声
勝利だギューちゃん
第1話
「ねえ、いつまでそうしてるの?」
「何が?」
「立ち止まったまんまだね」
「うん」
「怖い?」
「えっ」
「踏み出すのが怖い」
確かに怖い。
何かをするには、勇気がいる。
そのためには、一歩を踏み出さなくてはならないが、
その踏み出す勇気は、その時の僕にはなかった。
「弱虫なんだね」
「そうだよ」
否定は出来なかった。
「じゃあ、上を見て」
見上げた。
「何が見える?」
「空」
「だよね」
そう、上には空しか見えない。
「よかったよ」
「何が?」
「君が、天井と答えなくて」
ここは、野外だ。
天井なんて、ない。
「空が見えるって事はね」
「うん」
「君がまだ、あきらめていないということだよ」
わからなかった。
「じゃあ、後をみて」
僕は後をみた。
「何が見える」
「複数の道」
「正解。君はこれまで、いくつもの選択をしてきて、
今そこにいるんだよ」
「そうなの?」
声はしなかった。
でも、うなずいた気がした。
「なら、どうして今度は立ち止っているの?」
「えっ?」
「これまでと同じだよ」
「でも、今回は・・・」
「もう、仕方ないな」
後から、ポンとおされた。
すると、目の前にいくつもの道があった。
「さあ、これまで通りだよ。」
「これまで通り?」
「今、私は君に勇気を注入したわ」
「勇気?」
「うん、これでまた、しばらくは大丈夫」
「しばらくは?」
静寂の時が流れた。
「君は忘れているけど、実は何回も同じことが合ったんだよ」
「同じ事?」
「そのたびに、私が勇気を注入してきたんだよ」
そうか・・・
そうだったのか・・・
僕は、目の前のあった、道の一つを選び歩きだした。
その選択が、正しいか否かは、今はわからない。
もし間違っていたら、乗り換えればいい。
僕を励ます声がした。
「大丈夫、君はひとりじゃないよ」
声 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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