第28話 扉
俺達一年生は学園の地下施設に来ていた。
この地下施設は非常に厳重な警備で自由に出入り出来るのはアルト校長だけらしい。それは、先生やSクラスの勇者パーティーですらここには自由に出入り出来ないという事も読み取れる。俺も出来れば事前調査で下見したかったのだが、アルト校長にやめてくれと必死に嘆願されたので仕方なくやめた。
歩きながら見渡す。見渡した感想は白い、それしか浮かばないくらい兎に角白い。無駄な物は一切なくドアノブの銀色が目立つくらいだ。
そんな事を考えていると列が止まる。つまり先頭にいるアルト校長が止まったのだろう。
「着きました。この部屋に列を乱さず入ってきて下さい」
アルト校長がそう全体に指示をし全員がそれに従う。
俺がその部屋に入って中を見て感じたのは違和感。
部屋は廊下と似ていて驚くほど白い。だが、広い部屋の中央辺りに一つ『物』があり、それが違和感の正体だろう。
その『物』とはどういう物かと言うと模様が彫り込まれた木の扉だ。それが中央辺りにぽつんと置いてある。
ただその木の扉からは糸が絡まり合っているような複雑な魔力を感じ取れた。
「この木の扉は、我々アルトルクス学園とエルフが共同で作り上げた魔法品です。これは言わば魔法の転移を魔法品にしたような物で、この木の扉はエルフの里にもある木の扉に繋がっておりこの木の扉を通ると一瞬でエルフの里に行けるようになっています」
アルト校長がそう説明すると周りから「なるほど〜」や「流石だな」などの漏れている声が聞こえてくる。
確かに俺も興味はある。何故なら1500年前には無かったからだ。つまり始めて見る物だ。色々質問したくなるがそれはまた後でだな。
「ではAクラスからでお願いします」
すぐにAクラスの列が扉の前に行き少し躊躇するも入って行く。
扉を開けると銀色の壁が現れるがそこに人が入ると波打ちながらも受け入れていく。
その様子を興味深く観察していると俺の番が来る。俺も少し躊躇して足からゆっくり入れてみてみたが何も変化はない。そこから意を決して一気に突っ込んだ。
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