第9話 勇者の脅威
世界は腐っている。人は簡単に狂い狂人になる。なぜなら弱いからだ。広い社会に一つの悪意を垂らせばそれは広がり感染する。俺もその一人だ。力を持ち狂人達に煽られ力を利用し荒んでいく。力とは麻薬のようなもので、使えば使うほどやめられなくなり後悔した頃にはもう遅い。
つまり何を言いたいかといえば
英雄なんて糞食らえ
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今日は入学式だ。あの後支給された黒い制服に身を包み、学校に向かう。
学校の最初の作戦は印象付けだ。この目つきだから大体は悪い印象を持たれると思うが、それを払拭するほど最低限でも普通の人というくらいの印象を与えなけれならない。この作戦の大きな利点の一つは、敵が出来ないことだ。広く浅く、これ大事。
俺は校内に入る。沢山の施設を見渡しながら入学式会場に向かった。俺は周りの生徒の人数を見て改めて驚く。試験の時は圧倒されるほどいた人は、かなり少なくなっている。あれを見たら今の人数は信じられないくらいに減少している。
そんな事を考えていると会場に着いた。席が用意されており紙に書いてあった通りの場所に座る。
席に座ろうとすると隣席の人物を見てしまう。その生徒は周りが雑談など挨拶などしている中、姿勢よく全てを見透かしたような目つきで前を見ている。
隣席の人に挨拶の一つでもしようかなという俺の考えを一瞬にして振り払ってしまった。逆方向の席の人と挨拶をすればいいじゃないかと思うかもしれないが、俺が隅なので反対はいない。
この先が不安になってくる。
司会と思われる人物が仕切り進めていく。俺はそれを聞き頭で要点だけまとめて記録していく。だが、次に放った言葉で思わず身を前に乗り出しそうになる。
「次に、勇者パーティーの方々からご挨拶です」
他の学生もそのパーティーが現れた瞬間に急に色めきだす。あれが今世の勇者か。あの武具は前世と同じ物なのか?初代の血を引いているのか?色々な興味と呼べる疑問が湧き上がるが、それらは後で調べよう。
勇者達の格好は中世的で変に浮いてなく、とても華やかという印象を持つ。まぁ見た目には騙されないという前世からの教訓があるから油断はしない。
「俺は剣聖の名を持つこのパーティーの剣フウザ・デル・アスクリートだ」
少しおちゃらけた男が言う。
「私は、聖女でこのパーティーのサポートを務めさせていいだいております。エルザ・ダ・カトリックと申します。放課後は教会におりますので、何かお悩みがある方は気軽にいらしてくださいね」
丁寧な口調で綺麗な女が言う。
「わ、私は賢者と、えっとこのパーティーの魔術師をしていますクリーフト・ダ・ヴィンチです!よ、よろしくお願いします!」
根暗そうな女の子が言う。
「僕が、現勇者そしてこのパーティーのリーダーを務めているランスロ・ドルウィンだ。アルトルクス学園にようこそ」
誠実そうな男が言う。
なるほど。家名が一緒なのはエルザつまり聖女だけか。俺は四人の名を足りない頭に詰め込んでいく。恐らくあの四人が俺が学園生活を送る上で脅威になる人物か。
勇者が演説してるが殆どは応援のメッセージで重要なことは特にない。
勇者が爽やかな笑顔で締めると、大きな喝采が起こる。俺も一様乗っといて拍手をするが、正直今すぐこの学園から立ち去ってくれても構わない。むしろ、大歓迎だ。
最後にエルフの校長が締めて入学式は終わった。
そして、校長が立ち去る時、俺に向かってウィンクをした気がした。
き、気のせいだよな?
……FUCK!
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