんじゃね?というかそう言う能力あるやつとかだったら出せるよね?
「相変わらず面白いな君は」
「会長は相変わらず俺の話は聞かないよな」
「イイじゃないかそんな些細なこと、それよりも私は君が“あれ”を見えたことの方が驚きだよ」
やっぱこの女自分の力を理解してやがるわ。
ってことはあれか、元の世界で言うところの天才、その中でも異常の烙印を押されちまうような存在的な?
「まあ、俺あれだから、格ゲーとか結構好きだから」
「ふふ、格ゲーが好きなだけで私の技が見えたら苦労はしないんだがね、まあいいさ、君は彼らとは違う、そう言うことなのだろう?」
「まあ違うね、ほんと、コミュ力もないし、力もないし、なんで呼び出されたか分からねえ存在だからな、主人公とは一緒になりたくてもなれないんだよチクショウ」
俺の言葉に会長は心底おかしなものでも見たかのように笑う。
しかし、そんな会長の元に、戦いに敗れた神崎が爽やかフェイスで、なんか触れるだけで爽やかになりそうな粒子までまき散らしながら駆け寄ってきた。
「会長っ!ありがとうございました、正直何されたか全然わかりませんでいたが、さすが会長です!」
あの神崎がまるで躾けられた犬の様に尻尾を振ってやがる…………この女、この爽やかの化身まで手籠めにするとは何ておっぱい…………おっと間違えた。なんて悪女なんだ。
「あぁ、神崎君か、すまないが今は大塚と話しているんだ、向こうに行っててくれないか?」
え、マジっすか?いやむしろ2人そろってどっかいってくんねえかなぁなんて思ってたんだけど。
とてもじゃないが俺のコミュ力ではこの二人の間に入ることもできず、しかし席を立つ理由もないので非常に居にくい現状なわけですよ。
だからね?会長もそんな事言わずにさっさとどっか行ってください。
お願いします。あんたなんか面倒ごとの予感しかしねえからさ。
「えっ、あ…………で、でも大塚は別に会長と話したい事なんて無さそうですけど…………」
おお!よく言ったぞ爽やかマン。
普通に聞いてりゃぶっ飛ばしてやろうか悩む様な発言だが、今回だけは許そう。
「はぁ、君は物事の本質を見る目をもう少し養った方が良い、“彼が”話したいのではなく“私が”話しをしたいんだ。そして君にはその話を聞いてほしくない。ここまで言えばさすがにもう意味くらいは分かるだろう」
わかりません。
わかりたくありません。
あなたからは俺の異世界生活で養っためんどくさい事センサーがバンバン反応してるんです。
一瞬にして目の前から消え去ってください。
それかおっぱい触らせてください。
「…………わ、分かりました」
神崎は俺のことを凄い形相で一睨みし、その後そそくさとその場を去っていった。
ナニコレ、俺黙ってただけなのに悪役なの?むしろ黙ってたことがだめだった感じ?
「はぁ、彼にも困ったものだよ全く…………入学早々交際を申し込まれた時は本当に困ったが、今もあまり変わっていない様だな」
いやいやいや、なに人の告白暴露しちゃってんのよこの人。
怖いわ、俺も話しただけであることない事話されそうで怖いわ。妊娠させられた!なんて吹聴されたら俺の人生が終わる。童貞子持ちとはこれいかに。
「さて、邪魔者もいなくなったことだし、少し話を―――」
『次の試合は大塚悠里対宮本友綱だ、演習場の中央に来てくれ』
「…………ちっ」
ナイスタイミングぅぅぅぅぅぅッ!!!
ってか会長今舌打ちしやがったよな?すげえ怖い顔になってるし。
ナニコレもう勘弁してくれよ、俺は異世界に来ただけでも不幸だってのにこれ以上俺を不幸にして何がしたいんだよ。
また神の所に文句言いに行こうかな。
「ってことで俺は行きますんで!話があればまあ、来世にでも聞きますから!んじゃ!」
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