第17話 現実
スズに頼んだらあっさりと了承してくれた。
スズの教え方はわかりやすく、レベルに合わせて進めてくれるため混乱せずに済んだ。
スズから敬語は辞めないか?という提案があったが俺はある程度の距離を保つために却下した。
確かに仲良くした方が得じゃないかなと考える者もいると思うが、相手は異性だ。自惚れかも知れないが、相手が俺に惚れたり、俺が相手に惚れたりする場合がある。その確率が少しでもあるならば距離はある程度保つのが得策だ。
スズが少し笑みを浮かべて別れの挨拶をする。勉強会も終わり後は部屋で復習だ。
俺は早歩きで寮に向かった。
実力テスト当日。
自信があるのかわからないが、あまり緊張はしない。
俺には筆記テストの順位を狙って出せるほどの頭の良さなんか持っていない。つまり、全力でやるしかないってことだ。
教室を見渡すと談笑している者は一人もいない。当たり前だ。このテストで赤点を一つでも取ってしまったら即退学だ。ここは攻略者を育てる学園でもあるが王国一の偏差値を誇る学園だ。
教室の空気はピリピリしていてい居るだけで気分が悪くなるくらいだ。そんな中スズは余裕の表情で読書をしていた。
先生が入ってくると同時に空気がさらに重たくなる。テスト説明が行われている最中には、ほとんどの生徒が逃げ出したくなる顔になっていく。
「始め!」
説明が終わり先生が開始の合図を送る。
勉強の成果見せてやる――
試験結果が黒板に張り出されている。そこに餌を求める雛鳥のようにクラスの生徒が集まり試験結果の自分の名前を探す。俺も例外ではなく自分の名前を探し見つけた。
『十一位 アッシュ・レイジネス』
俺は絶望した。
二十位中の十一位だ。
スズが無表情ながらも心配そうな顔で俺を見てくるがどうでもいい。乾いた笑いも込み上げてくる。あれだけ必死にやったのに半分以下って、俺はこの学校の頭の良さをまだ把握しきれなかったみたいだ。
FUCK!!
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