第二章 創世記
第一話
失園村のタブーは、多く存在している。
それは、村の図書館に書籍として置かれている『失園村の全貌』という内容を見ればすべてが分かる。
私はその本を借りて、自宅でゆっくりとページをめくる。
『この村は天から追放された人間が気づきあげた最初の世界。楽園とは程遠い“失園村”』
『この村は地獄そのもの。人殺しが盛んに行われていた。村の別名は失楽園』
私はこの本に書かれていることが大部分がホラ話だと思っていた。
私はゆっくりと深呼吸をした。
「美佳ー御飯よ」お母さんの声がした。
私は返事をして、本を閉まった。
§§§
ここは学校。私はいつも通り席に座り、勉強をしていた。
「みんな、席について」教師の声がした。
周りのざわつきが収まり、全員が一斉に席につく。
「高島 佳くんです。皆仲良くしてね」
「よろしく……」
何処か目の輝きがない。何かあるのだろうか。
私は突然の転校生に興味が尽きなかった。
授業が終わり、早速話しかけた。
「ねぇ、佳くん。好きな食べ物はある?」
「…………」
終始押し黙ったままだったけど、私はめげずに話しかけた。
そして、三日たったある日。やっと返事をしてくれた。
「やったーそうなんだ」私は嬉しくてその場で跳び跳ねた。
私は自分の友達を佳くんに紹介した。
そこから皆は、あっという間に打ち解けていった。
私は皆が佳くんと話をしている姿を見て、気持ちがとても晴れやかになった。
「こんなー幸せな時間がずっとー続けばいいのにね」私はそう言いながら紗良ちゃんに抱きついた。
皆が笑っている。でも、こんな楽しい時間は長くは続かなかった。だってこの村は
§§§
私たちの
私達は一瞬にして悶え、苦しんだ。
村のサイレンが鳴り響く。その音は地獄の始まりの音だと錯覚した。
運良く、私はなんとか生き延びた。それでも手や足はぐちゃぐちゃだ。
私は画面の奥の人間が見えた。
「助けて、皆を――」
「聞こえてますか? 聞こえていたらコメントで返事してください。お願いします。私達を助け出してほしいのです。この失楽園から……」
画面の奥にいる人間に助けを求める。私達をずっと見ていたんだったら、お願い、助けて――。
残虐な記憶の欠片 ケルベロス @motokionishi
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