第24話 図星

 俺は学校が終わりルーシュに会いにAクラスに来ていた。

 ルーシュは昨日と同じで俺がいる事に気付き昨日と同じで荷物を俺に押し付ける。


「待ってて」


 ルーシュは俺に言い、輪に戻って行く。昨日と同じだ。

 俺は楽しそうに話しているルーシュの顔を見る。昨日のあの時の悲痛な顔はもう無い。


 俺はその様子を見て『狂っている』そう思った。


 ルーシュは友人達と挨拶をし輪から外れる。


「行くわよ!」


 ルーシュは俺の方を見向きもしないでそう言う。俺は指示に従いその後に無言で付いていく。

 昨日と同じで俺とルーシュの間には会話は無い。そのせいか寮に着くのが少し遅く感じた。

 ルーシュは俺から自分の荷物を奪い挨拶もなしに女子寮に向かって行く。


「それと、今日で私達の関係は終わりね」


 ルーシュが歩きながらつまらなそうに手を軽く振り言う。


「ルーシュさん。少しいいですか?」


 俺はルーシュの背中に語りかける。


「なによ?」


 ルーシュは俺の方を向かずに反応する。


「何故僕と付き合っているのですか?」


「なによ、気持ち悪い。理由なんて告白した時言ったでしょ」


 ルーシュに感情の変化はなくつまらなそうに言う。


「嘘、ですよね」


「……嘘じゃないわよ」


 ルーシュの声に焦りが宿る。


「これは僕の憶測なんですけど、関係しているのはお姉さんのエルザさんの事だけですよね?」


 ルーシュは初めて俺と目を合わせる。その目に宿っているのは怒りと警戒だ。だがルーシュが俺に怒りをぶつけているのにも関わらず俺の口は止まらない。


「……違うわよ。一番の理由はパシリが欲しいことよ」


「パシリなら別に恋人なんて面倒くさい関係作る必要ないじゃないですか」


 ルーシュが肩を震わせる。俺の理性がやめろと訴えているのにもかかわらず止まらない。


「それにもう一つの理由の、エルザさんの持っていない物が欲しいなんて自分が劣っているような発言をルーシュさんはしないですよね?」


 それくらいにしろ。


「それに――」


「うるさい!!!!」


 ルーシュは俺の言葉を遮り睨む。その目には怒りを超えて殺意すら感じた。俺は後悔する。ルーシュの入ってはいけないゾーンに入り触れて欲しくない所を触れてしまった。

 俺は慌てて謝罪の言葉を作る。


「あの……ルーシュさん。本当に――」


「……行くわよ」


「え?」


「闘技場に行くわよ!」


 ルーシュは方向を変え歩いて行く。俺はその背中を見ることしか出来なかった。

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