第5話 試験三日目

 魔力とは魔法を使う際に使用するエネルギーのこと。魔力量とはそのエネルギーの量のこと。


 気力は身体強化をする際に使うエネルギーのこと。気力量とはそのエネルギーの量のこと。その二つはどんな生物も最低でも微量を持っている。


 そして限られた者だけが持てる『加護』。これは神が生物に与える特別な力の事。

 この検査はそれらを調べる試験だ。その結果で合否が決まりクラス分けの要因にもなる。

 自慢じゃないがこの世界の平均と比べて俺の魔力、気力量は圧倒的に多い。


だが面倒ごとを任されないそこそこ優秀な生徒を目指す俺にとっては邪魔なものだ。




 俺は朝早くに起きてバスに乗り込んでいた。この検査は時間がかかり検査機も数が限られている為朝早くに行われる。


 目的地に到着し何も特徴がない白い建物に入る。中に入ると何本かの列が出来上がっていた。


俺は一番長い列に並ぶ。その理由は、機械がどんな物か出来るだけ長く観察したかったからだ。決して心の準備がしたいとかではない。


 俺は検査機を見る。昔は血液を使った検査で数十分かかる物だった。結果は割と正確で重宝されていた。


 列が少しずつ進んでくに連れて機械の全貌が露になる。


俺はその機械を見て焦る。


その機械は血液ではなくヘルメットみたいな装置を頭につけコードがモニターに繋がっているような機械だった。


能力使うしかないか。


 俺の番が来る。担当の先生が俺に装置を被せる。俺はその装置のズレを直すと見せかけヘルメットに触り能力を発動させる。


 加護『支配』


 正直この能力はどんな能力か説明は出来ない。俺も全貌は分かっていないからだ。


 俺は機械に偽の情報出させるように指示を出した。


担当の先生がモニターを見る。その時間が異様に長く感じ、心臓の鼓動が早くなる。


「よし」


「ありがとうございます」


 先生がパソコンに打ち込みながら短くそう言い俺は爽やかな笑顔で礼を言った。




 バスの待ち時間をスマホを弄りながら時間を潰す。

因みにスマホは俺がこの時代に来て感動した物の一つだ。


 周りの俺と同じ受験生はほとんどグループを作り談笑していた。


俺の交友関係の目標は広く浅くだ。


出来るだけ沢山の交友関係を持つと将来有利になるからだ。だからといって深く関係を持ち過ぎると行動が制限される。最低でも敵は作らない生活を送ろう。


 ちなみに、俺の中学でこの学校に来た者は一人もいない。俺の中学はかなり田舎だったしほとんどが地元辺りの高校に通うことになっているらしい。


 そんな事を考えているとバスが到着する。


今回の試験は筆記の時にあった不安は少ない。あるとすれば支配の能力を久しぶりに使ったから制御出来てるかが心配だ。



 失敗した時のプラン練っとくか。

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